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休み明け、登校するとすぐに虎司が話しかけてきた。
「なんで、あの日、勝手に帰ったんだよ」
「あ~」
虎司払いの飲み会で彼に挨拶をせずに帰ったのは失礼だったと思った。しかし、あの時はそんな事を考える余裕がなかった。
「何度も連絡したんだよ」
スマートフォンを見ると何件も虎司からのメッセージがあった。
「……ごめん」
「まぁ、それはいいけどさ。聞いてくれよ」
肩を組もうとしてきた虎司の手を避けた。すると、彼は目を大きくした。
「ベタベタしないでほしいだけど」
「え――、別にいいだろ。男同士だし」
毎回の事のやり取りが面倒くさくてため息をついた。虎司は『男同士』と言っては身体に接触してくる。それもあり周囲から恋人と勘違いされる。
最悪だった。
「で? なに?」
「あのさ、一香ちゃんの彼氏って彼氏じゃなくて彼女だったんだよ」虎司を嬉しいそうに言った。
その話かとため息が出た。
「なんだよ。興味なし?」
「ないよ」素っ気なく答えた。
「チャンスだよ」虎司は期待に満ちた目をしていた。「悠が恵ちゃんと付き合いなよ。男の子みたいだけど女の子だしちょうどいいじゃん」
「……」
彼に悪気なく、好意で言っている事は知っているが疲れる。
「そしたら、俺は一香ちゃんと」
ニヤニヤと妄想する彼を見て河沼一香に同情した。
「河沼さんは本気で木山さんと付き合っているんだよね。邪魔しちゃダメだよ」
「女同士だよ。俺、そういうの偏見ないから大丈夫。男の良さをしれば目が覚めるさ」
自信満々に言う彼を説得させるのは困難だと感じた。
彼のような人間は珍しくはない事を知っているし、普段なら適当に流すが恋人の友人が巻き込まれているなら話は別だ。
「虎司より木山さんの方がかっこいいよ」
「確かに、初めてあった時は長身のイケメンが彼氏じゃ脈ないって思ったよ。でも女の子じゃん?」
話が通じない彼に頭痛がしてきた。けど、正樹の友人のためにもう少し頑張ろうと思いながら席についた。
虎司はへらへらと笑いながら、何人かの友人に挨拶をしながら隣に座った。悠も笑顔で挨拶を返した。
「あのさ、男は恋愛対象外って言われなかったの?」席に着くとすぐに話しかけた。
「言われたよ。はっきりとね」
「なら……」
「それはさ。いい男と会った事ないだよ。あの子、友人ってアレだろ」
アレが誰を指しているかすぐに理解した悠は不快に感じた。
「近藤正樹君の事?」
「そうそう」虎司は大きく頷いた。「アレはきっと身長一七〇ないだろ。それに顔だって 普通だしさ。あの子らと並ぶとさ。見劣りするっていうか」
確かに、河沼一香も木山恵も整った顔立ちをしている。そんな彼らが正樹と一緒にいるのは彼の人間性だ。
虎司が醜く人間に感じた。
「……虎司と話したくない」冷たくそう言うと、正面を見た。
「え? なんで」
分かっていない彼は慌てて話しかけた所で講師が来たためそこで切れた。
虎司の言葉に心底イライラしたが、講義に集中して忘れようと心掛けた。
「なんで、あの日、勝手に帰ったんだよ」
「あ~」
虎司払いの飲み会で彼に挨拶をせずに帰ったのは失礼だったと思った。しかし、あの時はそんな事を考える余裕がなかった。
「何度も連絡したんだよ」
スマートフォンを見ると何件も虎司からのメッセージがあった。
「……ごめん」
「まぁ、それはいいけどさ。聞いてくれよ」
肩を組もうとしてきた虎司の手を避けた。すると、彼は目を大きくした。
「ベタベタしないでほしいだけど」
「え――、別にいいだろ。男同士だし」
毎回の事のやり取りが面倒くさくてため息をついた。虎司は『男同士』と言っては身体に接触してくる。それもあり周囲から恋人と勘違いされる。
最悪だった。
「で? なに?」
「あのさ、一香ちゃんの彼氏って彼氏じゃなくて彼女だったんだよ」虎司を嬉しいそうに言った。
その話かとため息が出た。
「なんだよ。興味なし?」
「ないよ」素っ気なく答えた。
「チャンスだよ」虎司は期待に満ちた目をしていた。「悠が恵ちゃんと付き合いなよ。男の子みたいだけど女の子だしちょうどいいじゃん」
「……」
彼に悪気なく、好意で言っている事は知っているが疲れる。
「そしたら、俺は一香ちゃんと」
ニヤニヤと妄想する彼を見て河沼一香に同情した。
「河沼さんは本気で木山さんと付き合っているんだよね。邪魔しちゃダメだよ」
「女同士だよ。俺、そういうの偏見ないから大丈夫。男の良さをしれば目が覚めるさ」
自信満々に言う彼を説得させるのは困難だと感じた。
彼のような人間は珍しくはない事を知っているし、普段なら適当に流すが恋人の友人が巻き込まれているなら話は別だ。
「虎司より木山さんの方がかっこいいよ」
「確かに、初めてあった時は長身のイケメンが彼氏じゃ脈ないって思ったよ。でも女の子じゃん?」
話が通じない彼に頭痛がしてきた。けど、正樹の友人のためにもう少し頑張ろうと思いながら席についた。
虎司はへらへらと笑いながら、何人かの友人に挨拶をしながら隣に座った。悠も笑顔で挨拶を返した。
「あのさ、男は恋愛対象外って言われなかったの?」席に着くとすぐに話しかけた。
「言われたよ。はっきりとね」
「なら……」
「それはさ。いい男と会った事ないだよ。あの子、友人ってアレだろ」
アレが誰を指しているかすぐに理解した悠は不快に感じた。
「近藤正樹君の事?」
「そうそう」虎司は大きく頷いた。「アレはきっと身長一七〇ないだろ。それに顔だって 普通だしさ。あの子らと並ぶとさ。見劣りするっていうか」
確かに、河沼一香も木山恵も整った顔立ちをしている。そんな彼らが正樹と一緒にいるのは彼の人間性だ。
虎司が醜く人間に感じた。
「……虎司と話したくない」冷たくそう言うと、正面を見た。
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