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19.男だけの飲み会

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『かんぱーい!』


今日は男4人での飲み会。

エリナちゃんたちには悪いけど、ユージとマコトもあきらと飲みたいって言ってたし、とりあえず男だけで飲もうってことになったんだ。


「いつもレイキがお世話になってます」

ぺこってあきらが頭を下げる。

オレは慌てて、隣に座ってるあきらの肩を掴む。

「あきら、やめろよ・・・・ 母さんみたいじゃん」

あきらは切れ長の瞳を細めて、オレを軽く睨んだ。

「でも、前に送ってもらったこと、あっただろ」


あー・・・・


あきらがマコトの方を向いて、

「綾田くん・・・だよな。 あの時、ホントにありがとう」

にこって笑うあきらに、マコトも表情を和らげる。

「いや、こっちこそ、レイキが結構弱いって知らずに飲ませたからさ」

「や、それはオレが勝手に飲んだんだし。 別にマコト達に飲まされたわけじゃねーから」


ユージがビール片手ににこにこしながらオレとあきらを見る。

「2人、ホントに仲良いんだな」


う・・・・ 何か、改めて言われると、照れるな・・・・


「ユージとマコトも、仲良いじゃん」

「まーね」

ユージとマコトはカオを見合わせてニッて笑う。


「2人は高校の同級生なんだって?」

あきらの問いに、マコトがうなずく。

「そ。 レイキと城井くんもだろ?」

「ああ。 オレたちは中学から一緒」

『な?』ってオレをみるあきらの瞳は優しい。



それからオレたちはいろんな話をした。

でも、あきらに興味津々の2人・・・主にユージが、あきらを質問攻めにしてる構図だったけど。


「城井くん、彼女いるの? カッコいいもんなー。 かなりモテそう!」

いつものユージの無邪気な質問。

「いるよ」

さらっと答えるあきらに、ユージはさらに食いつく。

「やっぱなー! 絶対いると思った! どんな人? 城井くんの彼女だったら、すっげー美人なんだろうな!」


ユージ・・・ 夢壊してゴメンな。

お前の目の前にいるオレだよ・・・・・


「んー・・・・ すっげえ、かわいい、かな。 めちゃくちゃ、色っぽいし」


あきらの返答に、オレは思わずむせてしまった。

「ごほっ! ごほっ!」

「レイキ・・・・大丈夫かよ?」

オレの前に座ってるマコトが、心配そうに俺を見る。

「ご、ゴメン。 大丈夫・・・・」


あきら、何言ってんだよ!


「へえー。 かわいくて、色っぽいなんて、いいなあー」

ユージは勝手に想像を膨らませてるみたいだ。

「いつからつき合ってんの? 年は?」


ったく・・・・・ ユージは遠慮なしだよな・・・・・

まあ、そこがユージのイイとこでもあるんだけど。


「高校からつき合ってる。 同級生だよ」

「まじで! 同級生でそんな色っぽいって・・・・ すげーな。 オレ、てっきり年上の人かと思った」


もうユージ・・・・ 勘弁してくれ・・・・・


「でもさ、レイキと城井くんって、ルームシェアしてんだろ? 彼女連れてくるときとか、不便じゃねえの?」

「まあ、そこは適当にやってる」


「あ、もし城井くんの彼女が来てて家に帰れないときとか、オレんとこ来ていいぜ?」

ユージがにこにこ提案してくれる。


うん、やっぱ優しーよな。


ユージの気持ちがうれしくて、オレはへらって笑って頷いた。

「ユージ、ありがとな。 そん時は、お邪魔する」


返事をしたオレの手を、あきらはテーブルの下でぎゅって握ってきた。


な、なんだ?

少しびっくりしてあきらを見ると、あきらはまたにっこりと笑って、ユージを見ていた。

あきらの・・・・ 本心を隠すための、外用の笑顔だ。


「大丈夫。 レイキに迷惑はかけないようにしてるから、部屋を追い出したりなんてしないよ。
瀬戸くん、ありがとう」


ユージはもちろん、あきらの笑顔の意味には気づかない。

「そうなんだ? まあ、何かあったら、遠慮せずに来いよ」

「ああ・・・ ありがと」





「あれー、あきらじゃん!」

オレたちのテーブルの横を通りかかった人が、あきらに声をかけてきた。


そっちを振り返ると、オレたちと同じく大学生らしい4人連れ。


「あ、ホントだ、あきらくん」

女のコも交じってる。


「あきらもここで飲んでたんだなー」

親しげに話しかけてる様子から、医学部の同級生なのかな?って思った。

「ああ、みんなもここだったんだな」


あきらはオレたちの方を見て、

「オレと同じ学部の同級生なんだ」

と、彼らを紹介した。 続けて、オレたちを彼らに紹介する。

「こっちはオレの同居人。 と、その同級生」


お互いに会釈をしあった後、


「ねえねえ、よかったら一緒に飲まない?」

あきらの同級生の女のコが提案してきた。 あきらの同級生の男子も賛同する。

「それいいな! みんな、どうかな?」


「オレは良いけど? マコちゃんとレイキは?」

にこにこしてユージが答える。

「オレもいいぜ」

うなずくマコト。


オレも・・・・あきらの同級生って、どんな人たちなのか興味あるし・・・・

「オレも、いいよ?」

あきらのカオを見て、へらって笑った。


「じゃ、決まりな。 奥の広いテーブルに移らせてもらおーぜ」

あきらの同級生が、店員さんにテーブルの移動を頼みに行った。


「城井くんの同級生とも飲めるなんて、楽しみだな」

ユージが嬉しそうに、グラスを持って立ち上がる。

オレたちも自分のグラスを持って立ち上がった。


思いがけずあきらの同級生と一緒になって、あきらの大学生活が少し伺えそうで、オレはワクワクしていた。


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