【R18】僕だけの大切な弟。誰にもわたすつもりはない。〜DomSubユニバース〜

黒夜須(くろやす)

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第十五話 覚悟と決意①

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翌日。
朝日と共に目が覚めた。外はまだ薄暗いがゆっくりと寝ていられなかった。昨日布団の中で考えているうちに寝てしまった。どうすればいいかはまだ分からない。
ひな子はベッドから起きると、床に散らばったダイナミクスに関する参考資料をかたっぱしから読んだ。どの本も父の名前がある。その中にいくつか神田父の名もあった。
「ふーん」
ふと、時計を見ると病院の時間まで後少しであった。着替えを終えて部屋を出ると、家の中には誰もいなかった。
「……あ~、マズった」
台所にあったパンを口に入れるとすぐに部屋に戻り財布の中身を確認した後、パソコンを立ち上げ病院位置を確認しそれを紙にメモすると鍵を持って家を出た。
一人で電車に乗ることがほとんどないひな子にとって病院までの道のりは冒険であった。父か母に車を出してもらうように依頼しなかった自分を呪った。
「そうだよね。お父さん、任せるって言っていた」
小さくため息をつくと、改札に電子カードをかざした。カードの残高があったことが幸いだ。
病院までは約一時間。
「ギリギリかな」
なるべく時間短縮できるように、各駅の階段の位置を確認してホームでの移動を最短にした。短縮できる時間は微々たる物であるが積み重なり最後の電車は予定よりも一本速い時間の物に乗れた。
「地道な行動って大切だね」
病院に着くと受付をして、待合室の椅子に座った。平日にも関わらず多くの患者がいた。
その中で、聞き覚えのある声がした。
あたりを見回すと星とその兄遥斗がいた。驚いて二人の顔を何度も見てしまった。
星は思っていたよりも顔色が良く安心したが、横にいた星遥斗の存在に背筋が凍った。一見穏やかな笑顔をしているが、全身で周囲を警戒して人を寄せ付けないようにしている。
現に、待合室は混んでいるのに彼らの周りには人が居なかった。
ひな子自身も近寄りがたく、少し離れた所から彼らを見ていた。
すると、モニターに番号が表示された。星遥斗はそれを見ると、星を連れて診察室に入って行った。
ひな子は彼らがいなくなった後、診察室の担当医の名前を確認した。
「神田の父か」
なんとなく、父が言いたいことが分かった気がした。情報を得ることができたがそれをどう使っていいか悩んだ。
「……お父さんに相談するか」
顎に手をあてて、考えていると突然扉が空いた。
「え?」
目の前に星の顔が現れた。目が合うと彼は満面な笑みを浮かべた。
「新宮」
彼に会えて嬉しく感じた。だがそれと同時に全身に電撃が走った。動けなくなると感じた瞬間、足に力を入れて自分自身に向かって『Stop(とまれ)』と言って思考を停止させた。
自分ダイナミクスを知らないひな子にとって、自身にコマンドを使うのはカケであった。
効果はあり、星遥斗のGlare(グレア)が脳を刺激するのを防いだ。心臓がとても速く動いているが彼に臆せずに立っていることができた。
「久しぶり。流石だね」星遥斗は星の後ろで笑っていた。しかし、その笑顔は星の純粋なそれとは異なった。「僕のGlare(グレア)に耐性があるなんてね」
ダイナミクス検査をしていない年齢の子どもに対して、Glare(グレア)を使う星遥斗はイカレていると思った。それと同時に彼の余裕がないことが見えた。
このチャンスを逃したくなった。しかし、思考を停止しているからかいい案が思い浮かばない。「星さんと同じSクラスなんで」とはったりをかますと星遥斗は目を大きくして食いついてきた。
「そーなの?」
平然を装ったのが効果あったのが、彼は、Glare(グレア)を解除した。
身体が軽くなると自分のかしていたコマンドを解いた。その瞬間、制限されていた思考が襲っていきて頭痛がした。
「おい、大丈夫か?」
ふらつくと、星が支えてくれた。すぐに「平気」と答えたが彼は心配そうな顔をして手を離さなかった。
「星……」
名前を呼んだが、背中にいる彼からの反応はない。その時の星が耳に枝を突っ込んだ事を思い出した。
ひな子は足に力を入れて立ち上がると、星に手のひらを見せた。くるりと身体を動かして彼と対面して目が合うと「だ、い、じょ、う、ぶ」とゆっくりと口を動かした。すると、星はへらりと笑った。彼の後ろから圧を感じた。
「星さん」ひな子は口を手で覆うとじっと星遥斗を見た。「私の神田先生のご子息と殴り合いをしました」
「え」予想外の話であったため、驚いたのか星遥斗の圧が緩まった。
ひな子は周囲に聞かれない様に配慮し、小声で「神田先生の奥方は」と言った後で間を置き、星をチラリと見た後で「この前の事件とその真相を存じておりました」
最新の注意を払い、言葉を選び話した。
「……」星遥斗は口を左右に動かしながら少し考えた後で「今から家来れる?」と聞かれたのでひな子は頷いた。すると、星遥斗は星の肩を叩いた。彼は振り向くと優しく微笑んだ。
「遥」ゆっくりと両手を動かしながら話した。「折角だから、新宮さんとゆっくりと家で話さないかい?」
「いいの?」星は嬉しそうに笑うと、勢いよくひな子の方を向いた。
ひな子はそれに頷くと、ポケットの中に手をいれてスマートフォンに振れると、父に本日の診察の断りメールをした。
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