3 / 3
失楽園
しおりを挟む
そんな幸せが崩れ去ったのは三限目の終わったころだった。
「……?」
なにやら、隣のクラスが騒がしい。
「……ほんとに……が」
「詳しくは私もわからないけれど……で……」
確か、隣のクラス──ノアール様のクラスだ──は、実践魔法学の授業だったはず。
だから魔法を使える遊技場での移動教室だったはずだ。それから帰ってきたのだろう。
でも、ただ帰ってきたにしては──とても、騒がしかった。
私はノアール様と目でもあったりしないかなと、授業が終わった教室を出て、廊下にでる。
けれど、いくらノアール様の姿を探しても見つからない。
「ノアール様……?」
今日は欠席だったのかな。
そう思って、隣のクラスの顔見知りの子に尋ねる。
「あの、ノアール様は?」
「彼は──」
顔見知りの子から事情を聞いた私は、慌てて保健室に向かった。
まさか、魔力暴走を起こした子の魔法を直に受けたなんて。
その子の魔力属性がどんなものかにもよるけれど、大怪我をしたに違いない。
淑女としてはしたないとわかっていながら、息を切らしてついた保健室の前は、多くのギャラリーでごった返していた。
その中を掻き分けて、ノアール様の元へ急ぐ。
「ノアール様、だいじょう、ぶ、です、か」
後ろの誰かに押されて、飛び出るようにして前へ倒れこみそうになったところを、支えられる。
「僕なら、大丈夫だけど……」
支えてくれたのは、ノアール様だった。
その言葉通り、目立った外傷はなさそうだ。
よかった!! ノアール様は無事だった。
頭のなかで浮かんだ言葉に疑問を持つ。
無事?
魔力暴走に巻き込まれたのに? 本当に?
改めてノアール様におかしいところがないか、観察する。どうして、さっき気づかなかったんだろう。ノアール様のその瞳に。
「それより、君、誰?」
そういうノアール様の瞳は冷たく、暗かった。
「……?」
なにやら、隣のクラスが騒がしい。
「……ほんとに……が」
「詳しくは私もわからないけれど……で……」
確か、隣のクラス──ノアール様のクラスだ──は、実践魔法学の授業だったはず。
だから魔法を使える遊技場での移動教室だったはずだ。それから帰ってきたのだろう。
でも、ただ帰ってきたにしては──とても、騒がしかった。
私はノアール様と目でもあったりしないかなと、授業が終わった教室を出て、廊下にでる。
けれど、いくらノアール様の姿を探しても見つからない。
「ノアール様……?」
今日は欠席だったのかな。
そう思って、隣のクラスの顔見知りの子に尋ねる。
「あの、ノアール様は?」
「彼は──」
顔見知りの子から事情を聞いた私は、慌てて保健室に向かった。
まさか、魔力暴走を起こした子の魔法を直に受けたなんて。
その子の魔力属性がどんなものかにもよるけれど、大怪我をしたに違いない。
淑女としてはしたないとわかっていながら、息を切らしてついた保健室の前は、多くのギャラリーでごった返していた。
その中を掻き分けて、ノアール様の元へ急ぐ。
「ノアール様、だいじょう、ぶ、です、か」
後ろの誰かに押されて、飛び出るようにして前へ倒れこみそうになったところを、支えられる。
「僕なら、大丈夫だけど……」
支えてくれたのは、ノアール様だった。
その言葉通り、目立った外傷はなさそうだ。
よかった!! ノアール様は無事だった。
頭のなかで浮かんだ言葉に疑問を持つ。
無事?
魔力暴走に巻き込まれたのに? 本当に?
改めてノアール様におかしいところがないか、観察する。どうして、さっき気づかなかったんだろう。ノアール様のその瞳に。
「それより、君、誰?」
そういうノアール様の瞳は冷たく、暗かった。
10
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
番を辞めますさようなら
京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら…
愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。
※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
それでも好きだった。
下菊みこと
恋愛
諦めたはずなのに、少し情が残ってたお話。
主人公は婚約者と上手くいっていない。いつも彼の幼馴染が邪魔をしてくる。主人公は、婚約解消を決意する。しかしその後元婚約者となった彼から手紙が来て、さらにメイドから彼のその後を聞いてしまった。その時に感じた思いとは。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】魅了魔法のその後で──その魅了魔法は誰のため? 婚約破棄した悪役令嬢ですが、王太子が逃がしてくれません
瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
その魅了魔法は誰のため?
一年前、聖女に婚約者である王太子を奪われ、婚約破棄された悪役令嬢リシェル・ノクティア・エルグレイン。
それが私だ。
彼と聖女との婚約披露パーティの噂が流れてきた頃、私の元に王太子が訪れた。
彼がここに来た理由は──。
(全四話の短編です。数日以内に完結させます)
みんながまるくおさまった
しゃーりん
恋愛
カレンは侯爵家の次女でもうすぐ婚約が結ばれるはずだった。
婚約者となるネイドを姉ナタリーに会わせなければ。
姉は侯爵家の跡継ぎで婚約者のアーサーもいる。
それなのに、姉はネイドに一目惚れをしてしまった。そしてネイドも。
もう好きにして。投げやりな気持ちで父が正しい判断をしてくれるのを期待した。
カレン、ナタリー、アーサー、ネイドがみんな満足する結果となったお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
更新楽しみにしています
重すぎる笑
更新楽しみにしています
付き合った途端記憶喪失とか可哀想すぎる
早く記憶戻って欲しい