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文化祭
16.ミスコン・・・出場!?
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♪~
2人で屋上で過ごしていると、あきらのスマホが鳴った。
あきらは面倒くさそうに、スマホを取り出す。
「・・・もしもし?」
『あっ、あきらくん! 今どこにいるの!?』
電話の相手は、オレにも聞こえるくらい大声で話す。
電話の向こうは、がやがやうるさいから、そのせいなのか?
「どこって・・・屋上?」
『もーーっ、何やってるの! 早くステージに来て!!』
「あ」
あきらは少しバツが悪そうなカオになった。
ステージって・・・・ あ
オレも少し考えて、思いだした。
「あきら、コンテストの時間じゃねー?」
聞くと、あきらは小さく頷いた。
「・・・・みたいだな。 忘れてた」
『忘れないでよっ! もう集合時間だから、急いで来てね!』
「わかったよ」
あきらは電話を切ると、小さくため息をついた。
「・・・・めんどくせー・・・・ さぼろっかな」
そう言って、オレの腰に手を回して引き寄せる。
「せっかくレイキと居れるのに」
・・・・うれしい。
オレだって、あきらと居たい、けど。
今からあるのは、うちの学校の文化祭名物、ミスター&ミスコンテスト。
クラスそれぞれ男女1名ずつ選んで出場するんだ。
他にも、自薦他薦何でもアリで、外部から来たお客さんも、勧誘されて飛び込みで出場したりする。
あきらは、オレたちのクラス代表で選ばれた。
「でもさ、みんなに選ばれたんだし。 出なきゃダメだろ」
「んー・・・」
あきらはまだ、気乗りしないみたいで、甘えるようにオレの肩にもたれかかってる。
「ほらあきら、行こうぜ!」
オレは立ち上がって、あきらの腕を引っ張った。
その時、あきらが何か思いついたようなカオをして、オレを見た。
口角を持ち上げるその表情は・・・ どことなく、イジワルで。
「じゃあさ、レイキも出ようぜ」
「・・・・は?」
「うん、そうしよ。 オレが推薦するから」
言いながら、あきらは嬉しそうに立ち上がった。
「ちょっ、待てよ!」
推薦って・・・・
ってか今オレ、メイドの格好だし・・・・
「・・・・・どっち、で・・・・・?」
ニヤって笑うあきらを見て、オレには聞かなくても答えが分かってしまった。
「ばか! 出るわけねーだろ!!」
オレは怒るけど、あきらはそんなこと全然気にしない様子でオレの腕を引いた。
「よし、行こうぜ」
「だから! 待てって!」
あきらに腕を引かれて、オレたちはステージ脇までやってきた。
「あ、あきらくん!おそいー!」
クラスの女子と実行委員の女のコが、あきらを見つけてホッとしたカオになった。
「あきらくん、こっち! ・・・って、え、・・・誰・・・?」
オレがメイドになってることを知らないらしく、クラスの女子は怪訝そうにオレを見る。
「あ、このコ、オレの彼女。
ミスコンに、飛び入りでエントリーさせてくんない?」
『えっ!? ええええええええーーーー!!????』
「あきらっ!」
さらっと言ったあきらに、クラスの女子と実行委員は悲鳴のような声を上げる。
そんなオレたちを置いて、あきらはさっさと男子の方の集合場所に行ってしまった。
取り残されたオレを、女のコたちが上から下まで鋭い視線で見る。
ううっ・・・・・こえーよぉ・・・・・
実行委員は小さくため息をつくと、オレの腕を掴んだ。
「とりあえず、時間ないからこっち来て」
「えっ・・・でも」
「城井くんの推薦で、出場、ね。 名前は?」
「あ・・・ レイ、キ」
「レイ?」
実行委員は聞き取れなかったみたいで、紙に『レイ』と書くと、オレに差し出してきた。
「コレ、胸に張って。 そこで待っててね」
渡された紙は、裏がシールになってて、直接服に張り付けられるようになっていた。
オレ・・・・出たらマズイだろ・・・・
実行委員がオレから離れたので、さっさと逃げようとしたら、
「え、ちょっと!?」
後ろから腕を掴まれた。
振り返ると、高野だった。
高野もうちのクラス代表でエントリーしてる。
「坂本くん・・・・よね?」
高野が小声で聞いてきた。
高野とは教室を出る時に会ったし、オレだってすぐに気付いたみたいだ。
「ああ・・・」
「なんでこんなとこにいるの?」
「あきらの悪ふざけだよ。
無理矢理連れてこられて、自分の推薦でって、エントリーさせられた」
ふて腐れてオレが言うと、高野は声を上げて笑った。
「うけるー! そうなんだ!
じゃあせっかくだし、出ようよ!」
「え、嫌に決まってんだろ。 恥ずかしいし。
オレ抜けるぜ」
「いいじゃない! かわいかったって、クラスでも好評だったよ♡」
「やだって!」
そんなやりとりをしていると、
「じゃあ女のコたちも、ステージに上がってくださーい!」
実行委員に、ステージに上がるよう促される。
逃げようとするけど、高野がオレの腕をしっかりつかんで離さない。
「高野・・・・・!」
「いこっ。 レイちゃん♡」
高野に引っ張られて、ステージに上がってしまった。
あー、もう逃げらんねー・・・
ステージから見下ろすと、たくさんの男子の視線がミスコンエントリーの女のコたちに注がれているのを感じた。
特にオレは、学内でも人気の高野と腕を組んでるから・・・ 余計に視線を感じてしまう。
やべーな・・・ まじ、どーしよ・・・
ふとステージの反対側を見ると、あきらがいるのに気が付いた。
ステージに上がってるオレを見て、満足そうに口角を持ち上げる。
くそっ、ムカつく!
こんな格好で、しかもミスコンの方なんて・・・
「つぎは2-Bの、めぐみちゃん!」
司会が一人ずつ、エントリーしてるコを紹介していく。
高野が紹介されると、客席から歓声が上がった。
さすが・・・・ すげー人気だな・・・
高野はにこにこしてみんなに手を振っていた。
「次は・・・ 飛び入り参加の、レイちゃん!」
うわー・・・ オレだよ・・・・
「めぐみちゃんと同じメイド服ってことは、2-Bのコかな?」
司会に聞かれて、オレはうつむいたまま小さく頷いた。
頼むから、あんまりオレを見ないでくれ・・・・
さっさと、次のコに行ってくれよー・・・・
「レイちゃんを推薦したのは、同じく2-Bの城井くん!
なんとレイちゃんは・・・・・ 城井くんの、彼女だそうでーす!!」
「ええっ!? ちょっ・・・!」
司会の言葉に動揺する。
ステージ上の人も、観客も、そこに居るすべての人の視線がオレに集中するのを感じた。
女のコたちの驚きと嫉妬が入り混じった、冷ややかな視線を浴びせられる。
ただ、オレの隣に居る高野は、笑いをこらえきれないような表情をしていた。
あきらを見ると・・・
あきらもオレを見て、すげー楽しそうな表情。
・・・・まじ、ムカつく!!!
オレはずんずんとステージを横切って、あきらに近づいた。
「あ、ちょっと、レイちゃん!?」
司会が驚いたようにオレを制止するが、無視。
「あきらッ、てめーなあっ」
その胸倉を掴もうと伸ばした手は、逆にあきらに掴まれて、ぐいって引っ張られた。
「うわっ」
バランスを崩したオレの腰にあきらは手を回して、カラダを引き寄せる。
『きゃああーーっ!』
女のコたちの悲鳴のような声。
そんなのをよそに、あきらはオレにカオを近づけてくる。
・・・・オレに、キス、しようとして。
「・・・あきらッ!」
オレは空いていた手で、あきらの顔面を正面から抑え付けた。
「・・・・てめ、ちょーし乗り過ぎだっ」
怒気を孕んだオレの声に、あきらは素直にオレから手を放した。
オレは怒りのままに、茫然とした様子の司会に近づき、その手からマイクを奪い取った。
「2-Bの坂本玲紀だ!
オレがエントリーすんのは、ミスコンじゃなくて、ミスターコンの方だからなっ!!」
鼻息荒く自己紹介をしたオレに、会場から笑いと歓声が起こった。
オレは司会にマイクを返すと、あきらの隣に並んだ。
あきらは笑って、オレの肩を抱いてきた。
「レイキ、ゴメン。 でも、そんな格好なのに、すげーカッコいいな」
「当たり前だろ。 ・・・オレは、男、だよ」
「そうだな」
成り行き上、オレはそのままミスターコンに出場した。
こんな格好なのと、登場の仕方があんなんだったからだろう。 審査員特別賞をもらった。
ミスターコンの優勝はあきら、準優勝は矢神先輩だった。
「先輩! お疲れ様です」
声をかけると、先輩はオレたちを見て笑った。
「今年もあきらに負けたなー。 リベンジしたかったんだけどな」
あきらが入学する前、矢神先輩が1年生の時、先輩はダントツで優勝だったらしい。
「それにしても坂本・・・・・ お前、ウケたぜー」
「もー、笑わないで下さいよ」
「いや、最初ホント分かんなかった。 あきらの彼女って紹介されてたしさ。
こんなかわいいコ、うちの学校に居たんだなー、なんて思ってたよ」
褒められてるのか、よく分かんねーけど。
「とりあえず、あきらの彼女って誤解が解けてよかったです。 ・・・・女のコたちの視線、すげー怖かったですもん・・・・」
オレがげんなりして言うと、矢神先輩はオレの頭をぽんぽんと撫でた。
「坂本、災難だったな。 あきらも、あんまり坂本で遊ぶなよ?」
「遊んでませんよ」
「じゃあ、またな」
矢神先輩と別れて、ため息をつく。
「・・・・ホント、あきらのせいでひどい目に合ったぜ」
「その格好をさせたのは、オレじゃないだろ」
「そうだけどさ」
教室に戻ると、優勝したあきらと準優勝だった高野、そして特別賞をもらったオレを、みんなが歓迎してくれた。
またみんなにいじられ、写真を撮られ・・・・
やっと更衣スペースに入った時は、もうぐったりだった。
「やっと脱げる!」
ウイッグを外し、制服に着替えると、本当にホッとした。
女装なんて、もうまっぴらだ。
「でもレイキ、本当にかわいかった」
あきらは微笑みながら、メイク落としシートでカオを拭くオレを見る。
「・・・もう二度とやんねーからな。
ほんと、女のコたちの視線、こええんだぜ!?」
思いだすだけで、震えがくる。
「でもさ」
あきらはオレの腰に手を回して引き寄せてきた。
「『彼女』っての・・・・ 間違ってはなかっただろ?」
更衣スペースには、今はオレたちだけ。
「・・・・オレは『彼女』じゃねーよ。 男、だもん」
少しふくれて言うと、あきらはオレの頬にそっと触れた。
「・・・あー・・・ ステージでキス、したかったなー」
「えっ・・・ あれ、本気だったのか!?」
「ああ。 レイキはオレのもんだって、見せつけたかった」
「ばかっ。 お前、ばかだろ!」
恥ずかしくなって、小声であきらを責める。
・・・・でも・・・ もし本当にキスしてたら・・・・ どうだったんだろう・・・・
「・・・・して、欲しかった?」
思わず考え込んでいたオレに、あきらの甘い囁き。
・・・・ほんとは・・・・・ 今、してほしい、けど・・・・
ココはみんなが使う更衣スペース。
いつ誰が入ってくるかわからない。
こうやってくっついてるだけでも、不自然、だもんな・・・・・
オレはあきらの耳元に口を寄せて、
「・・・・帰ってから、いっぱい、シて?」
小さい声で囁いた。
言った後、恥ずかしくなってあきらから離れるけど、あきらは固まったままだった。
「あきら・・・・?」
「はあ・・・・」
あきらはため息をついて、額に手を当てる。
オレ・・・・変なこと言ったかな・・・・
不安になって、あきらのカオを覗き込むと、
「・・・・!」
思わず、オレも固まってしまう。
だって、あきらが照れて、カオを赤くしてたんだ・・・・・
すっげー、珍しい・・・・・!
「ちょっと、今のレイキ・・・・・ キタ・・・・・」
手を額に当てながら、恥ずかしそうに、あきらが呟く。
「あきらがそんなカオするなんて、めずらしいな・・・」
「・・・あんま見るなよ・・・!」
あきらはオレをにらむけど、目元がほんのり赤くて・・・・
なんかあきらが、かわいい・・・・・!
オレの行動で、あきらがこんなになってるなんて、すげーうれしい。
帰ってからの甘い時間が、すごく楽しみになった。
2人で屋上で過ごしていると、あきらのスマホが鳴った。
あきらは面倒くさそうに、スマホを取り出す。
「・・・もしもし?」
『あっ、あきらくん! 今どこにいるの!?』
電話の相手は、オレにも聞こえるくらい大声で話す。
電話の向こうは、がやがやうるさいから、そのせいなのか?
「どこって・・・屋上?」
『もーーっ、何やってるの! 早くステージに来て!!』
「あ」
あきらは少しバツが悪そうなカオになった。
ステージって・・・・ あ
オレも少し考えて、思いだした。
「あきら、コンテストの時間じゃねー?」
聞くと、あきらは小さく頷いた。
「・・・・みたいだな。 忘れてた」
『忘れないでよっ! もう集合時間だから、急いで来てね!』
「わかったよ」
あきらは電話を切ると、小さくため息をついた。
「・・・・めんどくせー・・・・ さぼろっかな」
そう言って、オレの腰に手を回して引き寄せる。
「せっかくレイキと居れるのに」
・・・・うれしい。
オレだって、あきらと居たい、けど。
今からあるのは、うちの学校の文化祭名物、ミスター&ミスコンテスト。
クラスそれぞれ男女1名ずつ選んで出場するんだ。
他にも、自薦他薦何でもアリで、外部から来たお客さんも、勧誘されて飛び込みで出場したりする。
あきらは、オレたちのクラス代表で選ばれた。
「でもさ、みんなに選ばれたんだし。 出なきゃダメだろ」
「んー・・・」
あきらはまだ、気乗りしないみたいで、甘えるようにオレの肩にもたれかかってる。
「ほらあきら、行こうぜ!」
オレは立ち上がって、あきらの腕を引っ張った。
その時、あきらが何か思いついたようなカオをして、オレを見た。
口角を持ち上げるその表情は・・・ どことなく、イジワルで。
「じゃあさ、レイキも出ようぜ」
「・・・・は?」
「うん、そうしよ。 オレが推薦するから」
言いながら、あきらは嬉しそうに立ち上がった。
「ちょっ、待てよ!」
推薦って・・・・
ってか今オレ、メイドの格好だし・・・・
「・・・・・どっち、で・・・・・?」
ニヤって笑うあきらを見て、オレには聞かなくても答えが分かってしまった。
「ばか! 出るわけねーだろ!!」
オレは怒るけど、あきらはそんなこと全然気にしない様子でオレの腕を引いた。
「よし、行こうぜ」
「だから! 待てって!」
あきらに腕を引かれて、オレたちはステージ脇までやってきた。
「あ、あきらくん!おそいー!」
クラスの女子と実行委員の女のコが、あきらを見つけてホッとしたカオになった。
「あきらくん、こっち! ・・・って、え、・・・誰・・・?」
オレがメイドになってることを知らないらしく、クラスの女子は怪訝そうにオレを見る。
「あ、このコ、オレの彼女。
ミスコンに、飛び入りでエントリーさせてくんない?」
『えっ!? ええええええええーーーー!!????』
「あきらっ!」
さらっと言ったあきらに、クラスの女子と実行委員は悲鳴のような声を上げる。
そんなオレたちを置いて、あきらはさっさと男子の方の集合場所に行ってしまった。
取り残されたオレを、女のコたちが上から下まで鋭い視線で見る。
ううっ・・・・・こえーよぉ・・・・・
実行委員は小さくため息をつくと、オレの腕を掴んだ。
「とりあえず、時間ないからこっち来て」
「えっ・・・でも」
「城井くんの推薦で、出場、ね。 名前は?」
「あ・・・ レイ、キ」
「レイ?」
実行委員は聞き取れなかったみたいで、紙に『レイ』と書くと、オレに差し出してきた。
「コレ、胸に張って。 そこで待っててね」
渡された紙は、裏がシールになってて、直接服に張り付けられるようになっていた。
オレ・・・・出たらマズイだろ・・・・
実行委員がオレから離れたので、さっさと逃げようとしたら、
「え、ちょっと!?」
後ろから腕を掴まれた。
振り返ると、高野だった。
高野もうちのクラス代表でエントリーしてる。
「坂本くん・・・・よね?」
高野が小声で聞いてきた。
高野とは教室を出る時に会ったし、オレだってすぐに気付いたみたいだ。
「ああ・・・」
「なんでこんなとこにいるの?」
「あきらの悪ふざけだよ。
無理矢理連れてこられて、自分の推薦でって、エントリーさせられた」
ふて腐れてオレが言うと、高野は声を上げて笑った。
「うけるー! そうなんだ!
じゃあせっかくだし、出ようよ!」
「え、嫌に決まってんだろ。 恥ずかしいし。
オレ抜けるぜ」
「いいじゃない! かわいかったって、クラスでも好評だったよ♡」
「やだって!」
そんなやりとりをしていると、
「じゃあ女のコたちも、ステージに上がってくださーい!」
実行委員に、ステージに上がるよう促される。
逃げようとするけど、高野がオレの腕をしっかりつかんで離さない。
「高野・・・・・!」
「いこっ。 レイちゃん♡」
高野に引っ張られて、ステージに上がってしまった。
あー、もう逃げらんねー・・・
ステージから見下ろすと、たくさんの男子の視線がミスコンエントリーの女のコたちに注がれているのを感じた。
特にオレは、学内でも人気の高野と腕を組んでるから・・・ 余計に視線を感じてしまう。
やべーな・・・ まじ、どーしよ・・・
ふとステージの反対側を見ると、あきらがいるのに気が付いた。
ステージに上がってるオレを見て、満足そうに口角を持ち上げる。
くそっ、ムカつく!
こんな格好で、しかもミスコンの方なんて・・・
「つぎは2-Bの、めぐみちゃん!」
司会が一人ずつ、エントリーしてるコを紹介していく。
高野が紹介されると、客席から歓声が上がった。
さすが・・・・ すげー人気だな・・・
高野はにこにこしてみんなに手を振っていた。
「次は・・・ 飛び入り参加の、レイちゃん!」
うわー・・・ オレだよ・・・・
「めぐみちゃんと同じメイド服ってことは、2-Bのコかな?」
司会に聞かれて、オレはうつむいたまま小さく頷いた。
頼むから、あんまりオレを見ないでくれ・・・・
さっさと、次のコに行ってくれよー・・・・
「レイちゃんを推薦したのは、同じく2-Bの城井くん!
なんとレイちゃんは・・・・・ 城井くんの、彼女だそうでーす!!」
「ええっ!? ちょっ・・・!」
司会の言葉に動揺する。
ステージ上の人も、観客も、そこに居るすべての人の視線がオレに集中するのを感じた。
女のコたちの驚きと嫉妬が入り混じった、冷ややかな視線を浴びせられる。
ただ、オレの隣に居る高野は、笑いをこらえきれないような表情をしていた。
あきらを見ると・・・
あきらもオレを見て、すげー楽しそうな表情。
・・・・まじ、ムカつく!!!
オレはずんずんとステージを横切って、あきらに近づいた。
「あ、ちょっと、レイちゃん!?」
司会が驚いたようにオレを制止するが、無視。
「あきらッ、てめーなあっ」
その胸倉を掴もうと伸ばした手は、逆にあきらに掴まれて、ぐいって引っ張られた。
「うわっ」
バランスを崩したオレの腰にあきらは手を回して、カラダを引き寄せる。
『きゃああーーっ!』
女のコたちの悲鳴のような声。
そんなのをよそに、あきらはオレにカオを近づけてくる。
・・・・オレに、キス、しようとして。
「・・・あきらッ!」
オレは空いていた手で、あきらの顔面を正面から抑え付けた。
「・・・・てめ、ちょーし乗り過ぎだっ」
怒気を孕んだオレの声に、あきらは素直にオレから手を放した。
オレは怒りのままに、茫然とした様子の司会に近づき、その手からマイクを奪い取った。
「2-Bの坂本玲紀だ!
オレがエントリーすんのは、ミスコンじゃなくて、ミスターコンの方だからなっ!!」
鼻息荒く自己紹介をしたオレに、会場から笑いと歓声が起こった。
オレは司会にマイクを返すと、あきらの隣に並んだ。
あきらは笑って、オレの肩を抱いてきた。
「レイキ、ゴメン。 でも、そんな格好なのに、すげーカッコいいな」
「当たり前だろ。 ・・・オレは、男、だよ」
「そうだな」
成り行き上、オレはそのままミスターコンに出場した。
こんな格好なのと、登場の仕方があんなんだったからだろう。 審査員特別賞をもらった。
ミスターコンの優勝はあきら、準優勝は矢神先輩だった。
「先輩! お疲れ様です」
声をかけると、先輩はオレたちを見て笑った。
「今年もあきらに負けたなー。 リベンジしたかったんだけどな」
あきらが入学する前、矢神先輩が1年生の時、先輩はダントツで優勝だったらしい。
「それにしても坂本・・・・・ お前、ウケたぜー」
「もー、笑わないで下さいよ」
「いや、最初ホント分かんなかった。 あきらの彼女って紹介されてたしさ。
こんなかわいいコ、うちの学校に居たんだなー、なんて思ってたよ」
褒められてるのか、よく分かんねーけど。
「とりあえず、あきらの彼女って誤解が解けてよかったです。 ・・・・女のコたちの視線、すげー怖かったですもん・・・・」
オレがげんなりして言うと、矢神先輩はオレの頭をぽんぽんと撫でた。
「坂本、災難だったな。 あきらも、あんまり坂本で遊ぶなよ?」
「遊んでませんよ」
「じゃあ、またな」
矢神先輩と別れて、ため息をつく。
「・・・・ホント、あきらのせいでひどい目に合ったぜ」
「その格好をさせたのは、オレじゃないだろ」
「そうだけどさ」
教室に戻ると、優勝したあきらと準優勝だった高野、そして特別賞をもらったオレを、みんなが歓迎してくれた。
またみんなにいじられ、写真を撮られ・・・・
やっと更衣スペースに入った時は、もうぐったりだった。
「やっと脱げる!」
ウイッグを外し、制服に着替えると、本当にホッとした。
女装なんて、もうまっぴらだ。
「でもレイキ、本当にかわいかった」
あきらは微笑みながら、メイク落としシートでカオを拭くオレを見る。
「・・・もう二度とやんねーからな。
ほんと、女のコたちの視線、こええんだぜ!?」
思いだすだけで、震えがくる。
「でもさ」
あきらはオレの腰に手を回して引き寄せてきた。
「『彼女』っての・・・・ 間違ってはなかっただろ?」
更衣スペースには、今はオレたちだけ。
「・・・・オレは『彼女』じゃねーよ。 男、だもん」
少しふくれて言うと、あきらはオレの頬にそっと触れた。
「・・・あー・・・ ステージでキス、したかったなー」
「えっ・・・ あれ、本気だったのか!?」
「ああ。 レイキはオレのもんだって、見せつけたかった」
「ばかっ。 お前、ばかだろ!」
恥ずかしくなって、小声であきらを責める。
・・・・でも・・・ もし本当にキスしてたら・・・・ どうだったんだろう・・・・
「・・・・して、欲しかった?」
思わず考え込んでいたオレに、あきらの甘い囁き。
・・・・ほんとは・・・・・ 今、してほしい、けど・・・・
ココはみんなが使う更衣スペース。
いつ誰が入ってくるかわからない。
こうやってくっついてるだけでも、不自然、だもんな・・・・・
オレはあきらの耳元に口を寄せて、
「・・・・帰ってから、いっぱい、シて?」
小さい声で囁いた。
言った後、恥ずかしくなってあきらから離れるけど、あきらは固まったままだった。
「あきら・・・・?」
「はあ・・・・」
あきらはため息をついて、額に手を当てる。
オレ・・・・変なこと言ったかな・・・・
不安になって、あきらのカオを覗き込むと、
「・・・・!」
思わず、オレも固まってしまう。
だって、あきらが照れて、カオを赤くしてたんだ・・・・・
すっげー、珍しい・・・・・!
「ちょっと、今のレイキ・・・・・ キタ・・・・・」
手を額に当てながら、恥ずかしそうに、あきらが呟く。
「あきらがそんなカオするなんて、めずらしいな・・・」
「・・・あんま見るなよ・・・!」
あきらはオレをにらむけど、目元がほんのり赤くて・・・・
なんかあきらが、かわいい・・・・・!
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帰ってからの甘い時間が、すごく楽しみになった。
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