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二度目の召喚
56 プロポーズ
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今日は、仕事はお休みだ。なので、サーラと楽しくおしゃべりしていたら、魔王が私の部屋を訪ねてきた。どうしたんだろう? 疑問に思いながら、魔王を迎え入れると、魔王は、緊張した顔をしていた。
「突然、すまない。……おはよう」
「おはようございます」
挨拶をされたので、それに応える。魔王はその後、天気の話など当たり障りもない話をしたが、それが本題ではないようだ。そわそわと視線を漂わせている。
本日二度目の今日咲いた花の話に入ったので、そろそろ止めて、こちらから用件を聞いた方が良いかもしれない。
「あの、オドウェル様」
私が呼び掛けると、魔王はびくりと体を揺らした。
「なっ、なんだ?」
「本日は、どのようなご用件でいらしたのですか?」
このまま世間話を続けてもいいが、魔王がわざわざ世間話をしに私の部屋まで訪ねてくるとは考えづらい。私が、聞くと魔王は、固まり、あー、や、うー、と唸り出した。よほど、言い出しづらいことなのだろう。魔王が話し出すまでの間、することもないので、魔王を見つめる。
ユーリンより少しだけ長いが、短めの銀糸の髪はさらさらで、魔王が首を降る度に揺れている。深紅の瞳は不安げに揺れ、尖った耳は先っぽまで朱に染まっていた。
前から、思っていたけれど。魔王って、すごく格好いい。元々見目麗しいのに加えて、恋する乙女のフィルターがかかるので、とてつもなく輝いて見える。今までは、かろうじて直視できていたが、恋に気づいた今は、ちょっと直視するのは苦しいかもしれない。
そんなことを考えていると、ようやく決心がついたのか、魔王は、口を開いた。
「ミカ」
「はい」
「昨日は、すまない。自分で貴方を好きだといっておきながら、忘れてほしいなどと失礼なことを言った」
「いいえ」
魔王の恋人に私なんかがなれるはずないので、魔王がそう言ったのも当然だと思う。
「そして、また、貴方を混乱させてしまうと思うが……、私は貴方が好きだ」
「え?」
「貴方が、好きなんだ」
魔王は言い直したあと、私の手をぎゅっと握った。
「……今度は、忘れなくてもいいのですか?」
震える声で魔王に尋ねる。魔王は、しっかりと頷いた。
「ああ。忘れないでくれ。……貴方と私は友人で、私の想いは貴方を困らせるとわかっている。だが、好きなんだ。もし、迷惑になるなら、この想いはきっぱり諦め……」
魔王の声はどんどんしりすぼみになり、元気もなくなっていく。
「迷惑ではありません!」
自分でもびっくりするぐらい、大きな声がでた。魔王も驚いて、途中で言葉を切った。
「本当に?」
尋ねる声は心細げだ。
「はい!」
だって、私も魔王が好きなのだ。魔王の想いが迷惑なはずがない。私がそう言おうとすると、魔王の言葉に遮られた。
「ありがとう。……だが、私は欲深い。貴方に隣にずっといて欲しいと願ってしまう」
そういえば、前も魔王は、言っていた。魔王が私に、ずっと隣にいて欲しいと願ったら、私はこの世界に留まるだろうか、と。
あれは、もしもじゃなくて、魔王の本心だったんだ。
「貴方が貴方の世界を大切に思っていることも知っている。けれど。ミカ、私の妻になって貰えないだろうか。そして、私の傍で笑ってほしい」
魔王は、月下氷人を一輪差し出した。
ごくり、と息を飲む。そうだ。月下氷人は結婚の申し込みにも使われるのだと、サーラが言っていた。
「答えはいつになっても、構わないから、考えて貰えないだろうか?」
「突然、すまない。……おはよう」
「おはようございます」
挨拶をされたので、それに応える。魔王はその後、天気の話など当たり障りもない話をしたが、それが本題ではないようだ。そわそわと視線を漂わせている。
本日二度目の今日咲いた花の話に入ったので、そろそろ止めて、こちらから用件を聞いた方が良いかもしれない。
「あの、オドウェル様」
私が呼び掛けると、魔王はびくりと体を揺らした。
「なっ、なんだ?」
「本日は、どのようなご用件でいらしたのですか?」
このまま世間話を続けてもいいが、魔王がわざわざ世間話をしに私の部屋まで訪ねてくるとは考えづらい。私が、聞くと魔王は、固まり、あー、や、うー、と唸り出した。よほど、言い出しづらいことなのだろう。魔王が話し出すまでの間、することもないので、魔王を見つめる。
ユーリンより少しだけ長いが、短めの銀糸の髪はさらさらで、魔王が首を降る度に揺れている。深紅の瞳は不安げに揺れ、尖った耳は先っぽまで朱に染まっていた。
前から、思っていたけれど。魔王って、すごく格好いい。元々見目麗しいのに加えて、恋する乙女のフィルターがかかるので、とてつもなく輝いて見える。今までは、かろうじて直視できていたが、恋に気づいた今は、ちょっと直視するのは苦しいかもしれない。
そんなことを考えていると、ようやく決心がついたのか、魔王は、口を開いた。
「ミカ」
「はい」
「昨日は、すまない。自分で貴方を好きだといっておきながら、忘れてほしいなどと失礼なことを言った」
「いいえ」
魔王の恋人に私なんかがなれるはずないので、魔王がそう言ったのも当然だと思う。
「そして、また、貴方を混乱させてしまうと思うが……、私は貴方が好きだ」
「え?」
「貴方が、好きなんだ」
魔王は言い直したあと、私の手をぎゅっと握った。
「……今度は、忘れなくてもいいのですか?」
震える声で魔王に尋ねる。魔王は、しっかりと頷いた。
「ああ。忘れないでくれ。……貴方と私は友人で、私の想いは貴方を困らせるとわかっている。だが、好きなんだ。もし、迷惑になるなら、この想いはきっぱり諦め……」
魔王の声はどんどんしりすぼみになり、元気もなくなっていく。
「迷惑ではありません!」
自分でもびっくりするぐらい、大きな声がでた。魔王も驚いて、途中で言葉を切った。
「本当に?」
尋ねる声は心細げだ。
「はい!」
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「ありがとう。……だが、私は欲深い。貴方に隣にずっといて欲しいと願ってしまう」
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