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思い出した、前世
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私が所謂前世というものを思い出したのは、12才のときでありました。お兄様が庭にいくのについていってたら、足を滑らせ、庭の池にどぼーん、と落ち溺れて死にかけて思い出しました。
私が生まれたのは、剣と魔法の世界。
イエーーーー異世界転生だ、ひゃっほぅ! ……なーんて、喜べたらどんなによかったか。
思い出したのは、残酷な運命。転生先は、義兄イアンの恋人オーロラを苛めて、ヤンデレな義兄に闇に葬られる、悪役令嬢でした。
そりゃあね。お兄様からしたら、小さい頃からちょこまかちょこまかと付きまとわれて鬱陶しいことこの上ないのに、闇の世界から救ってくれた愛しい恋人を殺されかけたら、殺しちゃおうかなー、とか思っても仕方ない。 って、納得できるかぁー!
むりむりむり。死ぬとかむり。
私、ヴァイオレット決めました! 今日からブラコン辞めます。
私こと、ヴァイオレットはお兄様のことが好きだった。その好きはライクではなくラブだ。
だから、恋人になって愛されているオーロラが許せなくて、妬ましくて、いじめる。
前世を思い出して、ちょっと落ち着きが前よりなくなったけれど、ヴァイオレットの本質は変わらない。このままお兄様を好きでい続けて、オーロラをいじめないなんて絶対むり!
嫉妬に狂い、いじめて、いじめて、いじめたおしちゃうだろう。
だからこの恋心、スパッと諦めます。
まずはその第一歩として、宣言通りブラコンをやめる。
1 お兄様の後ろをついて回らない。
2 夜会のダンスをお兄様とだけじゃなくて、他の男の子とも踊る。
3 新しい人に恋をする。
この3つをとりあえず、心がけていこうと思う。
「よし!」
思ったよりも、大きな声をあげてしまった。その声に気づいた侍女たちが集まってくる。
「お嬢様、目を覚まされたのですね! すぐに旦那様たちをお呼びします
◇◇◇
どうやら、私は池に落ちた影響で一週間ほど熱に魘されていたらしい。お父様とお母様には大変心配された。
それに、お兄様も。
「心配したよ、ヴァイオレット」
そういって、眉を寄せるお兄様は本当に心配しているように見える。けど、前世を思い出した私はそんなお兄様に抱きつかずに、少しだけ冷静に観察できる。
心配したというわりには侍女たちによるとお兄様は私がうなされている間、一度も見舞いにこなかったらしい。
うん。このことから、だいぶ疎まれていることがわかるね!
もうお兄様ったら、素直にいい気味だぜ! くらい言ったらいいのに。素直じゃないんだから。このこの。
なーんて、口が裂けてもそんなことは言えないので──言ったらそれこそ殺されそう──素直にお礼を言う。
「心配してくださってありがとう。お兄様、もう大丈夫よ」
「ほんとうにもう大丈夫なのかい?」
抱きつかない私にいぶかしげな顔をしたお兄様に謝る。
「大丈夫。それからごめんなさい。もうお兄様には、付きまとわないわ」
「……え?」
お兄様がとっても驚いたように、口をあんぐりとあけた。そんなお兄様の間の抜けた顔は初めてみる。お兄様でもそんな顔するんだね!
「ヴァイオレット、やっぱりまだ熱があるんじゃない? 僕はヴァイオレットに付きまとわれているなんて思ったことはないよ」
またまた。お兄様ってば嘘がお上手なんだから。
「僕たちはいつも一緒の仲のいい兄妹だったじゃないか」
表向きはね。お兄様が私をただの妹としてさえ思ってないこと、私はちゃんと気づいてたよ。それでも好きになってほしかったの。でも、この想いはもうおしまい。
「ええ。これからも仲良しなのは変わらないわ。ただ、ちょっと今までの私は距離が近すぎたなって」
私がそういうと、お兄様は奇妙なものを見るような目で私を見たあと頷いた。
「寂しいけど、兄離れの時期が来たんだね。わかったよ。おやすみ、ヴァイオレット」
「おやすみなさい、お兄様」
よーし、明日から新たな恋に、魔法に。頑張っちゃうぞ。
私が生まれたのは、剣と魔法の世界。
イエーーーー異世界転生だ、ひゃっほぅ! ……なーんて、喜べたらどんなによかったか。
思い出したのは、残酷な運命。転生先は、義兄イアンの恋人オーロラを苛めて、ヤンデレな義兄に闇に葬られる、悪役令嬢でした。
そりゃあね。お兄様からしたら、小さい頃からちょこまかちょこまかと付きまとわれて鬱陶しいことこの上ないのに、闇の世界から救ってくれた愛しい恋人を殺されかけたら、殺しちゃおうかなー、とか思っても仕方ない。 って、納得できるかぁー!
むりむりむり。死ぬとかむり。
私、ヴァイオレット決めました! 今日からブラコン辞めます。
私こと、ヴァイオレットはお兄様のことが好きだった。その好きはライクではなくラブだ。
だから、恋人になって愛されているオーロラが許せなくて、妬ましくて、いじめる。
前世を思い出して、ちょっと落ち着きが前よりなくなったけれど、ヴァイオレットの本質は変わらない。このままお兄様を好きでい続けて、オーロラをいじめないなんて絶対むり!
嫉妬に狂い、いじめて、いじめて、いじめたおしちゃうだろう。
だからこの恋心、スパッと諦めます。
まずはその第一歩として、宣言通りブラコンをやめる。
1 お兄様の後ろをついて回らない。
2 夜会のダンスをお兄様とだけじゃなくて、他の男の子とも踊る。
3 新しい人に恋をする。
この3つをとりあえず、心がけていこうと思う。
「よし!」
思ったよりも、大きな声をあげてしまった。その声に気づいた侍女たちが集まってくる。
「お嬢様、目を覚まされたのですね! すぐに旦那様たちをお呼びします
◇◇◇
どうやら、私は池に落ちた影響で一週間ほど熱に魘されていたらしい。お父様とお母様には大変心配された。
それに、お兄様も。
「心配したよ、ヴァイオレット」
そういって、眉を寄せるお兄様は本当に心配しているように見える。けど、前世を思い出した私はそんなお兄様に抱きつかずに、少しだけ冷静に観察できる。
心配したというわりには侍女たちによるとお兄様は私がうなされている間、一度も見舞いにこなかったらしい。
うん。このことから、だいぶ疎まれていることがわかるね!
もうお兄様ったら、素直にいい気味だぜ! くらい言ったらいいのに。素直じゃないんだから。このこの。
なーんて、口が裂けてもそんなことは言えないので──言ったらそれこそ殺されそう──素直にお礼を言う。
「心配してくださってありがとう。お兄様、もう大丈夫よ」
「ほんとうにもう大丈夫なのかい?」
抱きつかない私にいぶかしげな顔をしたお兄様に謝る。
「大丈夫。それからごめんなさい。もうお兄様には、付きまとわないわ」
「……え?」
お兄様がとっても驚いたように、口をあんぐりとあけた。そんなお兄様の間の抜けた顔は初めてみる。お兄様でもそんな顔するんだね!
「ヴァイオレット、やっぱりまだ熱があるんじゃない? 僕はヴァイオレットに付きまとわれているなんて思ったことはないよ」
またまた。お兄様ってば嘘がお上手なんだから。
「僕たちはいつも一緒の仲のいい兄妹だったじゃないか」
表向きはね。お兄様が私をただの妹としてさえ思ってないこと、私はちゃんと気づいてたよ。それでも好きになってほしかったの。でも、この想いはもうおしまい。
「ええ。これからも仲良しなのは変わらないわ。ただ、ちょっと今までの私は距離が近すぎたなって」
私がそういうと、お兄様は奇妙なものを見るような目で私を見たあと頷いた。
「寂しいけど、兄離れの時期が来たんだね。わかったよ。おやすみ、ヴァイオレット」
「おやすみなさい、お兄様」
よーし、明日から新たな恋に、魔法に。頑張っちゃうぞ。
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