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二度目の生
27 アストリア
「ん……」
目を覚ますと、見覚えのある天井が映っていた。慌ててがばり、と体を起こす。
「なんで!?」
私の間違いじゃないとすれば――それは、アストリアのものだった。控えめなノックと共に、誰かが部屋に入ってくる。
「目覚めましたか、美香」
入ってきたのは、ガレンだった。
「ガレン、どうして……」
ガレンは、私をアストリアに連れ戻すといったが、こんな手荒な方法をとるような人じゃなかった。私が、困惑しているとガレンは苦笑した。
「申し訳ありません。このような手荒な方法を取る気はなかったのですが、王命が下ったのです」
聖女が現れていない現在の戦況は、魔物側がかなり優勢だと聞いている。このままでは、人間側の敗戦になるだろうと。そこで、聖女を早く連れ戻せ、という王命が下ったのだろう。
「我々にはどうしても、貴方が必要なのです」
違う。必要なのは、聖女だ。そして、私は聖女ですらない。何の力も持たないただの小娘だ。私が首を振ると、ガレンは困ったように笑う。
「いいえ、美香。貴方は、貴方が、聖女だ」
嘘。ガレンは知っているはずだ。私が聖女ではないことを。そして、処刑されたことも。
「ねぇ、ガレン――」
そのことを言おうとしたところで、ノックと共に新たな人物が部屋に入ってくる。入ってきたのは、侍女のマリーだった。
「ああ、聖女様! 魔物に連れ去られて何と心細かったでしょうか!」
私は、自分の意志で抜け出したのに、それも魔物のせいになっているらしい。ガレンを見ると、目を逸らされた。
「……違うよ。私は、私の意志でこの城から出て行ったの」
「魔物たちにそのように言うよう脅されたのですね……! なんて可哀そうに」
だめだ。何を言っても通じる気がしない。ため息をつく。どのくらい眠っていたのかはわからないが、魔法をある程度使っているだろうとはいえ、クリスタリアからアストリアまでは相当な距離があるはずだ。服を着替えてしまいたい。とりあえず、服を着替えるから、といってガレンには席を外してもらう。
用意された服は、やはり、というか、聖女用の煌びやかなものだった。以前なら、この服装に舞い上がっていたが、今は、違う。嫌悪感がわくだけだ。ため息をつきながら、服に袖を通す。
「……帰りたい」
私のことを聖女だから巫女だからではなく、美香として友人だといってくれた魔王のいるクリスタリアに。
泣きそうになって頬を叩く。泣いてちゃダメ。自分で何とかするんだ。
深く呼吸をする。そして、クリスタリアでの日々を思い出す。子守唄を歌ってもらったこと。一緒に眠ったこと。そして、月下氷人をもらったこと。
全部、私の中にある。だから、大丈夫。
「よし!」
クリスタリアに戻るために頑張ろう。
目を覚ますと、見覚えのある天井が映っていた。慌ててがばり、と体を起こす。
「なんで!?」
私の間違いじゃないとすれば――それは、アストリアのものだった。控えめなノックと共に、誰かが部屋に入ってくる。
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入ってきたのは、ガレンだった。
「ガレン、どうして……」
ガレンは、私をアストリアに連れ戻すといったが、こんな手荒な方法をとるような人じゃなかった。私が、困惑しているとガレンは苦笑した。
「申し訳ありません。このような手荒な方法を取る気はなかったのですが、王命が下ったのです」
聖女が現れていない現在の戦況は、魔物側がかなり優勢だと聞いている。このままでは、人間側の敗戦になるだろうと。そこで、聖女を早く連れ戻せ、という王命が下ったのだろう。
「我々にはどうしても、貴方が必要なのです」
違う。必要なのは、聖女だ。そして、私は聖女ですらない。何の力も持たないただの小娘だ。私が首を振ると、ガレンは困ったように笑う。
「いいえ、美香。貴方は、貴方が、聖女だ」
嘘。ガレンは知っているはずだ。私が聖女ではないことを。そして、処刑されたことも。
「ねぇ、ガレン――」
そのことを言おうとしたところで、ノックと共に新たな人物が部屋に入ってくる。入ってきたのは、侍女のマリーだった。
「ああ、聖女様! 魔物に連れ去られて何と心細かったでしょうか!」
私は、自分の意志で抜け出したのに、それも魔物のせいになっているらしい。ガレンを見ると、目を逸らされた。
「……違うよ。私は、私の意志でこの城から出て行ったの」
「魔物たちにそのように言うよう脅されたのですね……! なんて可哀そうに」
だめだ。何を言っても通じる気がしない。ため息をつく。どのくらい眠っていたのかはわからないが、魔法をある程度使っているだろうとはいえ、クリスタリアからアストリアまでは相当な距離があるはずだ。服を着替えてしまいたい。とりあえず、服を着替えるから、といってガレンには席を外してもらう。
用意された服は、やはり、というか、聖女用の煌びやかなものだった。以前なら、この服装に舞い上がっていたが、今は、違う。嫌悪感がわくだけだ。ため息をつきながら、服に袖を通す。
「……帰りたい」
私のことを聖女だから巫女だからではなく、美香として友人だといってくれた魔王のいるクリスタリアに。
泣きそうになって頬を叩く。泣いてちゃダメ。自分で何とかするんだ。
深く呼吸をする。そして、クリスタリアでの日々を思い出す。子守唄を歌ってもらったこと。一緒に眠ったこと。そして、月下氷人をもらったこと。
全部、私の中にある。だから、大丈夫。
「よし!」
クリスタリアに戻るために頑張ろう。
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