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二度目の生
26 巫女と聖女
今日は機密情報を取り扱うらしく、魔王から書類整理の仕事はお休みだと連絡が来た。読み書きの勉強も大分できるようになったので、宿題も特に出ていない。さて、何をしようか。そう思って、あることを思い付く。
巫女とは一体何なのか?
そのことを疑問に思っていたが、そういえばこの城の図書室には巫女と聖女について書かれた本があったはずだ。それを読むことにしよう。
布で髪と耳を覆い、サーラを連れて図書室へ行く。サーラには図書室の入り口で待ってもらい、歴史のコーナーを探す。
「ええと、確か……」
この辺りだったはず、と本棚を探すと目的の本が見つかった。
「『巫女と聖女』……これだ」
その本を借りて、部屋に戻り本を開く。
──聖女とは、光をもたらす。巫女とは、幸運をもたらす。この二人の乙女は、通常一対であり、巫女は別名、魔王の運命と呼ばれ……
ここは前に読んだところだ。パラパラとページをめくって、巫女について詳しいことが書かれている部分を探す。すると、気になる記述を見つけた。
「巫女とは己の願いを叶えし者、聖女は他者の願いを叶えし者……?」
巫女は自分自身の願いを叶える力を持つ? いや、でも、もしかしたらそうかもしれない。巫女は毎回魔王と結婚している。それならば、巫女の願いは、クリスタリア側の願いだろう。結果としてそれは、クリスタリア側には幸運をもたらすことになる。反対に、アストリアには、その願いが厄災となるのかもしれない。
「巫女が、幸運を招き、厄災をもたらすってこういうことか……」
じゃあ反対に聖女は?
他者の願いを叶えし者。前世で聖女が現れたのは、アストリア側だ。つまり、アストリア側の願いを叶えることになる。アストリア側の願いは──魔物を滅ぼすこと。だから、魔物を滅ぼすことに特化した聖女が現れたのかもしれない。
でも、ここに書かれていることが本当なら、私は私自身の願いを叶えることができることになる。
私の願いは、そうだな、夏だしアイスクリームが食べたい。心の中で願ってみる。しかし、アイスクリームは現れなかった。
そのことにがっかりしながら、本を閉じる。やっぱり私は、何の力も持たないただの小娘のようだ。
翌日。休憩時間に、魔王に昨日知ったことを話す。巫女は自分の願いを叶えるものらしいこと。そして、私にはそんな力はなかったこと。
「もしかしたら、まだ力が馴染んでいないのかもしれないな」
「馴染んでいない?」
「巫女は、クリスタリアとの縁が深い。まだ貴方がクリスタリアに来て、四ヶ月だ。力が馴染むのに、半年ほどかかるのでは?」
そうかなぁ。聖女は、現れたと同時に力を使って、魔物を滅ぼしていったけどなぁ。
私の思いが顔に出ていたのか、魔王は苦笑した。
「それか他に条件があるのか……まぁ巫女は気まぐれだからな」
その言葉は前にも聞いた。
「神とは本来気まぐれなもの。話し半分に聞くぐらいで丁度いい。それに貴方が何者であっても、貴方は私にとっての幸運で、友人であることに変わりはない、違うか?」
「……いいえ」
魔王はずるい。でも、それは『聖女』でも『巫女』でもなく、『私』自身を見てくれる言葉だった。
そのことに少しだけ泣きそうになって、慌てて下を向くと、魔王に頭を撫でられた。何だか全部お見通しみたいで、少し悔しい。
その後、仕事に励み部屋に戻る。その途中で何か甘い香りを感じた。
「何の香りだ、ろ、あれ、おかしい」
おかしいな。体に力が入らない。最後にもう一度、甘い香りを感じた後、私は意識を失った。
巫女とは一体何なのか?
そのことを疑問に思っていたが、そういえばこの城の図書室には巫女と聖女について書かれた本があったはずだ。それを読むことにしよう。
布で髪と耳を覆い、サーラを連れて図書室へ行く。サーラには図書室の入り口で待ってもらい、歴史のコーナーを探す。
「ええと、確か……」
この辺りだったはず、と本棚を探すと目的の本が見つかった。
「『巫女と聖女』……これだ」
その本を借りて、部屋に戻り本を開く。
──聖女とは、光をもたらす。巫女とは、幸運をもたらす。この二人の乙女は、通常一対であり、巫女は別名、魔王の運命と呼ばれ……
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「巫女とは己の願いを叶えし者、聖女は他者の願いを叶えし者……?」
巫女は自分自身の願いを叶える力を持つ? いや、でも、もしかしたらそうかもしれない。巫女は毎回魔王と結婚している。それならば、巫女の願いは、クリスタリア側の願いだろう。結果としてそれは、クリスタリア側には幸運をもたらすことになる。反対に、アストリアには、その願いが厄災となるのかもしれない。
「巫女が、幸運を招き、厄災をもたらすってこういうことか……」
じゃあ反対に聖女は?
他者の願いを叶えし者。前世で聖女が現れたのは、アストリア側だ。つまり、アストリア側の願いを叶えることになる。アストリア側の願いは──魔物を滅ぼすこと。だから、魔物を滅ぼすことに特化した聖女が現れたのかもしれない。
でも、ここに書かれていることが本当なら、私は私自身の願いを叶えることができることになる。
私の願いは、そうだな、夏だしアイスクリームが食べたい。心の中で願ってみる。しかし、アイスクリームは現れなかった。
そのことにがっかりしながら、本を閉じる。やっぱり私は、何の力も持たないただの小娘のようだ。
翌日。休憩時間に、魔王に昨日知ったことを話す。巫女は自分の願いを叶えるものらしいこと。そして、私にはそんな力はなかったこと。
「もしかしたら、まだ力が馴染んでいないのかもしれないな」
「馴染んでいない?」
「巫女は、クリスタリアとの縁が深い。まだ貴方がクリスタリアに来て、四ヶ月だ。力が馴染むのに、半年ほどかかるのでは?」
そうかなぁ。聖女は、現れたと同時に力を使って、魔物を滅ぼしていったけどなぁ。
私の思いが顔に出ていたのか、魔王は苦笑した。
「それか他に条件があるのか……まぁ巫女は気まぐれだからな」
その言葉は前にも聞いた。
「神とは本来気まぐれなもの。話し半分に聞くぐらいで丁度いい。それに貴方が何者であっても、貴方は私にとっての幸運で、友人であることに変わりはない、違うか?」
「……いいえ」
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そのことに少しだけ泣きそうになって、慌てて下を向くと、魔王に頭を撫でられた。何だか全部お見通しみたいで、少し悔しい。
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