16 / 54
第十五話 覚悟と決意①
しおりを挟む
翌日。
朝日と共に目が覚めた。外はまだ薄暗いがゆっくりと寝ていられなかった。昨日布団の中で考えているうちに寝てしまった。どうすればいいかはまだ分からない。
ひな子はベッドから起きると、床に散らばったダイナミクスに関する参考資料をかたっぱしから読んだ。どの本も父の名前がある。その中にいくつか神田父の名もあった。
「ふーん」
ふと、時計を見ると病院の時間まで後少しであった。着替えを終えて部屋を出ると、家の中には誰もいなかった。
「……あ~、マズった」
台所にあったパンを口に入れるとすぐに部屋に戻り財布の中身を確認した後、パソコンを立ち上げ病院位置を確認しそれを紙にメモすると鍵を持って家を出た。
一人で電車に乗ることがほとんどないひな子にとって病院までの道のりは冒険であった。父か母に車を出してもらうように依頼しなかった自分を呪った。
「そうだよね。お父さん、任せるって言っていた」
小さくため息をつくと、改札に電子カードをかざした。カードの残高があったことが幸いだ。
病院までは約一時間。
「ギリギリかな」
なるべく時間短縮できるように、各駅の階段の位置を確認してホームでの移動を最短にした。短縮できる時間は微々たる物であるが積み重なり最後の電車は予定よりも一本速い時間の物に乗れた。
「地道な行動って大切だね」
病院に着くと受付をして、待合室の椅子に座った。平日にも関わらず多くの患者がいた。
その中で、聞き覚えのある声がした。
あたりを見回すと星とその兄遥斗がいた。驚いて二人の顔を何度も見てしまった。
星は思っていたよりも顔色が良く安心したが、横にいた星遥斗の存在に背筋が凍った。一見穏やかな笑顔をしているが、全身で周囲を警戒して人を寄せ付けないようにしている。
現に、待合室は混んでいるのに彼らの周りには人が居なかった。
ひな子自身も近寄りがたく、少し離れた所から彼らを見ていた。
すると、モニターに番号が表示された。星遥斗はそれを見ると、星を連れて診察室に入って行った。
ひな子は彼らがいなくなった後、診察室の担当医の名前を確認した。
「神田の父か」
なんとなく、父が言いたいことが分かった気がした。情報を得ることができたがそれをどう使っていいか悩んだ。
「……お父さんに相談するか」
顎に手をあてて、考えていると突然扉が空いた。
「え?」
目の前に星の顔が現れた。目が合うと彼は満面な笑みを浮かべた。
「新宮」
彼に会えて嬉しく感じた。だがそれと同時に全身に電撃が走った。動けなくなると感じた瞬間、足に力を入れて自分自身に向かって『Stop(とまれ)』と言って思考を停止させた。
自分ダイナミクスを知らないひな子にとって、自身にコマンドを使うのはカケであった。
効果はあり、星遥斗のGlare(グレア)が脳を刺激するのを防いだ。心臓がとても速く動いているが彼に臆せずに立っていることができた。
「久しぶり。流石だね」星遥斗は星の後ろで笑っていた。しかし、その笑顔は星の純粋なそれとは異なった。「僕のGlare(グレア)に耐性があるなんてね」
ダイナミクス検査をしていない年齢の子どもに対して、Glare(グレア)を使う星遥斗はイカレていると思った。それと同時に彼の余裕がないことが見えた。
このチャンスを逃したくなった。しかし、思考を停止しているからかいい案が思い浮かばない。「星さんと同じSクラスなんで」とはったりをかますと星遥斗は目を大きくして食いついてきた。
「そーなの?」
平然を装ったのが効果あったのが、彼は、Glare(グレア)を解除した。
身体が軽くなると自分のかしていたコマンドを解いた。その瞬間、制限されていた思考が襲っていきて頭痛がした。
「おい、大丈夫か?」
ふらつくと、星が支えてくれた。すぐに「平気」と答えたが彼は心配そうな顔をして手を離さなかった。
「星……」
名前を呼んだが、背中にいる彼からの反応はない。その時の星が耳に枝を突っ込んだ事を思い出した。
ひな子は足に力を入れて立ち上がると、星に手のひらを見せた。くるりと身体を動かして彼と対面して目が合うと「だ、い、じょ、う、ぶ」とゆっくりと口を動かした。すると、星はへらりと笑った。彼の後ろから圧を感じた。
「星さん」ひな子は口を手で覆うとじっと星遥斗を見た。「私の神田先生のご子息と殴り合いをしました」
「え」予想外の話であったため、驚いたのか星遥斗の圧が緩まった。
ひな子は周囲に聞かれない様に配慮し、小声で「神田先生の奥方は」と言った後で間を置き、星をチラリと見た後で「この前の事件とその真相を存じておりました」
最新の注意を払い、言葉を選び話した。
「……」星遥斗は口を左右に動かしながら少し考えた後で「今から家来れる?」と聞かれたのでひな子は頷いた。すると、星遥斗は星の肩を叩いた。彼は振り向くと優しく微笑んだ。
「遥」ゆっくりと両手を動かしながら話した。「折角だから、新宮さんとゆっくりと家で話さないかい?」
「いいの?」星は嬉しそうに笑うと、勢いよくひな子の方を向いた。
ひな子はそれに頷くと、ポケットの中に手をいれてスマートフォンに振れると、父に本日の診察の断りメールをした。
朝日と共に目が覚めた。外はまだ薄暗いがゆっくりと寝ていられなかった。昨日布団の中で考えているうちに寝てしまった。どうすればいいかはまだ分からない。
ひな子はベッドから起きると、床に散らばったダイナミクスに関する参考資料をかたっぱしから読んだ。どの本も父の名前がある。その中にいくつか神田父の名もあった。
「ふーん」
ふと、時計を見ると病院の時間まで後少しであった。着替えを終えて部屋を出ると、家の中には誰もいなかった。
「……あ~、マズった」
台所にあったパンを口に入れるとすぐに部屋に戻り財布の中身を確認した後、パソコンを立ち上げ病院位置を確認しそれを紙にメモすると鍵を持って家を出た。
一人で電車に乗ることがほとんどないひな子にとって病院までの道のりは冒険であった。父か母に車を出してもらうように依頼しなかった自分を呪った。
「そうだよね。お父さん、任せるって言っていた」
小さくため息をつくと、改札に電子カードをかざした。カードの残高があったことが幸いだ。
病院までは約一時間。
「ギリギリかな」
なるべく時間短縮できるように、各駅の階段の位置を確認してホームでの移動を最短にした。短縮できる時間は微々たる物であるが積み重なり最後の電車は予定よりも一本速い時間の物に乗れた。
「地道な行動って大切だね」
病院に着くと受付をして、待合室の椅子に座った。平日にも関わらず多くの患者がいた。
その中で、聞き覚えのある声がした。
あたりを見回すと星とその兄遥斗がいた。驚いて二人の顔を何度も見てしまった。
星は思っていたよりも顔色が良く安心したが、横にいた星遥斗の存在に背筋が凍った。一見穏やかな笑顔をしているが、全身で周囲を警戒して人を寄せ付けないようにしている。
現に、待合室は混んでいるのに彼らの周りには人が居なかった。
ひな子自身も近寄りがたく、少し離れた所から彼らを見ていた。
すると、モニターに番号が表示された。星遥斗はそれを見ると、星を連れて診察室に入って行った。
ひな子は彼らがいなくなった後、診察室の担当医の名前を確認した。
「神田の父か」
なんとなく、父が言いたいことが分かった気がした。情報を得ることができたがそれをどう使っていいか悩んだ。
「……お父さんに相談するか」
顎に手をあてて、考えていると突然扉が空いた。
「え?」
目の前に星の顔が現れた。目が合うと彼は満面な笑みを浮かべた。
「新宮」
彼に会えて嬉しく感じた。だがそれと同時に全身に電撃が走った。動けなくなると感じた瞬間、足に力を入れて自分自身に向かって『Stop(とまれ)』と言って思考を停止させた。
自分ダイナミクスを知らないひな子にとって、自身にコマンドを使うのはカケであった。
効果はあり、星遥斗のGlare(グレア)が脳を刺激するのを防いだ。心臓がとても速く動いているが彼に臆せずに立っていることができた。
「久しぶり。流石だね」星遥斗は星の後ろで笑っていた。しかし、その笑顔は星の純粋なそれとは異なった。「僕のGlare(グレア)に耐性があるなんてね」
ダイナミクス検査をしていない年齢の子どもに対して、Glare(グレア)を使う星遥斗はイカレていると思った。それと同時に彼の余裕がないことが見えた。
このチャンスを逃したくなった。しかし、思考を停止しているからかいい案が思い浮かばない。「星さんと同じSクラスなんで」とはったりをかますと星遥斗は目を大きくして食いついてきた。
「そーなの?」
平然を装ったのが効果あったのが、彼は、Glare(グレア)を解除した。
身体が軽くなると自分のかしていたコマンドを解いた。その瞬間、制限されていた思考が襲っていきて頭痛がした。
「おい、大丈夫か?」
ふらつくと、星が支えてくれた。すぐに「平気」と答えたが彼は心配そうな顔をして手を離さなかった。
「星……」
名前を呼んだが、背中にいる彼からの反応はない。その時の星が耳に枝を突っ込んだ事を思い出した。
ひな子は足に力を入れて立ち上がると、星に手のひらを見せた。くるりと身体を動かして彼と対面して目が合うと「だ、い、じょ、う、ぶ」とゆっくりと口を動かした。すると、星はへらりと笑った。彼の後ろから圧を感じた。
「星さん」ひな子は口を手で覆うとじっと星遥斗を見た。「私の神田先生のご子息と殴り合いをしました」
「え」予想外の話であったため、驚いたのか星遥斗の圧が緩まった。
ひな子は周囲に聞かれない様に配慮し、小声で「神田先生の奥方は」と言った後で間を置き、星をチラリと見た後で「この前の事件とその真相を存じておりました」
最新の注意を払い、言葉を選び話した。
「……」星遥斗は口を左右に動かしながら少し考えた後で「今から家来れる?」と聞かれたのでひな子は頷いた。すると、星遥斗は星の肩を叩いた。彼は振り向くと優しく微笑んだ。
「遥」ゆっくりと両手を動かしながら話した。「折角だから、新宮さんとゆっくりと家で話さないかい?」
「いいの?」星は嬉しそうに笑うと、勢いよくひな子の方を向いた。
ひな子はそれに頷くと、ポケットの中に手をいれてスマートフォンに振れると、父に本日の診察の断りメールをした。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる