【R18】僕だけの大切な弟。誰にもわたすつもりはない。〜DomSubユニバース〜

黒夜須(くろやす)

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第四十九話 星遥斗⑯

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車を動かすこと数十分。
目的のビルから少し離れた場所のパーキングに車を止めた。
近くに繁華街があるが、ここは静まり返っていた。多くのビルが並んでいたが。どのビルも看板やビル名がない。
「いかにもですねぇ」
いきなり声を掛けられて、驚いて振り向くと真っ赤な三つ編みを左右に振っている市川がいた。
「気配がなかった」
「あはは」市川は得意げに笑った。「すごいでしょ」
自分が成長している分、彼も年をとっているはずであるが会ったときと外見が一切変わらない。ふざけた態度も相変わらずだ。
「はい。これね」
市川は小さなバッチとカードを渡すと「じゃ、お仕事いきますねぇ」と言って去った。
遥斗はジャケットを着てバッチをつけると、ワイシャツ入れて入れたカメラ付きのボールペンを車に投げ入れた。
ネクタイを締めると深呼吸をして足を進めた。
数分歩くと、目的のビルの前についた。
カードをドアに差し込むとガチャリとロックが外れ開いた。
中に入ると黒いスーツに身を包んだ男が現れて遥斗の胸にあるバッチをじっと見ると頭を下げた。
「いらっしゃいませ」
カードを渡すと、男は自分の胸にある札にかざした。
「ようこそ」笑顔で歓迎すると、カードは返却された。「どうぞ」
男の道を開けた。
目の前の扉を開けると、多くの客が酒を飲む広場に出た。下品な笑い声がするそこを通り抜けると、地下室続く階段を見つけた。
そこをゆっくりと降りると薄暗い広間についた。客の顔はほとんど見えなった。
――探せないか。
舞台の方は明るく、そこが良く見える席に神田真人を発見した。
今すぐに、奴を殺したかった気持ちを抑えた。
おそらく広間にいる人間はほとんどDomそれらを全員Glare(グレア)で押さえることは厳しい。できたとしても力の使い過ぎで遥斗自身が動けなくなる。
様子を伺っていると舞台の上でショーが始まった。

Sub競売ショーだ。
舞台の上に手枷と足枷、口枷をつけたSubが登場する。その紹介が終わると競売が開始される。客は手で司会者に合図を送っている。
競売が終わりそうになった時、司会者のもとに黒服の男が来て耳元でささやいた。司会者は頷くと、マイクを持ち直し舞台の真ん中にたった。
「皆様方は幸運にございます。なんと、ラストを飾るのはswitchの女です」
会場が沸き起こった。
Switchはもっとも稀少種。

その時――

1階の方で大きな音がした。
「キャー」という数多くの悲鳴を聞こえる。広間内はざわつきだした。階段から何かが投げられた。慌てて、そこを客がどいた。
投げられモノはテーブルの上に大きな音立てて落ちた。テーブル乗っていた皿やグラスが飛び散った。
落ちてきたのは真っ赤に染まった人間だ。
次々に悲鳴が上がり広間は混乱した。
Switchの女と紹介された後にこの騒ぎ。遥斗の中で思い浮かぶ事物は一人しかいなかった。
遥斗はすぐに、神田真人の方に向かった。
彼は状況が呑み込めずに呆けていたためすぐに捕まえることができた。
「わぁぁ――」
彼の悲鳴で、護衛が気づき襲ってきたが遥斗が睨みGlare(グレア)を浴びせただけで動けなくなった。
「くそぅ、これだからNeutralの護衛は」
神田真人は大声で文句を言った。
「ずいぶん、偉そうだね」
神田真人の首根っこを持つと、彼の顔を自分の方に向けた。
悲鳴を上げて、逃げようとしたため顔面を殴った。
「うぅ」神田は鈍い声を上げた。何度も殴ると、顔の形が変わってきて血だらけになった。
「汚いね」
遥斗は血で汚れた拳を神田の服でふた。
「お、お前は……。昼間の……、アレは、ほ、ほしが、わる、い……」
言い終わらないうちに今度は腹を殴った。神田は呼吸ができなくなり、苦しそうな顔をした。
「僕の大切な子に、お前の汚いコマンド使わないでくれるかな」
何度も腹を殴ると神田は、血を吐いて動かなくなった。
そんな彼を見ると、自然と殺意がなくなった。気持ちが落ち着き、遥ともとへ行きたくなった。
「うーん」
遥斗は神田を舞台の方に投げると、広間を見て目を大きくした。血まみれの新宮が自分よりも大きな男を殴りつけて気絶させた。
後ろから襲ってきた男には割れた瓶を投げつけた。ビンがあたり男の頭はぱっくりとわれ血が噴き出すとその場に倒れた。
新宮の真横には箸が目に突き刺さり右往左往している女がいた。彼女はソレの頭に蹴りを入れて倒した。倒れた女は動かなくなった。
「あははは」真っ赤な新宮は楽しそうに笑い声上げた。
あんなに楽しそうにしている彼女を見たことがなかった。遥と話しているときはどこか面倒くさそうにしていた。
新宮は遥斗の事を怖がっているふしがあるが、彼女の方こそが魔王だ
その時、真横から何から飛んでくる気配がした。身体を曲げてよけると飛んできた方向を見た。そこには座り込んだ神田真人がいた。
後ろで瓶が割れる音がした。
「あれ、生きてたの」
遥斗はゆっくりと神田真人がいる舞台の上に乗った。
「なんだんだよ。なんで、なんで皆邪魔すんだよ」神田真人は迫りくる遥斗に怯えながら言った。「俺はDomなんだぞ」
「だから? 僕もDomだよ」
Glare(グレア)をあびせると震えて失禁した。
「お、俺は神田勉の息子だぞ、こんなことして……」
「だから?」
「大体、ひな子は、お、俺のだ……」
神田真人は血を吐き、息を切らしていた。
「私?」
いつの間にか新宮が真横にいた。彼女は、人相が分からなくなった男の胸ぐらをつかんだままであった。
「ひ、ひなぁこ」神田真人は嬉しそうに彼女の名前を呼ぶと体を引きずりながら近づいてきた。「あぁ。俺のひな子」
遥斗は彼の執念に気持ち悪さを感じた。
「なんなの?」
「う~?」新宮は目を細めて神田を見た。「私ね。父親たちに遺伝子改変させれて生まれました。Switchを作りたかったみたいですね。生まれてからもDomとSubの遺伝子を続けたらSwitchになりました。大分Domよりですけどね。覚醒してからGlare(グレア)もコマンドも使えますよ」
新宮は平然といった。
市川も後からDom遺伝子を入れたと言っていたのを思い出した。
「Dom遺伝子は肉体能力が上がるんだね」そう言いながら遥斗は真っ赤になった新宮をみて先ほどの戦闘の様子を思い出した。「狂暴性もか」
「そーですね」
新宮は自分の話であるがどこか他人事にように返事をした。
「で、こいつは」新宮が神田真人を指差した。「Dom遺伝子いれたんだけど、全然定着しないらしいですね。検査結果はDomなんだけど。コマンドは低ランクのSubにしか効果なしGlare(グレア)は全くという話です」
興味なさそうに言う新宮は足元にきた神田真人を蹴り上げた。
「低ランクSubの女囲って自己満足してたみたいですがね」
「ふーん」遥斗は転がっている神田真人を拾い上げた。
「そうでした」新宮は思い出したように、ポケットから錠剤を出した。「これ、神田真人に飲ませとけって」
そう言うと、遥斗の持っていた神田の口に押し込んだ。
「なに?」遥斗は神田真人がそれを飲み込むのを見届けながら聞いた。
「Subになる薬です。完成したから人体実験」
明るく新宮に対して神田真人は真っ青になった。
ここまで来ると、遥斗は神田真人への怒りがなくなっていた。
「なんで?どうしたの?それ」
「うん?」新宮は首を傾けた。「私を知るために出されたお仕事です。星さんも父らの研究はご存じですよね?」

その時、後ろから「兄……」というよく知っている声がした。まさかと思い振り向くと遥であった。

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