【R18】僕だけの大切な弟。誰にもわたすつもりはない。〜DomSubユニバース〜

黒夜須(くろやす)

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第三十八話 星遥斗⑤

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遥が小学生になってしばらくすると、女子から手紙を貰うようになった。遥自身は興味ないようで、その辺に放置してあるため毎回差出人と中身を確認しておいた。
「なぁ。今日さ、新宮がぁさぁ」
小学校から帰ってきた遥が楽しそうに話した。最近仲の良い女子だ。遥に興味があるのかと思い警戒していた。しかし、一緒に登下校するだけで目立った動きがない。

ある日、遥から強い匂いを感じた。遥自身は風邪だと思っているようだが明らかにSubのモノであった。
本来は本人にダイナミクスを開示するのは公の検査がある13歳で良いと考えていたから予想外だった。
「……」
遥斗は携帯を取り出すと、電話をかけた。相手はワンコールで出た。
「……はい。ええ、星遥のダイナミクスの検査表がほしいですよ。あ~、以前検査したのは生後すぐですよね?僕のSubとして使えるという証明がほしいですよ。ええ、わかりました。お願いします」
電話を切ると、遥斗はため息をついて天井を見た。
「いくか」
遥斗はソファから起き上がると、紙袋を持って外へ出た。少し、歩くと遥が見えた。
彼を見ると心が暖かくなる。
隣にはいつも通り新宮がいた。最近は特に距離が、ちかい気がする。
「やぁ」
声を掛けると、遥はそれに気づき嬉しそうに走ってきた。
「おかえり遥か。あ、新宮さんこれ」
遥斗は新宮に紙袋を渡した。手作りの菓子だ
大抵の子は笑顔で渡すと顔を真っ赤にして喜んだ。それを数回こなすと、彼女らの興味は遥から遥斗へうつった。しかし、新宮は違う。何度か菓子を渡しているが遥斗への興味を抱かなかった。
彼女が遥に恋愛感情があるかも不明だが出る杭は打っておきたい。
「本当に、俺の分家にあるんだよな」
新宮と別れた後、横をある遥が頬を膨らませていた。
「あるよ。でも、その前に病院にいこう」
「えー、なんで?お菓子食べたい」
遥は眉を寄せて、遥斗の服を引っ張った。
「遥、最近身体だるくない?」
遥斗が心配そうに聞くと、「え……」言って顔を下に向けた。そして小さな声で「なんでわかるの?」と聞いた。
元気そうに見えたが、耐えているだけであったようだ。
「なんとなくね。お菓子は持っていこうか」
「本当?」
嬉しそうな遥を見ると、遥斗も楽しい気分になった。
自宅到着すると、黒いバンが家の前に止まっているのが見えた。
「あれ?お母さんの車?」
「そうだよ。それで行く。一回家に入ってランドセル置こうか」
「うん」
遥斗は運転席にいる紫に目で合図を送ると、入室した。
「ただいま」と遥は元気に言って入ると靴を投げ捨てるように脱いだ。それを見て遥斗は可愛らしいと思いながらも彼を呼び、直すように伝えた。
「はぁーい」遥はしぶしぶ靴を直すと、二階に上がり自室にランドセルを置くとすぐに戻ってきた。その間に遥は台所から紙袋に入れた焼き菓子を持ってきた。
「兄、それ?」
目ざとい遥はすぐに手に持っている物に反応した。遥斗は眉を下げながら笑い渡すと嬉しそうに遥は紙袋に覗き込んだ。
「いくよ」
いつまでも玄関に座り込み紙袋を覗き込んでいる遥に声を掛けると「う、うん」と言いながら靴を履いて立ち上がった。
「お待たせ」遥斗は後部座席に乗りながら、運転席の紫に声を掛けた。
「お母さん、お久しぶり」
元気よく手をふりながら遥は入ってきた。
その笑顔は天使そのものだ。
そんな可愛い遥に紫があらぬことを考えるではないかと心配したが「そうね」と単調な返事を返したので安心した。
病院に着くと、紫は迎えに来るからと言って去った。
「なぁ、こうゆうの親なくていいの?」
心配そうな顔で見上げる遥の頭を遥斗は優しく撫ぜた。
「僕がいるから大丈夫だよ」
「そっかぁ」にこりと笑うと遥は素直にうなずいた。
病院の総合受付までくると事務員に名乗った。すると、彼女は緊張した顔ぶりで待つように言うと内線を掛けた。
しばらく待つと白衣の男性が現れた。
「始めまして。新宮幹久(しんぐうみきひさ)と言います」
彼の苗字を聞いた瞬間、新宮ひな子の顔が浮かんだ。似てなくもないがプライバシーに関わることであるため確認しなかった。
「新宮って、新宮ひな子のお父さん?」
遥が大きな声で言った。
「遥……」遥斗は思わず顔に手をやった。
「元気がいいね」新宮医師は穏やかに微笑んだ。「そうだよ。ひな子がいつもお世話になっているね。遥君の話はよく聞いているよ」
「まぁね」
遥斗は有頂天になる遥の頭を下げさせると「星です。よろしくお願いします」とした。すると、遥に手を掴まれ睨まれたが微笑み返した。
「挨拶は大切だよ」
下を向いた遥は小さな声で「はい。星遥です」とつぶやいた。
不貞腐れつつも、遥斗の言うことを聞く遥が可愛くて仕方なかった。
診察室に入ると、頭が後退し腹が出ている医師がいた。
「彼も担当医師の神田勉(かんだつとむ)だよ。本当は一緒に出迎える予定だったんだけど前の診断が長引いてね。ここでえらそーに待ってごめんね」
そう言いながら新宮医師は神田医師を笑顔で見た。
「遅れて申し訳ありません。神田勉と言います」
彼はビクリしながら頭を下げた。
新宮医師は笑顔で神田医師の横に立つと彼の軽く叩いた。
「彼はまだ29歳で若いけど優秀だから」
「29歳?新宮のおじさんは何歳?」
遠慮なく遥が言うと、新宮医師は穏やかに笑い「42歳だよ」と答えた。それに遥は目を大きくして二人を見比べた。
「マジ?新宮のおじさんの方がかっこいいよ。若いし」
「遥、先生だよ」
余りに素直な感想を言うので遥斗はたしなめた。
「ごめんね」
舌を出して笑う遥を新宮医師は微笑んで見ていたが、神田医師は関心がなさそうな顔をしていた。
簡単な問診と血液検査をして帰宅した。
帰宅も紫が車で家まで送ったが遥に「仕事だから」と告げるとそのまま去っていった。
「お母さんの家ってここじゃないのかな」
不安そうにする遥の手を握り家の中に入った。
「仕事が忙しいが仕方ないよ。僕だけじゃ不満かい?」
「そんなことないよ」嬉しそうに笑った。
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