22 / 54
第二十一話 星遥①
しおりを挟む
ゆっくりと目を覚ますと、あたりは真っ暗であった。しばらくすると目が慣れて見慣れた天井を見えてきた。
「……家の寝室か?」
ゆっくりと起き上がるとあたりを見回した。
「確か、学校にいて絡まれて……。あ、アレは兄のGlare(グレア)。校内まで来てたのか?」
ベッドから降り立ち上がると寝巻を着ている自分に気づいた。身体からはボディソープの香りがした。
遥は寝室を出ると、リビングルームの方で人の気配がすることに気づいた。ゆっくり扉を開けると遥斗が電話をしていた。背中しか見えなかったため、会話内容や相手が誰だか分からなかった。
遥斗はよく電話をしているから気にすることでもないのかもしれないが、今回は気になった。
電話を切ったのを確認すると、「兄」と声を掛けた。
彼は振り向くと穏やかに微笑んでいた。
遥は電話の相手を聞こうとしたが、彼の手にある手紙を見ると聞くことができなかった。
「鞄を持ってくるときに落ちたよ」
ゆっくり口をあけて話ながら両手を動かした。
いつもは遥の手を取りそこに口に付けて会話をするのに、今日は手話であった。それが遥を不安にさせたがそれと同時に期待もした。
――手紙に嫉妬している?
遥斗を煽る目的で手紙を持ってきたのだから、もし彼が嫉妬して遥に手を出してくれたら意味がある。
「ラブレター? 遥はモテるのだね」
穏やかな笑顔で手紙をわたされ、遥の心は荒れ手紙をポケットに乱暴にいれた。遥斗はそれに気づいている様子であったが特に何も言わなかった。
相変わらず微笑んでいる遥斗は「今日は大変だったね」と言いながら、テーブルに用意された食事を指さした。
全ての会話はゆっくりとした口調と手の動きで伝えられた。いつも様に手をにぎり、唇をつけてはくれない。
右手が寂しくて自分の手を見みてゆっくりと握りしめた。遥斗はその様子に気づいたようだが、何も言わずに席についた。
静かな食事が始まった。
食事が静かなのはいつもの事であるが、今日は気まずかった。
遥斗の事が気になりチラリと見たが彼は食事に集中して目があうことがなかった。
寂しさを感じたがどうアクションを起こしていいか分からなかった。
食事が終わると、食器を流しにいれたまま出掛けてしまった。「そのままでいい」と言われた皿がタライの水の中に浮いている。そこに、遥は自分の食器をいれた。
同じタライに入っているのに遥の使った皿は遥斗の使った皿に触れない。
それが遥斗と自分の様に感じた。
遥は自分の皿を遥斗の皿に近づけた。すると、遥斗の皿が逃げた。
「……兄」
今朝まで、遥斗は優しかった。彼がそうなった理由は神田とトラブルを起こしたことか。手紙をもらったことか。
遥は途方に暮れていた。
タライの水に触れて水洗いした食器を食器洗浄機にいれた。キレイに収まっていく食器。
食器洗浄機を閉めスイッチを入れると、振り向いたがそこにはいつもいる遥斗の姿はなかった。
食事洗浄機の回る音だけが響くキッチン。
「兄……」
呼んでも返事はない。
『出掛けてくる』と言っていた。帰ってこないわけじゃないのに心の中に穴が空いたようだ。
留守番はこれが初めてじゃないのに不安に包まれた。
寝室に行く気になれず、ソファに倒れこんだ。
「兄……。遥斗」近くにあった四角いクッションを抱きしめた。その時のポケットいれた手紙を思い出した。
グシャグシャになった手紙を取り出すと破り捨てようとした。しかし、思いとどまり広げた。
「……ナニコレ」
遥がよくもらう手紙は女性らしい細い手書きの文字で遥への思いが長々とつづられていて、最後に付き合ってほしいようなことが書いてあった。しかし、この手紙は場所と時間のみだ。字もワープロで打ったのだろう。
「罠かなぁ」
手紙を渡してきた女の子のことを遥は思い出した。ピンクのツインテールに大きな胸を持ちアンバランスな体をしていたため目立っていた。
「アニメのキャラクターみたいだったなぁ」
朝、押しかけてくる女の子の中にもそんな人間がいた気がしたが記憶が曖昧であった。
「……」
遥斗がいない広いリビングルームにいると気が滅入りそうであったため寝室へ行った。すると、姿見に自身が映った。筋肉質な腕に割れた腹部。遥は腹部に触れるとひな子のシゴキを思い出した。
「……家の寝室か?」
ゆっくりと起き上がるとあたりを見回した。
「確か、学校にいて絡まれて……。あ、アレは兄のGlare(グレア)。校内まで来てたのか?」
ベッドから降り立ち上がると寝巻を着ている自分に気づいた。身体からはボディソープの香りがした。
遥は寝室を出ると、リビングルームの方で人の気配がすることに気づいた。ゆっくり扉を開けると遥斗が電話をしていた。背中しか見えなかったため、会話内容や相手が誰だか分からなかった。
遥斗はよく電話をしているから気にすることでもないのかもしれないが、今回は気になった。
電話を切ったのを確認すると、「兄」と声を掛けた。
彼は振り向くと穏やかに微笑んでいた。
遥は電話の相手を聞こうとしたが、彼の手にある手紙を見ると聞くことができなかった。
「鞄を持ってくるときに落ちたよ」
ゆっくり口をあけて話ながら両手を動かした。
いつもは遥の手を取りそこに口に付けて会話をするのに、今日は手話であった。それが遥を不安にさせたがそれと同時に期待もした。
――手紙に嫉妬している?
遥斗を煽る目的で手紙を持ってきたのだから、もし彼が嫉妬して遥に手を出してくれたら意味がある。
「ラブレター? 遥はモテるのだね」
穏やかな笑顔で手紙をわたされ、遥の心は荒れ手紙をポケットに乱暴にいれた。遥斗はそれに気づいている様子であったが特に何も言わなかった。
相変わらず微笑んでいる遥斗は「今日は大変だったね」と言いながら、テーブルに用意された食事を指さした。
全ての会話はゆっくりとした口調と手の動きで伝えられた。いつも様に手をにぎり、唇をつけてはくれない。
右手が寂しくて自分の手を見みてゆっくりと握りしめた。遥斗はその様子に気づいたようだが、何も言わずに席についた。
静かな食事が始まった。
食事が静かなのはいつもの事であるが、今日は気まずかった。
遥斗の事が気になりチラリと見たが彼は食事に集中して目があうことがなかった。
寂しさを感じたがどうアクションを起こしていいか分からなかった。
食事が終わると、食器を流しにいれたまま出掛けてしまった。「そのままでいい」と言われた皿がタライの水の中に浮いている。そこに、遥は自分の食器をいれた。
同じタライに入っているのに遥の使った皿は遥斗の使った皿に触れない。
それが遥斗と自分の様に感じた。
遥は自分の皿を遥斗の皿に近づけた。すると、遥斗の皿が逃げた。
「……兄」
今朝まで、遥斗は優しかった。彼がそうなった理由は神田とトラブルを起こしたことか。手紙をもらったことか。
遥は途方に暮れていた。
タライの水に触れて水洗いした食器を食器洗浄機にいれた。キレイに収まっていく食器。
食器洗浄機を閉めスイッチを入れると、振り向いたがそこにはいつもいる遥斗の姿はなかった。
食事洗浄機の回る音だけが響くキッチン。
「兄……」
呼んでも返事はない。
『出掛けてくる』と言っていた。帰ってこないわけじゃないのに心の中に穴が空いたようだ。
留守番はこれが初めてじゃないのに不安に包まれた。
寝室に行く気になれず、ソファに倒れこんだ。
「兄……。遥斗」近くにあった四角いクッションを抱きしめた。その時のポケットいれた手紙を思い出した。
グシャグシャになった手紙を取り出すと破り捨てようとした。しかし、思いとどまり広げた。
「……ナニコレ」
遥がよくもらう手紙は女性らしい細い手書きの文字で遥への思いが長々とつづられていて、最後に付き合ってほしいようなことが書いてあった。しかし、この手紙は場所と時間のみだ。字もワープロで打ったのだろう。
「罠かなぁ」
手紙を渡してきた女の子のことを遥は思い出した。ピンクのツインテールに大きな胸を持ちアンバランスな体をしていたため目立っていた。
「アニメのキャラクターみたいだったなぁ」
朝、押しかけてくる女の子の中にもそんな人間がいた気がしたが記憶が曖昧であった。
「……」
遥斗がいない広いリビングルームにいると気が滅入りそうであったため寝室へ行った。すると、姿見に自身が映った。筋肉質な腕に割れた腹部。遥は腹部に触れるとひな子のシゴキを思い出した。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる