異能ゲームと夢幻世界

端島樹

文字の大きさ
上 下
4 / 5

UPSA医療ルーム

しおりを挟む
 「いったい何がどうなってるんだ…………」

 啓太は能力の目覚めと共に力尽きた……。

 

 目が覚めると目の前には見慣れない白い天井が見えた。隣にはクレアがなにやら難しい顔をしながら端末をいじっていた。
 
「ここはどこなんですか? 僕は一体何をしていたんですか?」

 ゆっくりと体を起こしながら言う。

 「やっと目覚めたようだな。お前は能力が目覚めた後、そのまま気絶してここ、UPSAの医療ルームまで運ばれた。」

 今いる白い部屋には医療機器らしきものと自分が寝てるベッド以外特に物がないので、クレアが目立って見えた。

 「……能力が目覚めた……」

 「まだ実感がわかないみたいだな、まぁ無理もないだろう。しばらくそこで休め。元気になったらそこのボタンを押せ、呼び出しボタンになっている」

 「分かりました」

 今日は本当に疲れた、体力的にも、精神的にも。なんせ家に帰って寝て起きたら急にこんな世界になって能力使いだと言われ、変な集団には殺されかけたわけだから。

 今見ている世界は本当は夢で、今寝たら元の世界に戻れるのかもしれない。とにかく疲れたしもう一度寝てみよう。

 
 ふと、誰かに呼ばれたかのように目が覚めた。辺りは真っ白でただ何もない空間が広がっていた。

 「ここはどこなんだ?」

 「目が覚めたようだな内田啓太。もうこの世界には慣れたかな?」

 低く、重い声が何もない空間に響いたが、辺りを見回しても一つも人らしき影は見えない。

 「お前は誰だ! どこにいる!」

 場所も方向も分からない空間で叫ぶ。

 「私はこのゲームのマスター。つまり、この世界を侵略しようとするものだ」

 「何のためにこの世界を侵略しようとするんだ!」
 
 「知りたいか? 少し教えてやろう侵略する理由は極めて単純だ、新しい世界が欲しいからだ」

 「じゃあ、なぜよく分からないゲームなど始めた!」

 「それも簡単なことだ、お前らなんてやろうと思えば簡単にひねりつぶせる。ただ、そうすると侵略の手応えもなくつまらん。だから、わざわざお前らに能力を与えてゲームを始めた」

 「確かに肉体的に言ったら人間はお前たちから見たら虫けら以下だろうな。だが知能はある。お前らみたいなただ力が強いサルとは違うぞ!」
 
 いつもじゃ考えれないくらい威勢がいい自分に少し違和感を覚えた。

 「随分と偉そうなことを言うんだな。なら、このゲームに勝って証明してみるがいい。お前らの方が優れた存在であることを」

 得体もしれない声が止むと同時に周りの空間がガラスを割るように崩れていった。自分を支えてた地面も無くなり、僕は終わりの見えない暗闇に落とされた。

 「うわああああああああああ!」

「きゃっ!? 急に何だっ!」

 聞きなれない声が横から聞こえた。どうやら僕は夢を見ていて、急に起き上がったみたいだ。

 「貴様! 急に起きるな!びっくりするだろうが」

 声がした方を向くとそこには軍服と呼ぶにはラフな感じの制服のようなものを着た少女がいた。

 「すいません……」

 「分かればいいんだ」

 少し照れたようにその少女は返事をした。

 「ところであなたは誰なんですか?」

 「私は、新城ルミ。様子を見てこいと言われてここにいる」

 「僕はどれくらい寝ていたんですか?」

 「こんな世界になったせいで今は時間の標準が復旧してないが、この時計で言うと約8時間だな」

 そう言いルミは腕時計を見せてきた。

 「8時間!?そんなに寝てたのか。
時間の標準が復旧してないってどういうことなんだ?」

 「私について来て、そこで詳しい話をします」
しおりを挟む

処理中です...