大海賊時代より……美少女船長の生・配・信! ─West India Company─

海凪ととかる

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第42話 サミエラはくノーと悪企みする

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 サンファンの港湾のすぐ西にある“古き声の入り江エンセナーダ・デ・ボカ・ビエハ”の湾内にはゴールディ商会のスループ船【バンシー】が錨を下ろし、帆を畳んだ状態で停泊している。

 午前中にこの入り江の沖で追い風を受けての全速航行、風上への切り上がり能力の検証、向かい風を間切る上手回しタッキング性能などの試験をして、現在は昼食休憩中である。

 この時代の常識であれば主人と使用人、また上級船員と下級船員が共に食事をすることなどあり得ないことであり、実際サミエラも普段はそのようにして一線引いているのだが、今回は例外として全員で一緒に輪になって甲板に直に座り、無礼講で食事をしていた。
 これは、今後商会で重用する予定の者たちのことをサミエラが個人的によりよく知るため、また雇い主であるサミエラについても彼らに知ってもらい、お互いの絆を強めたいというサミエラの思惑によって実現したものであった。

 その試みは成功し、最初こそ主人と食事を共にすることに戸惑い緊張していた奴隷たちであったが、今はもうすっかり寛ぎ、和気藹々とした雰囲気の中で食事を楽しんでいる。
 雑談に興じながら、皆の食事が一区切りつくのを待ってサミエラが切り出す。

「さて、ここまで【バンシー】の性能試験をしてきたわけだけど、どうだったかしら?」

「船の性能は言うことなしです。重心のバランスもいい。彼女の潜在力を万全に引き出すにはもう数名の水夫が欲しいところですが、現時点でもこれほど軽やかに走る船を私は見たことがありませんな」

 アボットの感想にサミエラが頷く。

「そうね。元よりトップセイルとジブセイルを追加したことで、操船には最低でも10人は欲しいところをこの少人数でよくやってくれたと思うわ。人はまた増やすから安心してちょうだい。むしろよくこの人数であれだけスムーズに操船ができたものと感心しているのよ。特にマストでのナミの動きには目を見張るものがあったけど、残りの3人の動きも素晴らしかったわ」

「いひ♪ 忍の本領発揮やからね。といってもこの船が扱いやすいんが大きいけどね」

「然り。この船の帆は本当に扱いやすくて驚いた。船の反応も早いし素直だ」

「そうじゃな。切り上がりの角度も深くて、こんなに上がれるのかとわしも感動したのぅ」

「切り上がり角もすごいけど、私は4ノットから難なくタッキングを成功させたのに驚いたわ」

 口々に好意的な感想を口にする若者たち。

「あなたたちがこれまで乗っていた船がキャラックならなおさらそう思うでしょうね。特にスパンカー縦帆はキャラックのミズンマストの大三角帆ラテンセイルを改良したラグセイルに更に改良を重ねた最新の縦帆だから、向かい風にはめっぽう強いのよね」

「私はお父様のキャラックしか知らなかったから、ぜったいタッキング中に行き足を失って停船してしまうとばかり……」

「うーむ。キャラックでさえ俺たちの国の水準からすれば遥かに進んでおるというのに……日ノ本は鎖国なんぞしておっては世界から取り残されるのではなかろうか」

「ほうじゃのう。じゃが、それはわしらの考えることではないのぅ。幕府のお偉方になんとかしてもらわんとの」

「そやね。そもそもうちらは日ノ本におったとて所詮は力なき落人の末裔やし。今は姫にお仕えして商会を盛り立てる方が大事やに」

「ゴンとナミの言う通りであるな。俺は一人の侍として仕えるべき主人に巡り会えた幸運を今は大事にせねばな」

 遠い故郷への憂いを口にする責任感の強いショーゴを、その辺りはすでにすっかり割り切っているゴンノスケとサザナミが軽くたしなめ、ショーゴもまた素直に考えを切り替える。

「ああ、そうだわ。今後、船で使うための試作品をいくつか持ってきてるからみんなの感想も聞きたいわ。おじ様、あれを出してもらっていいかしら?」

「おう、ちょいと待ってな」

 ロッコが一度船内に入り、大きな麻袋を担いで戻ってくる。そこからまずサミエラが取り出したのは布製の靴のような物だった。むしろ靴下に近いかもしれない。
 丈は足首までと短く、脱げないように結ぶ紐がついている。足先は二股に別れており、親指だけが独立している。靴底は押し固めた羊毛のフェルトと柔らかい革でできている。

「む、それは足袋たびでありますか?」

 足先の形状からそう尋ねるショーゴにサミエラは頷く。

「ええ。足袋の構造を取り入れた甲板靴デッキシューズよ。濡れた甲板で滑らないように、また尖った物を踏んでも大丈夫なように靴底を押し固めてキルティングを施したフェルトで作ってあるのが特徴よ。これを履いた状態で甲板作業やマスト作業が問題なくできるか知りたいのよね。問題なければ量産して全員に支給するつもりよ」

「へえ、忍が使う綿足袋わたたびみたいな感じにしとるんやね」

「さすがねナミ。それも考えてのこの構造よ。あとついでにこういうものも作ってあるわよ」

 そう言いながらサミエラが革の小袋からざらざらと出したのは、小指の先ぐらいの金属製の粒だった。正三角形を4つ組み合わせた四面体で、常に尖った角が上を向くようになっている。

「え、今の話の流れからして、それまさか……びし?」

「正解よ。忍が使うような足裏に刺さるようなものじゃないけど、これを裸足で踏んだら痛いわよ。もし海賊との戦闘になった時にこちらがデッキシューズを履いてて向こうが裸足だったら、これをばらまくだけでかなり有利になると思わない?」

「うわ、えげつなっ! 想像するだけで痛くなるわ。ということで姫、この撒き菱はうちが持っといてもええかな? 海賊なんてみんな裸足やからこれは使えるに!」

「いいわよ。これはもう鋳型があるからいくらでも作れるからね。でもどうするの?」

「いひひ♪ うちの仕事場はマストの上やからね。もし海賊船との戦いになったら向こうにとって一番嫌ぁなタイミングで相手の甲板にこれを上から撒いたるわ。だからうちが常に持っといた方がええやん?」

「うふふ。ナミ、あなたもなかなかのワルよねぇ」

「いひひ♪ いやー、姫こそ敵への容赦のなさはなかなかのもんやに」

「うふふふふ。海賊相手に武士道なんかいらないわ。どんな手を使っても勝てば良いのよ」

「いひひひひ♪ 闇討ち、不意討ち、騙し討ち。悪党相手に躊躇う理由はないやね」

 悪い顔をして笑い合うサミエラとサザナミに周りの面々は引き気味であり、特に根が正直者のショーゴとアネッタは顔を引き攣らせている。
 愛用のパイプで煙草をくゆらせていたゴンノスケがぷかぁと紫煙を吐き出してしみじみと言う。

「似た者同士じゃのぅ」




~~~



【その時、歴史を動かしたCh 考証解説Vol.7 パーソナリティー:Sakura&Nobuna】


Sakura「既視感ば覚える光景じゃねぇ……」

Nobuna「……う。そ、そんなことなかろう?」

──俺も見覚えあるわw
──この悪い顔にすっげえ見覚えあるw
──信菜と三太夫がいつもこの顔で悪企みしてたよね
──そこにノッブとハゲネズミが加わればいつもの安土城w
──このショーゴのドン引き顔が信忠とめっちゃ被って草www
──……

Nobuna「……妾はこんな悪い顔をしておったんか」

Sakura「天下布武のアーカイブば観てきたらよかよ」

Nobuna「あ、あんな黒歴史の地雷原を観れるわけないじゃろう!」

Sakura「うふふ。うちはその点、恥つかしかこた何もなかけんね」

──フラグ立ちましたね
──んー? 桜さんそげんこつ言ってよかと?
──俺のとっておき桜フォルダが火を噴くぜ【直リン】
──ぶはっwww
──やっばw 何これwww
──酔い酔いの桜さんが頭ペチペチしてるスキンヘッド誰??
──騎兵旅団長の秋山好古あきやまよしふる少将やねw
──ちな、これは桜さんと好古が一緒に飲んでたけど途中で酒が尽きたから消毒用アルコールに手を出してぐでんぐでんになったとこな
──保存しました
──……

Sakura「いやぁ! 直接リンク貼るとかなんばしよっと!? 恥っつかしか! すぐ消しんさいっ!」




【作者コメント】
秋山好古は日露戦争で活躍した明治日本の陸軍人で日本騎兵の父と呼ばれています。大酒呑みかつ若ハゲでした。司馬遼太郎の“坂の上の雲”の主要登場人物の一人です。
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