何度でも、君と。

夕立悠理

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幸せなとき

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「ノアール様、あなたのことが、好きです」

 こう言うのは、もう何度目だろう。
 でも、何度伝えても足りないほど、私はあなたのことが、好きだった。

 私がそういうと、嬉しそうにでも、困ったように眉を下げる彼。今日もそうだろうと思ったら、違った。

「ずっと想っていてくれて、ありがとう、リズ嬢。僕も、君が好きだよ。だから、僕と結婚してください」
「……っえ?」

 えっ?

 えっ? えっ???

 頭の中で?が飛び交う。
 今日も振られるんだとばかりおもってた。

 それなのに予想できなかった言葉に、息が、うまくできない。

 ぱくぱくと、口を開けたり閉じたりする私の手を取ると、その甲にノアール様は口づけた。
「君を生涯かけて愛すると誓うよ」
 





 私は、ふわふわとした気持ちで女子寮に帰った。女子寮までノアール様が送ってくれた。その間も楽しくお話したはずだけれど、あまりその内容は覚えていない。

 あまりの出来事に自室でやっぱり夢かと思って、頬をつねった。でも、痛い。とても痛い。

 それに。

 ノアール様がはめてくれた婚約指輪だという、それが薬指を彩っていた。

 ノアール様は公爵子息で。私は伯爵家の次女。ノアール様のお父上である、バッカス公爵が納得するとは思えなかったけれど、ノアール様は必ず認めさせるといっていた。

「ーーーーー!!!!」

 ベッドに転がり、はしたないと思いつつもばたばたと足を動かしてしまう。

 だって、ノアール様が。


 私を好きって……!!

 興奮しすぎて、眠れないわ。
 なんて思って、結局眠れなかった翌日。

 実践魔法学の授業で事故にあったノアール様は、記憶を失った。
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