【完結】腐女子が王子~独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
26 / 146

ウサギ耳は消えた

しおりを挟む
 
 ウサギ耳を切るのはやはりルイの身体が心配であったため、解除魔法陣を作る事にした。

 ルイの感情によって動くウサギ耳は可愛いのでこのままでもいいと思ったがそうもいかない。周囲への説明が面倒くさい。

 「解除とはそもそも、どういう状態なのかな。例えば、ウサギ耳を消すのではなく、何かをぶつけて相殺するとかね。例えば…」
 ルイの呟きに頷く。

 なるほど、相殺という考えたもありだ。盲点であったと思う。視点を変えれば圧倒的魔法陣の構造が頭に浮かんだ。

 「OK、ルイできた。」
 「おーけーって?」

 その疑問には答えず、ルイの顔の前で魔法陣を書き始める。書き終わると魔法陣が浮き出てくる。その魔法陣に手をかざし押すような動作をとると魔法陣はルイの中にはいっていく。それとも同時にウサギ耳は綺麗になくなった。

 「消えた」

 ウサギ耳がなくなったルイの頭触って確認する。どこにもない事がわかり安堵する。

 「ありがとう」
 「私のせいだからお礼はいらないよ。」

 両手で自分の頭を触り確認しながらお礼を言うルイに私は首を振った。

 もともとは私の失敗だ。しかも元に戻ったのだってルイがアドレスをくれたおかけだ。私は罪悪感でいっぱいになった。

 「ごめん」

 本当に申し訳ないと思い頭を下げる。今回は大事にならずにすんだがもしかしたら大怪我や最悪な事になりかねない。

 「ねぇ、大丈夫だよ。」

 私の肩を叩き慰めてくれるが、気持ちは晴れない。

 「もう、魔法陣やめようかな。」
 
 守りたいと思った人を傷つける可能性のあるものはやめた方がいい。やはり剣術を鍛えて……

 「だいじょーぶ。また、上手くいかなくなったら一緒に考えよう。創作魔法陣ができる人間なんて本当に少数なんだよ。そもそも魔法陣自体王族しか使えないしね。」
 ルイは優しい笑顔で私を励ましてくれた。自分は石板の魔法陣しか使えないのに一緒になんて言うルイはまるで天使のようである。彼の天使は外見だけではない。

 なんで魔法陣は王族しか使えないくて王族でも能力に差があるのだろう。

 「そうだ、なんで王族しか使えないの?」

 勢いよく顔あげ、ルイの方を身体ごと向いた。
 ルイは私の質問に眉間にシワを寄せて少し考えたが首をふる。ルイが知らないのも当然か図書室のどこにもその話はのっていなかった。
 「分からない事だらけだね。」
 「そうだね。じゃ一緒に調べようか。」
 さっきから“一緒に、一緒に”と楽しそうに誘ってくる。それが嬉しくてたまらない。
 ルイを傷つけそうになった事は気に病むけど、その本人が“一緒に”というならば頑張ってみようと思う。

 「それで、ルカは何がわからないの?」

 「まず、魔法陣のこと。構造や王族しか使えないのも気になる。ハリー・ナイトの事も調べないと。」

 一つ一つ指を折りながら考えていくうちに重大な事を思いだした。見つけた時に後回しにしていたが今はルイがいる。一緒に確認するべきである。

 きっとアレは我が国にとって重要なできごとだ。

 声を掛けずに立ち上がりがった私の勢いに隣座っていたルイがバランスを崩し身体が傾いていた。しかし、気にせずに本棚へ向かった。そんな私にルイは驚きながらも急いで立ち上がり、ついてきた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

処理中です...