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カトリーナは『寝る』と言ってベッドにもぐったが夕食に呼ばない訳にはいかない。
小さく呼吸をすると、部屋をノックした。すると扉が開きアルベルトは引きずり込まれた。
「――ッ」
驚いたが相手が誰だかわかっていた。そのためアルベルトは抵抗しなかったのだが、彼女の強い力が意思とは関係なく加わったため床に尻をついてしまった。
「ティナ様は?」
座り込んだアルベルトをカトリーナは見下ろした。
「……自宅に送りました」
嘘は言っていないが罪悪感を持った。
「そうか」
カトリーナの安心した顔をしたがすぐに眉を下げた。
「私は最低だ。王子様が私を追った事に動揺してティナ様の安否確認を怠った」
「別に……」
“平民ですし”という言葉を飲み込んだ。カトリーナは平民に対して思い入れがあるようであった。
「無事だから大丈夫ですよ」
彼女のいたたまれない気持ちになったが笑顔を作る事で気持ちを抑えた。
「そうだな」カトリーナは頷き微笑んだ。
屋敷にいる事がバレたら彼女は即座に向かうだろう。公爵令嬢が平民と親密になるべきではない。
夕食には珍しく公爵がいた。
「カトリーナ、きたか」
「はい、お父様」挨拶をすると席についた。
「相変わらず、兄に服を着ているのか」
「はい、お兄様の服は着心地がいいのですよ」
カトリーナが満面の笑みで笑うと、公爵はわかりやすくデレた。ゆるみきった公爵の顔は扉の前にいてもよく分かった。
「そうか、ならば似たよう服を作ろう」
「いりません」
きっぱりと断るカトリーナに、公爵は眉を下げて大げさに悲しい顔をしたが娘は気にせず食を進めた。
「そろそろ、リチャードの誕生パーティーがある。ドレスを一つしたてようか。勿論、それにあった装飾品をな」
楽しそうに微笑む公爵にカトリーナは大きく首をふった。
「お兄様の誕生パーティーには出席しませんので必要ありません。もっと有意義な事にお金をお使い下さい」
「娘を美しくするのだ。有意義だろう」
「そうですね」カトリーナは小さく頷いた。「それなりの格好をしませんと公爵の娘として威厳が持てませんね」
「カトリーナ……」
公爵はまた眉を下げた。カトリーナと話をする時の公爵は表情豊だ。
「私は、お前が笑ってくられれば嬉しいだよ。他人の見せるためのモノではない」
「そうですね」カトリーナは優しい微笑みを浮かべた。「ではほしいのがありますの」
公爵は彼女の言葉に期待を持っているようであるが、アルベルトは嫌な予感しかしなかった。
こういった事は初めてではないため彼女が何を望むか公爵も想像できるはずだ。しかし、愛娘に甘えられたら正当な判断が出来なくなるようだ。
「なんだ? ほしい? 最高級の物を用意しよう」
「ありがとうございます。それでは剣術の先生を下さい」
「あ~……」公爵は顔を抑えた。「そうだね。カトリーナはそういう子だったね」
ここまできてやっと公爵は我が娘の性格を思い出したようであった。
「ダメですか?」
カトリーナは指を交差させて口元に持ってくると、首を曲げて顎を下げた。
「お、と、う、さ、ま」
上目遣いでゆっくりと口を動かすしぐさにグッとこない人間は不能だと言い切れるほどに破壊力があった。
「わかった。手配しよう」
公爵は即答。
心臓を撃ち抜かれたのは公爵だけではない。周りにいた使用人も顔を赤くしている。
「ありがとうございます。お父様大好きです」
要求が通ったカトリーナだけではなく、承諾した公爵も幸せな顔をしていた。
和やかな夕食は終わり、カトリーナが就寝したのを確認するとアルベルトは自室に戻った。
小さく呼吸をすると、部屋をノックした。すると扉が開きアルベルトは引きずり込まれた。
「――ッ」
驚いたが相手が誰だかわかっていた。そのためアルベルトは抵抗しなかったのだが、彼女の強い力が意思とは関係なく加わったため床に尻をついてしまった。
「ティナ様は?」
座り込んだアルベルトをカトリーナは見下ろした。
「……自宅に送りました」
嘘は言っていないが罪悪感を持った。
「そうか」
カトリーナの安心した顔をしたがすぐに眉を下げた。
「私は最低だ。王子様が私を追った事に動揺してティナ様の安否確認を怠った」
「別に……」
“平民ですし”という言葉を飲み込んだ。カトリーナは平民に対して思い入れがあるようであった。
「無事だから大丈夫ですよ」
彼女のいたたまれない気持ちになったが笑顔を作る事で気持ちを抑えた。
「そうだな」カトリーナは頷き微笑んだ。
屋敷にいる事がバレたら彼女は即座に向かうだろう。公爵令嬢が平民と親密になるべきではない。
夕食には珍しく公爵がいた。
「カトリーナ、きたか」
「はい、お父様」挨拶をすると席についた。
「相変わらず、兄に服を着ているのか」
「はい、お兄様の服は着心地がいいのですよ」
カトリーナが満面の笑みで笑うと、公爵はわかりやすくデレた。ゆるみきった公爵の顔は扉の前にいてもよく分かった。
「そうか、ならば似たよう服を作ろう」
「いりません」
きっぱりと断るカトリーナに、公爵は眉を下げて大げさに悲しい顔をしたが娘は気にせず食を進めた。
「そろそろ、リチャードの誕生パーティーがある。ドレスを一つしたてようか。勿論、それにあった装飾品をな」
楽しそうに微笑む公爵にカトリーナは大きく首をふった。
「お兄様の誕生パーティーには出席しませんので必要ありません。もっと有意義な事にお金をお使い下さい」
「娘を美しくするのだ。有意義だろう」
「そうですね」カトリーナは小さく頷いた。「それなりの格好をしませんと公爵の娘として威厳が持てませんね」
「カトリーナ……」
公爵はまた眉を下げた。カトリーナと話をする時の公爵は表情豊だ。
「私は、お前が笑ってくられれば嬉しいだよ。他人の見せるためのモノではない」
「そうですね」カトリーナは優しい微笑みを浮かべた。「ではほしいのがありますの」
公爵は彼女の言葉に期待を持っているようであるが、アルベルトは嫌な予感しかしなかった。
こういった事は初めてではないため彼女が何を望むか公爵も想像できるはずだ。しかし、愛娘に甘えられたら正当な判断が出来なくなるようだ。
「なんだ? ほしい? 最高級の物を用意しよう」
「ありがとうございます。それでは剣術の先生を下さい」
「あ~……」公爵は顔を抑えた。「そうだね。カトリーナはそういう子だったね」
ここまできてやっと公爵は我が娘の性格を思い出したようであった。
「ダメですか?」
カトリーナは指を交差させて口元に持ってくると、首を曲げて顎を下げた。
「お、と、う、さ、ま」
上目遣いでゆっくりと口を動かすしぐさにグッとこない人間は不能だと言い切れるほどに破壊力があった。
「わかった。手配しよう」
公爵は即答。
心臓を撃ち抜かれたのは公爵だけではない。周りにいた使用人も顔を赤くしている。
「ありがとうございます。お父様大好きです」
要求が通ったカトリーナだけではなく、承諾した公爵も幸せな顔をしていた。
和やかな夕食は終わり、カトリーナが就寝したのを確認するとアルベルトは自室に戻った。
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