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66.※ 結婚式

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『おめでとうーーーっ!!!』

チャペルから、ねーちゃんと駿さんが、腕を組んで幸せそうに出てくる。



2月だけど天気が良くて、比較的暖かい。

そんな今日は、ねーちゃんと駿さんの結婚式だ。


ゆっくりと歩いてくるねーちゃんと駿さん。

みんなに祝福されて、弾けるような笑顔。

オレは2人に、手に持っていた花びらを投げた。


「ねーちゃん、おめでとう!」

ねーちゃんはオレを見て、

「玲紀、ありがと♡」

って笑った。


今年度で研修が終わり、4月から駿さんは本格的に外科医として働きだす。

そしたら今よりもっと忙しくなるし、転勤だってある。

でもねーちゃんも4月から就職して新社会人。

お互いに忙しくなるからこそ、結婚して一緒に住むことにしたそうだ。


2人とも本当に幸せそうで。

見ていてオレも幸せな気分になる。


あきらを見ると、やっぱり笑顔で駿さんを見ていて。

でもオレの視線に気づいて、こっちをみた。

オレを見て笑ってくれるあきらの笑顔に、心臓が跳ねた。


・・・だって、今日は結婚式。

フォーマルなスーツを着ているあきらは、いつにも増してカッコよくて。


やばい。 まじでカッコいい・・・


思わずじっと見つめてしまって、その視線の先で、あきらは口角を持ち上げた。

オレはハッと気づいて、あきらから視線を逸らす。


見すぎだろ・・・・


ねーちゃんと駿さんはみんなに祝福されながら歩き、その先にある数段の階段を上った。

ここで、ブーケトスを行う予定だ。


「それでは皆様、新婦からのブーケトスを行います。
女性の方はぜひ前の方へ。 お子様もどうぞ!」


アナウンスがあり、参列者の女性や子供たちが、前の方へ集まる。

みんな嬉しそうだ。


少し離れたところから見ていると、あきらがオレの隣に寄って来た。


「・・・美紀さん、きれいだな」

「駿さんも、すげー、カッコいい」

2人を見ながら言うと、あきらに肘でつつかれる。

なんだろうと思ってあきらを見ると、

「オレは?」

って、口角を持ち上げて訊かれた。


・・・もちろん、すげー、カッコいい・・・

髪もセットしてもらってていつもと雰囲気違うし、なにより、フォーマルスーツが似合いすぎてて。


やば・・・カオ、赤くなるっ・・・


オレはカオを隠したくてうつむいた。

それなのに、

「・・・レイキ、かわいい」

耳元に口を寄せてきて、ささやくから。


ドキドキが、止まらない。


「ここで、サプライズプレゼントがございます。
新郎新婦のご兄弟、晃様、玲紀様、前の方へどうぞ!」


急に名前を呼ばれてびっくりする。

駿さんが笑顔でオレたちを手招きしていた。


なんだろうと思ってあきらとカオを見合わせて、2人でブーケトスのために集まった人たちの前へ出ていく。


「新郎新婦からご兄弟へ、ブーケとブートニアのプレゼントです!」


ねーちゃんの持っていたブーケは2つのブーケを合わせたもので、そのうちの一つを、笑顔でオレに差し出してくれた。

「玲紀、はい、プレゼント」

「あ・・・あり、がとう・・・」

ブーケって、女の人がもらうものなんじゃないのかな。

そう思って、少し戸惑いながらブーケを受け取る。


「晃、プレゼントだ」

駿さんはそう言って、自分の胸のブートニアを取り、あきらの胸に付けた。


「2人とも、幸せにな」


駿さんとねーちゃんに笑顔を向けられて。

オレとあきらもカオを見合わせて、笑顔になる。


「ねーちゃん、駿さん、ありがとう」

「2人とも、お幸せに」


「新郎新婦のお2人から、ご兄弟への、ブーケとブートニアのサプライズプレゼントでした。
皆様、拍手をお願いします」


ぱちぱちぱち・・・・


参列者からの拍手に、オレとあきらはそっちに体を向けてお辞儀をした。


「それでは皆様、改めまして、新婦からのブーケトスを行います!」


オレとあきらはその場から離れる。


ねーちゃんからもらったブーケは、白い花をベースに作られていて、小さいけどとてもキレイだった。

「レイキ、似合うな」

あきらを見ると、その胸には、ブーケと同じ花で作られたブートニア。

「あきらも、似合ってる」


おそろいの花のブーケとブートニア。

それを持ってるあきらとオレって・・・・ ちょっと、新郎新婦、みたいかな?


そんなことをふわって思ってると、

「レイキ、こっち」

あきらに手を引かれて、みんなから離れる。


チャペルの敷地の端の方、柱の陰に来た。

・・・みんなは、ブーケトスのイベントに夢中で。

そのスキに。


柱の陰で、オレたちはキスをした。


ちゅって、唇が重なった後。

ガマンできなくて口を開けると、あきらが深くキスしてくれて。


「ん、んっ・・・・」


舌が絡まって、ぞくって、腰にしびれが走ってしまう。


唇を離すと、あきらはオレの頬を撫でて、

「レイキ・・・好きだよ」

「オレも・・好き」


見つめあって微笑んで。



わあって歓声が上がって、ブーケトスが終わったのがわかった。


オレたちはそっと柱の陰から出て、みんなのところに戻っていった。


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