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2.悪魔ラルヴァ
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「此方が私どもの村です。」
と、連れてこられた村は「えっ?」と思うほど立派だった。
広さこそ大きくは無いが、洗練された技術が詰め込まれた家々。集落をぐるりと囲む塀。鍛冶神を象った土象。
うん。これはもう街と言っても良い。俺の生まれ育った村が哀れに感じるほどだ。
(悪魔が欲しがる気持ちも分かるな)
まあ、感心はこのくらいにしておいて、そろそろ村に入るか。俺は長達を振り返り、柔らかい笑みを作って。
「俺は今から村に入るが、戦闘に巻き込みたくない。お前達はここで待ってろ。それと、万が一俺が負けるようなことがあったらすぐにこの場から逃げろ。いいな。(別に勝てそうに無かったらトンズラしようとか思った訳じゃないぞ。人が周りにいたら逃げにくいなぁとか思った訳でもないぞ。ただ、人質に取られたら面倒だから一人で行くと言っただけだ。)」
そんな俺の内心の葛藤を知らずに、長達は感激に震えている。
「何と慈悲深く高潔なお方だ。しかし、侮らないでください!もし、万が一の事があったら我等一同命をとして仇を射つ所存です。」
やめてくれ。それ本当に全滅するから。
「ま、まあ、気持ちは有り難いがちゃんと逃げてくれよ。」
「は、御武運を祈っております。」
ダメだ。こいつ等全然人の話を聞かない。
ま、悪い気持ちはしないが……。
仕方ない。今回は少し頑張ってみるか!
俺は村に入った。
『潜伏』と『遠視』のスキルを使い、屋根の上から件の悪魔を探し、観察する。
悪魔は聞いていた通りの容貌だ。身長は160後半くらい。蒼銀の長髪の一部を三つ編みにしており、青い服の上から銀色の鎧を身に付けている。下はスカート。趣味の悪い仮面を付けているので顔貌は分からないが、相当な美人だろう。
その推定美人は広場のような場所で腰を下ろして、槍の手入れをしていた。
(んー。装備では惨敗だな。けど、見た感じ勝てそうな気がする。一応鑑定使って調べておこう。)
『鑑定』!
____________________
名前:ラルヴァ
種族:人造悪魔
加護:なし
称号:魔王の元幹部
魔法:なし
技能:ユニークスキル『記憶接続』
種族固有スキル『支配』
エクストラスキル『魔装』
獲得スキル…『感覚強化』『思考加速』など
耐性:魔耐性
熱耐性など
________________________________________
名前:シルビア
種族:人族
加護:風の加護
称号:一流槍術士
魔法:なし
技能:獲得スキル…『身体強化』『槍術』『俊足』『連檄』など
耐性:苦痛耐性
火傷耐性
____________________
え?何か二つ出てきたんですけど?
これってもしかして、仮面が悪魔の本体で体の方は操られてるだけってこと?
いやーーー!不思議な生物もいるもんだねーーー………ってそうじゃない!問題なのはラルヴァの称号だよ。魔王の元幹部って何?いかにもヤバそうなんだけど!聞いてないよ!
い、いや、落ち着け。名前に惑わされるな。この世界魔王と一言に言ってもピンキリ。災害級にヤバい奴もいるけど簡単に討伐出来る奴もいる。しかも、幹部じゃなくて゛元゛幹部。そう考えると大丈夫そうな気がしてきたぞ!
俺はピョンっと屋根から飛び降り、ラルヴァの前に立った。
ラルヴァは此方を値踏みするように見る。
「鑑定の気配を感じたから誰かと思えばグールだとはな。ふ、我輩の配下にでもなりに来たか?」
「いや、そのつもりはないよ。ただお願いに来たんだ。この村を三つ目族に返してくれないか?」
「理由を聞こうか、グール」
「ここは元々あいつ等の村だろ?それに困ってるみたいだったしな。」
「で、断ったらどうする?」
「力づくで奪い返すことになるな。」
「グールごとき下等悪魔が魔王様に想像されし我輩に勝てると思っているのか?」
「やってみれば分かるだろ。」
「どこまでも生意気な!」
ラルヴァの額に青筋が立った……ような気がした。仮面だから分からん。
「あ、ちょっと待て。やる前に一つ聞いておきたいことがあるんだが、今お前が此処にいるのはその魔王とやらの命令か?」
「答えてやる義理はないがまあいいだろう。我輩は紳士な悪魔、ラルヴァだ。特別に教えてやる。今回我輩が此処に来たのは魔王様とは何ら関係はない。」
(俺は内心胸を撫で下ろす。)
「昔の友人に頼まれ事をされたのだよ。」
「頼まれ事?」
「ああ。その友がこの森に放っていたオークが何者かの手によって最近大量に殺されているらしくな、我輩はその真相を究明しに来たのだ。ところで我輩も一つ質問だが、お前何か知ってないか?」
「いや、知らんな!可笑しいこともあったものだ!だが、俺は何も知らん!ほんとに知らん!(冷や汗💦)」
「そうか。ならばもう貴様に用はない!ここで死ね!」
言い終わると同時にラルヴァは立ち上り、高速の槍を振るった。
と、連れてこられた村は「えっ?」と思うほど立派だった。
広さこそ大きくは無いが、洗練された技術が詰め込まれた家々。集落をぐるりと囲む塀。鍛冶神を象った土象。
うん。これはもう街と言っても良い。俺の生まれ育った村が哀れに感じるほどだ。
(悪魔が欲しがる気持ちも分かるな)
まあ、感心はこのくらいにしておいて、そろそろ村に入るか。俺は長達を振り返り、柔らかい笑みを作って。
「俺は今から村に入るが、戦闘に巻き込みたくない。お前達はここで待ってろ。それと、万が一俺が負けるようなことがあったらすぐにこの場から逃げろ。いいな。(別に勝てそうに無かったらトンズラしようとか思った訳じゃないぞ。人が周りにいたら逃げにくいなぁとか思った訳でもないぞ。ただ、人質に取られたら面倒だから一人で行くと言っただけだ。)」
そんな俺の内心の葛藤を知らずに、長達は感激に震えている。
「何と慈悲深く高潔なお方だ。しかし、侮らないでください!もし、万が一の事があったら我等一同命をとして仇を射つ所存です。」
やめてくれ。それ本当に全滅するから。
「ま、まあ、気持ちは有り難いがちゃんと逃げてくれよ。」
「は、御武運を祈っております。」
ダメだ。こいつ等全然人の話を聞かない。
ま、悪い気持ちはしないが……。
仕方ない。今回は少し頑張ってみるか!
俺は村に入った。
『潜伏』と『遠視』のスキルを使い、屋根の上から件の悪魔を探し、観察する。
悪魔は聞いていた通りの容貌だ。身長は160後半くらい。蒼銀の長髪の一部を三つ編みにしており、青い服の上から銀色の鎧を身に付けている。下はスカート。趣味の悪い仮面を付けているので顔貌は分からないが、相当な美人だろう。
その推定美人は広場のような場所で腰を下ろして、槍の手入れをしていた。
(んー。装備では惨敗だな。けど、見た感じ勝てそうな気がする。一応鑑定使って調べておこう。)
『鑑定』!
____________________
名前:ラルヴァ
種族:人造悪魔
加護:なし
称号:魔王の元幹部
魔法:なし
技能:ユニークスキル『記憶接続』
種族固有スキル『支配』
エクストラスキル『魔装』
獲得スキル…『感覚強化』『思考加速』など
耐性:魔耐性
熱耐性など
________________________________________
名前:シルビア
種族:人族
加護:風の加護
称号:一流槍術士
魔法:なし
技能:獲得スキル…『身体強化』『槍術』『俊足』『連檄』など
耐性:苦痛耐性
火傷耐性
____________________
え?何か二つ出てきたんですけど?
これってもしかして、仮面が悪魔の本体で体の方は操られてるだけってこと?
いやーーー!不思議な生物もいるもんだねーーー………ってそうじゃない!問題なのはラルヴァの称号だよ。魔王の元幹部って何?いかにもヤバそうなんだけど!聞いてないよ!
い、いや、落ち着け。名前に惑わされるな。この世界魔王と一言に言ってもピンキリ。災害級にヤバい奴もいるけど簡単に討伐出来る奴もいる。しかも、幹部じゃなくて゛元゛幹部。そう考えると大丈夫そうな気がしてきたぞ!
俺はピョンっと屋根から飛び降り、ラルヴァの前に立った。
ラルヴァは此方を値踏みするように見る。
「鑑定の気配を感じたから誰かと思えばグールだとはな。ふ、我輩の配下にでもなりに来たか?」
「いや、そのつもりはないよ。ただお願いに来たんだ。この村を三つ目族に返してくれないか?」
「理由を聞こうか、グール」
「ここは元々あいつ等の村だろ?それに困ってるみたいだったしな。」
「で、断ったらどうする?」
「力づくで奪い返すことになるな。」
「グールごとき下等悪魔が魔王様に想像されし我輩に勝てると思っているのか?」
「やってみれば分かるだろ。」
「どこまでも生意気な!」
ラルヴァの額に青筋が立った……ような気がした。仮面だから分からん。
「あ、ちょっと待て。やる前に一つ聞いておきたいことがあるんだが、今お前が此処にいるのはその魔王とやらの命令か?」
「答えてやる義理はないがまあいいだろう。我輩は紳士な悪魔、ラルヴァだ。特別に教えてやる。今回我輩が此処に来たのは魔王様とは何ら関係はない。」
(俺は内心胸を撫で下ろす。)
「昔の友人に頼まれ事をされたのだよ。」
「頼まれ事?」
「ああ。その友がこの森に放っていたオークが何者かの手によって最近大量に殺されているらしくな、我輩はその真相を究明しに来たのだ。ところで我輩も一つ質問だが、お前何か知ってないか?」
「いや、知らんな!可笑しいこともあったものだ!だが、俺は何も知らん!ほんとに知らん!(冷や汗💦)」
「そうか。ならばもう貴様に用はない!ここで死ね!」
言い終わると同時にラルヴァは立ち上り、高速の槍を振るった。
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