それは、恋でした。

むう

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恋?

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side沙奈


「さぁて、今日は何にしようかなー」


あたしは今、家の近くにあるスーパーに買い物に来ていた。


「きゃー!ちょー涼しい!!」


友達の亜衣と一緒に。

あの日から、亜衣はあたしの事を心配してよく家に来るようになった。



亜衣の彼氏からは、あたしに亜衣を捕られたー!って半泣きで言われてしまった。



「亜衣…あたし、もう平気だよ?」


「いーや!そうやって沙奈は無意識に自分の気持ち隠すから!」

「隠してなんかないよ?」




アイスコーナーでアイスを選びながら頬を膨らませる亜衣。




あたしは、未だに考えている。



悼矢さんの事をどう思っているのか。




きっと、答えは出ている。


悼矢さんが好きなんだ、って。


だけど、本当に恋なのだろうか?


モヤモヤしたくなくて、恋してるって自分で収めてるだけなんじゃないのかと不安になる。


自分が考えていた恋とあまりにも違いすぎているから余計にそう思うのかもしれない。




「・・・奈!沙奈!」


「うぇっ?」

「何のアイスにしたの!?」


「え、え~っと…これにする」


あたしは、パピコを指差して亜衣に取ってもらう。

亜衣は軽くため息を付く。




「まだ、悩んでるんだ?」


「う、ん」



そう言いながら、あたし達はレジに向かう。



本当は分かっているのに、無理矢理分かっていない振りして。


周りを困らせて、心配させて。


悼矢さんの事を好きなのかと頭の中で考えると、自分の頭は拒否反応を出す。





「・・・はい」

「ーありがとう」



さっき買ったパピコを渡されて、あたしは亜衣と半分ずつ食べることにした。


2人で荷物を一緒に持って何も喋らず黙々とアイスを食べる。




『・・・恋だよ。そんだけあんたの心の中に、頭の中に三浦先輩がいるってことは、恋なんだよ。』



あたしは、亜衣にそう言われた。








頭の中に悼矢さんがいるって事は、恋なんだって。







でもそれが、悼矢さんじゃない他の人だったら?






悼矢さんじゃない人だったら、あたしはこんなに考えていたのかな?




悼矢さんだから、考えてるわけじゃないの、かな?




「ねぇ、亜衣は彼氏の事、どんな時に好きだなって思ったの?」

「何急に~?ーうーん…初めてあった時からか、な?馬鹿騒ぎしている所見て、あぁこんな風に無邪気に笑ってる姿何かいいなって」


「無邪気に笑ってる姿を見て好きに…」

「てゆーか!好きになる時に理由なんていらないよ!!そんなに気になるんだったら辞書でも何でも引いてみなよ!」





そんな無茶なー



ていうか恋って何か分からないからって辞書で調べる人なんているの・・・?




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