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本編
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俺は男が好きだ。恋愛対象として。セックスをしたいと思う相手は男。
まだ誰とも付き合ったことはないけど。
そんな簡単に相手がみつかるはずがない。生まれてくるのが早すぎた。きっとあと五十年先ぐらいなら簡単に見つかる世の中だったんじゃなかろうかと思う。
「じゃあこれで」
うん、と返ってきたので俺は部屋のドアを開け、暗い廊下に出た。
じゃあ今この、俺が出てきた部屋の奴は何なんだと言えばセフレだ。去年の夏にやってもいいかと訊かれたからいいですよと答えて成立した、突然声を掛けられた、それまで面識のなかった一つ上の学年の男。全寮制男子校だから当然男しかいないのだけど。
かれこれ半年ぐらいになるか。月二回とかそんなペースで知る人ぞ知る寮内の簡易ラブホ、通称秘密の花園(要は使われてない空き部屋)でそのセンパイと致していた。
好きとか付き合うとかそんな話は一切したことないからセフレという認識でいいのだろう。俺もその人のことをなんとも思ってない。セックスするだけの相手。校内で会っても寮内で会っても、言葉を交わすことも目を合わせることもない。ベッドの中ではそこそこ話をするが、快楽を共にするだけの楽な関係だった。
この度四月になって、向こうが三年生、俺が二年生と進級し。区切りがいいので契約満了的に終わるのかと思えば、一人部屋になったので二番館へ来いと言う。
一年生二年生は二人部屋で構成される一番館、三年生は大学受験を見据えて一人部屋の二番館、が住まいだ。
つまり一人部屋になればいつでもヤりたい放題というわけで。四月になって部屋替えをした途端、毎週呼ばれるようになった。棟的にはすぐ隣に立ってるが一度一番館の玄関を出て二番館の玄関に入って、と結構時間がかかる。
それに消灯後に行って早朝かそれよりも早い時間に自室に戻る、という隠密行動な元々のルーティンもあるからして、ざっくり言えば面倒だ。
学内推薦をもらいたいから一学期までが勝負だと言いながらもせっせと致す理由は何なのか。ストレス解消ってこともあるのかな。ウチは難関大学を目指す人も多い。そのために一学年三クラスしかない少数全寮制伝統校(創立が古い)であるここに、わざわざ県外から来る人もいる。一応大学受験も強制ではない。過去に進学せずに就職した人もいるらしい。俺は地方組じゃないし、ここを狙って来たというよりは選択肢の一つとして受けたら受かったというだけで。
消灯時間後、寮の廊下も灯りが落とされ、床近くの小さなフットライトに切り替わる。一つ一つの間隔が広いので結構暗い。
キスで湿った唇を手の甲で拭いながら一番館ヘと帰る。あの人はもともと校外に付き合っている人がいたらしい。が、別れてその後俺を誘ったらしい。もちろん俺が原因ではない。やりたそうにしてたから声を掛けたと言うから偶然の気まぐれなのだろう。
俺にしたってセフレを探していたわけじゃない。欲しいのは恋人で、性欲を満たすだけの相手じゃない。だけど今はいない。だからOKした、それだけだ。長くて向こうが卒業するまでの話。身体の相性は良いと思う。マグロでいいと言うし。とは言え、多少は俺だって動くこともある。してもらってばかりでは悪いなという気持ちになるぐらいにはセンパイとやったから舌だって入れるし、扱いてやったりもする……足で。フェラは嫌だというのでしない。傅かれるのは嫌だというのだ。よくわからないけど、俺があの人に跪いてはいけないらしい、あの人の中では。
自室に戻れば、部屋は真っ暗で相部屋の奴は当然眠っていた。
眠った後に部屋を出てるから多分、気付いてないだろう。そのうち部屋を抜け出ていることは言った方がいいと思うが、妙に詮索してきそうな奴だったら言わない方がいいかもしれない。今のところ気の良さそうな奴だけど。一年の時も今回の二年もクラスが違うからまだどんな奴かわからないのだ。一年ごとに部屋割りは変わる。一年の時の相部屋の奴は良い奴だった。男前で気遣いのできる、文武両道な真面目な奴。夏頃からセンパイとするようになってはいたものの一度も何かを言われたことはなく。夜中にいないことを気付いていないからだとは思うが。
特殊な環境ゆえかたまたまそうなのか、まあ夜の移動はちょこちょこあるらしいのだ。俺とセンパイだけではない。薄暗い廊下で誰かとばったり、なんてことは俺は一度もないが。性的指向については誰もが自由であるが誰もがオープンであるわけではない。俺も家の誰も知らないことだし、それがネックでもある。まあそこは今すぐどうこうではないからいいとして。
シャワーを浴びてからベッドに転がろう。眠たいがそこはちゃんとしておかないと。ありがたいことにどういう経緯かウチの寮は風呂の時間は決まっているがシャワーブースは二十四時間使える太っ腹仕様だ。ブースの数も多い。
一年間寮で過ごすと多少はルーズにもなってくるもので、脱衣室の洗面台の下の収納にホコリがつかないようにして風呂道具一式を隠してある。平日、みんなと風呂に行ったりシャワーに行く時とは別のもの。こうやって夜中にセンパイのところから帰った後は物音を立てられない。あらかじめ置いておくのがベストだ。
明日は土曜で、学校は休み。俺は部活もやってないから完全に休み。
だから明日の食堂の朝食は抜かせてもらって、ゆっくり眠ることにする。
まだ誰とも付き合ったことはないけど。
そんな簡単に相手がみつかるはずがない。生まれてくるのが早すぎた。きっとあと五十年先ぐらいなら簡単に見つかる世の中だったんじゃなかろうかと思う。
「じゃあこれで」
うん、と返ってきたので俺は部屋のドアを開け、暗い廊下に出た。
じゃあ今この、俺が出てきた部屋の奴は何なんだと言えばセフレだ。去年の夏にやってもいいかと訊かれたからいいですよと答えて成立した、突然声を掛けられた、それまで面識のなかった一つ上の学年の男。全寮制男子校だから当然男しかいないのだけど。
かれこれ半年ぐらいになるか。月二回とかそんなペースで知る人ぞ知る寮内の簡易ラブホ、通称秘密の花園(要は使われてない空き部屋)でそのセンパイと致していた。
好きとか付き合うとかそんな話は一切したことないからセフレという認識でいいのだろう。俺もその人のことをなんとも思ってない。セックスするだけの相手。校内で会っても寮内で会っても、言葉を交わすことも目を合わせることもない。ベッドの中ではそこそこ話をするが、快楽を共にするだけの楽な関係だった。
この度四月になって、向こうが三年生、俺が二年生と進級し。区切りがいいので契約満了的に終わるのかと思えば、一人部屋になったので二番館へ来いと言う。
一年生二年生は二人部屋で構成される一番館、三年生は大学受験を見据えて一人部屋の二番館、が住まいだ。
つまり一人部屋になればいつでもヤりたい放題というわけで。四月になって部屋替えをした途端、毎週呼ばれるようになった。棟的にはすぐ隣に立ってるが一度一番館の玄関を出て二番館の玄関に入って、と結構時間がかかる。
それに消灯後に行って早朝かそれよりも早い時間に自室に戻る、という隠密行動な元々のルーティンもあるからして、ざっくり言えば面倒だ。
学内推薦をもらいたいから一学期までが勝負だと言いながらもせっせと致す理由は何なのか。ストレス解消ってこともあるのかな。ウチは難関大学を目指す人も多い。そのために一学年三クラスしかない少数全寮制伝統校(創立が古い)であるここに、わざわざ県外から来る人もいる。一応大学受験も強制ではない。過去に進学せずに就職した人もいるらしい。俺は地方組じゃないし、ここを狙って来たというよりは選択肢の一つとして受けたら受かったというだけで。
消灯時間後、寮の廊下も灯りが落とされ、床近くの小さなフットライトに切り替わる。一つ一つの間隔が広いので結構暗い。
キスで湿った唇を手の甲で拭いながら一番館ヘと帰る。あの人はもともと校外に付き合っている人がいたらしい。が、別れてその後俺を誘ったらしい。もちろん俺が原因ではない。やりたそうにしてたから声を掛けたと言うから偶然の気まぐれなのだろう。
俺にしたってセフレを探していたわけじゃない。欲しいのは恋人で、性欲を満たすだけの相手じゃない。だけど今はいない。だからOKした、それだけだ。長くて向こうが卒業するまでの話。身体の相性は良いと思う。マグロでいいと言うし。とは言え、多少は俺だって動くこともある。してもらってばかりでは悪いなという気持ちになるぐらいにはセンパイとやったから舌だって入れるし、扱いてやったりもする……足で。フェラは嫌だというのでしない。傅かれるのは嫌だというのだ。よくわからないけど、俺があの人に跪いてはいけないらしい、あの人の中では。
自室に戻れば、部屋は真っ暗で相部屋の奴は当然眠っていた。
眠った後に部屋を出てるから多分、気付いてないだろう。そのうち部屋を抜け出ていることは言った方がいいと思うが、妙に詮索してきそうな奴だったら言わない方がいいかもしれない。今のところ気の良さそうな奴だけど。一年の時も今回の二年もクラスが違うからまだどんな奴かわからないのだ。一年ごとに部屋割りは変わる。一年の時の相部屋の奴は良い奴だった。男前で気遣いのできる、文武両道な真面目な奴。夏頃からセンパイとするようになってはいたものの一度も何かを言われたことはなく。夜中にいないことを気付いていないからだとは思うが。
特殊な環境ゆえかたまたまそうなのか、まあ夜の移動はちょこちょこあるらしいのだ。俺とセンパイだけではない。薄暗い廊下で誰かとばったり、なんてことは俺は一度もないが。性的指向については誰もが自由であるが誰もがオープンであるわけではない。俺も家の誰も知らないことだし、それがネックでもある。まあそこは今すぐどうこうではないからいいとして。
シャワーを浴びてからベッドに転がろう。眠たいがそこはちゃんとしておかないと。ありがたいことにどういう経緯かウチの寮は風呂の時間は決まっているがシャワーブースは二十四時間使える太っ腹仕様だ。ブースの数も多い。
一年間寮で過ごすと多少はルーズにもなってくるもので、脱衣室の洗面台の下の収納にホコリがつかないようにして風呂道具一式を隠してある。平日、みんなと風呂に行ったりシャワーに行く時とは別のもの。こうやって夜中にセンパイのところから帰った後は物音を立てられない。あらかじめ置いておくのがベストだ。
明日は土曜で、学校は休み。俺は部活もやってないから完全に休み。
だから明日の食堂の朝食は抜かせてもらって、ゆっくり眠ることにする。
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