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一話 出会い
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死にたい。
もう誰でもいいから僕を殺してください。
毎日、毎日そう考える。
最近は逃げることしか考えられなくなった。
僕は、いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。
でも、何もかもなくなっちゃえば。
ゼロになっちゃえばいいと思った。
世界なんて消えちゃえばいいし、人間なんてみんな死ねばいい。
それが叶うなら僕はきっと笑えるから。
もう泣きすぎて疲れちゃったよ。
お父さんとお母さんの後を追おうかなあ。
あんなクズな両親でも、親は親なんだよね。
毎晩、明日が来るのがとても怖い。
怖いけど、睡魔にはやっぱり勝てない。
目が覚めたのは深夜の二時だった。
またか。
外はまだ真っ暗だ。
ここ最近はずっとそう。
三時間以上連続して眠ることができない。
『寝る』という行為がどんなものだったかも忘れてしまった。
夜の十一時頃に眠りにつき、起きるのは決まって深夜の二時から三時の間。
食欲も無くなって一日一食か二食生活だし、やる気なんてものはもう何年もない。
携帯を探すと、いつのまにかベッドの下に紐なしバンジーしていた。
僕もしたいなあとか思ったり。
二度寝する気はなかったので、洗面所で顔をバシャバシャやってきた。
そして、部屋に戻ると、今日初めて会う相手にメールを打つ。
「こんばんは。早いですが、今から行ってもいいですか?」
普通はこんな時間にメールを送るのは迷惑だろうけど、彼は『二十四時間いつでも』を掲げて活動している。
一分後、返事が返ってきた。
早すぎるだろ。
「いつでもどうぞ。」
素っ気ない一言。
どうせ三十代とか四十代のおっさんなんだろうなあ。
約束の時間より何時間も早いから、さすがに迷惑かと思ったけど、もう本も読めなくなるくらい思考力低下してるから許してくれるよね。
クローゼットから薄いピンクのパーカーと黒いジーンズを取り出して遅着替えした。
昔からピンクが好きで、トップスや文房具などはピンクが多い。
それに僕の薄い茶色みたいな地毛にもピンクが一番合うのだ。
昨日脱ぎ捨てた靴下を履いて、そこらへんに落ちていた黒いリュックに財布と携帯を入れて部屋を出る。
本当は荷物なんていらないんだけど、何となくいつもの癖で。
玄関のドアを開けて外を見ると、雨が結構降っている。
厚い雲に覆われた空と、不機嫌な天気は僕の今の気持ちにちょうどいい。
もうすぐ台風なんだっけ。
みんな吹き飛ばされて死なないかなあ。
最後に忘れ物がないか後ろを振り向くと、置いていかれたビニール傘が悲しげな表情をしていたけど、無視してさっさと玄関を出た。
目的地まで歩いていくうちに、濡れた前髪が目にかかって視界が悪くなってきた。
服も濡れて気持ち悪いな、これ。
とりあえず右手で髪をかき上げ、応急処置。
そのまま歩く。
前に美容院に行って二か月くらい経ったから本当は行くべきだろうけど、今さらどうでもいい気もするよね。
どうせ今から殺されるんだから。
携帯の地図アプリを頼りに四十分か五十分くらい道なりに歩いて、やっと指定された五階建てのマンションを見つけた。
白壁のきれいなマンション。
エントランスは高そうなソファーが二つあったけど、座りながら「わーい!」などとはしゃぐことは今日は自重して、エレベーターで五階まで上がる。
こんな時間に利用する住人などいない。
五○五。一番奥の部屋。
山田という表札を見て、呼び鈴を鳴らした。
ここで合ってるはず。
しばらくして、僕より年下に見える、中学生くらいの男の子がドアを開けた。
思っていた人物像とかけ離れていて少しびっくりする。
おっさんの子供か?
黒髪中学生が僕を見る。
「スズキくんですか…?」
「はい…。」
何とか声を出した。
年長者の威厳、大事。
彼のどうぞ、という合図でとりあえず部屋に入れてもらった。
玄関で履き古したスニーカーを脱いで、彼の後をついていく。
第一印象。部屋が暗い。
そしてなんか臭い。
しかもおっさんとかいないじゃん。
深夜なのに電気はついてなくて、間接照明のようなものが床に見たところ二つ置かれている。
それに何の匂いか分からないけど、何かが腐ったような匂い。
彼はまっすぐ進んでいく。
床には絨毯も置物も何もないけど、暗くてとにかく歩きにくい。
危ないなあ。
「そこに座っていてください。」
「あ、はい。」
玄関の奥にソファーが二つあって、エントランスを思い出した。
腰掛けて見回すと、キッチンらしき場所で飲み物を作る黒髪中学生。
右にたぶんテレビ。
正面にはガラス製の机。
机を挟んでもう一つのソファーがあった。
「紅茶です。」
コトン、と机に置かれた。
「ありがとうございます。」
最近の中学生は洒落た飲み物を飲んでいるんだなあ。
僕も一人暮らしだけど、いつも水道水しか飲んでいない。
紅茶を啜りながら、目の前に座った彼を見る。
すると、黒髪中学生が口を開いた。
「俺、自己紹介しますね。山田翔太。中学二年生。一人暮らしです。」
やっぱりこの子に殺されるのか、僕は。
「立川スズキ。高校一年生です。今日はよろしくお願いします。」
まあいいか、誰でも。
「はい。よろしくお願いします。で…。」
山田くんは言葉を区切ると、横の押し入れのような場所から物騒な物を取り出してきた。
それらが一つずつ机の上に置かれていく。
包丁。注射器。小瓶。
「スズキくんはどれがいいですか?」
もちろんどれで自分を殺してほしいかということ。
あまり血が出ないやつがいいなあ。
「じゃあ首絞めで。」
あえて選択肢になかった方法を口にしてみる。
これが結構好きなのだ。
癖になるというか。
癖になったらまずいんだろうけど。
「分かりました…。こちらに来てください。」
包丁や注射器たちに別れを告げて、山田くんを追った。
どんどん奥に進む。
腐った匂いが近づいていく。
ああ、この部屋なんだと思った。
山田くんが右側の奥部屋のドアを開けて、より一層匂いが強まる。
何となく後ろを振り返ると、雨で濡れた僕の靴下が床に足跡をつけていた。
「こっちです。」
山田くんが僕を見ていた。
無表情な顔。
僕も指示通り部屋に入る。
中も電気はついていなくてやっぱり真っ暗だったけど、ドアは開いたままにしたから廊下の間接照明でうっすら中は見える。
壁の左側にもたれかかった人のような形をしたものも。
「これは一人目に殺した人ですよ。」
僕の心を読んだような答え。
どうやら僕は二人目らしい。
「そこに仰向けで寝てもらっていいですか?」
「はい。」
部屋の真ん中あたりで横になった。
下にはたくさん新聞紙が敷いてあって、僕の頭を置く予定の場所には乾いた血液がべったりとくっついたからか、よれよれになっていた。
生々しいけど、そのまま寝てしまう。
「行きますね?」
山田くんが僕のお腹の上に乗った。
育ち盛りの時期の男のはずなのに、全然重くない。
山田くんは両手で僕の首を掴む。
やがて、その手にゆっくりと力が込められて。
ああ、息できない…。
懐かしい。この感じだよ。
どんどん気道は圧迫されていく。
さらに力を強めた。
うわ、死ぬ。死ぬ。
死ぬ!死ぬ!!死ぬ!!
「ゲホッゲホッ!…あっ…ああっ…。」
掠れた声が漏れる。
それに体が痺れる感じがしてくる。
気持ちいい。
心なしか下半身も反応しているような。
「ああ…はあ…ゲホッ…ゲホッ!」
ああ、やばい。
もっと。もっとやって。
ふわふわと浮いたような感じもしてきた。
固く瞑っていた目から涙が流れる。
僕はなんてバカなんだろう。
十五年も生きて、さっき初めて会った人に殺されかけてる。
来月には十六歳の誕生日も迎えるのに。
本当にバカだ。
一人で死ねない。
「あっ…ああ…。」
そんな勇気ないのに死にたいなんて言っていた。
いや言ってすらなかった。
ネット上に死にたいって呟いてる人を見てるだけだった。
自分の心の中にしまっていただけ。
僕は今日殺される。
早く死にたい。
最期まで苦しみながら死ぬなんて、情けない人生だったなあ。
山田くんが一番強い力でグッと絞めた。
「ゲホッゲホッ!…あっ…」
この後、体がどうなったって構わない。
一人目と並んで飾られるのもよし。
体のあちこちを切断されて、おもちゃにされるのもよし。
山田くんには感謝しないと。
涙の滲む目をうっすら開けた。
息を上げて、一生懸命に僕の首を絞める山田くんが見える。
「スズキくん…!俺もう力入らないです…!」
え?
絞められていた首は急に解放されて、一気に口の中に空気が入り込んだ。
「ゲホッゲホッ…うぇぇ…。」
床に胃液かよだれかよく分からないものを吐く。
新聞紙に広がる染みたち。
その隣で山田くんはなぜか力尽きて、僕の横でぐったりとしていた。
「俺、五日くらい何も食べてなくて…。」
「…マジ?」
僕はまだ上手く声が出せず、ガラガラ声。
すると、山田くんはそのまま眠ったのか、全く動かなくなってしまった。
「嘘だろ…。」
「……。」
どうしようもないから、僕は一人目の誰かさんと山田くんと一緒に並んで寝た。
首にはまだ絞められていた感覚が残っている。
何となく部屋の窓を見上げると、月明かりが差し込み、僕たち三人を照らしていた。
月を見たのなんていつぶりだろう。
いつも何かを恐れて下ばかり見ていたことに今、気づいた。
もう誰でもいいから僕を殺してください。
毎日、毎日そう考える。
最近は逃げることしか考えられなくなった。
僕は、いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。
でも、何もかもなくなっちゃえば。
ゼロになっちゃえばいいと思った。
世界なんて消えちゃえばいいし、人間なんてみんな死ねばいい。
それが叶うなら僕はきっと笑えるから。
もう泣きすぎて疲れちゃったよ。
お父さんとお母さんの後を追おうかなあ。
あんなクズな両親でも、親は親なんだよね。
毎晩、明日が来るのがとても怖い。
怖いけど、睡魔にはやっぱり勝てない。
目が覚めたのは深夜の二時だった。
またか。
外はまだ真っ暗だ。
ここ最近はずっとそう。
三時間以上連続して眠ることができない。
『寝る』という行為がどんなものだったかも忘れてしまった。
夜の十一時頃に眠りにつき、起きるのは決まって深夜の二時から三時の間。
食欲も無くなって一日一食か二食生活だし、やる気なんてものはもう何年もない。
携帯を探すと、いつのまにかベッドの下に紐なしバンジーしていた。
僕もしたいなあとか思ったり。
二度寝する気はなかったので、洗面所で顔をバシャバシャやってきた。
そして、部屋に戻ると、今日初めて会う相手にメールを打つ。
「こんばんは。早いですが、今から行ってもいいですか?」
普通はこんな時間にメールを送るのは迷惑だろうけど、彼は『二十四時間いつでも』を掲げて活動している。
一分後、返事が返ってきた。
早すぎるだろ。
「いつでもどうぞ。」
素っ気ない一言。
どうせ三十代とか四十代のおっさんなんだろうなあ。
約束の時間より何時間も早いから、さすがに迷惑かと思ったけど、もう本も読めなくなるくらい思考力低下してるから許してくれるよね。
クローゼットから薄いピンクのパーカーと黒いジーンズを取り出して遅着替えした。
昔からピンクが好きで、トップスや文房具などはピンクが多い。
それに僕の薄い茶色みたいな地毛にもピンクが一番合うのだ。
昨日脱ぎ捨てた靴下を履いて、そこらへんに落ちていた黒いリュックに財布と携帯を入れて部屋を出る。
本当は荷物なんていらないんだけど、何となくいつもの癖で。
玄関のドアを開けて外を見ると、雨が結構降っている。
厚い雲に覆われた空と、不機嫌な天気は僕の今の気持ちにちょうどいい。
もうすぐ台風なんだっけ。
みんな吹き飛ばされて死なないかなあ。
最後に忘れ物がないか後ろを振り向くと、置いていかれたビニール傘が悲しげな表情をしていたけど、無視してさっさと玄関を出た。
目的地まで歩いていくうちに、濡れた前髪が目にかかって視界が悪くなってきた。
服も濡れて気持ち悪いな、これ。
とりあえず右手で髪をかき上げ、応急処置。
そのまま歩く。
前に美容院に行って二か月くらい経ったから本当は行くべきだろうけど、今さらどうでもいい気もするよね。
どうせ今から殺されるんだから。
携帯の地図アプリを頼りに四十分か五十分くらい道なりに歩いて、やっと指定された五階建てのマンションを見つけた。
白壁のきれいなマンション。
エントランスは高そうなソファーが二つあったけど、座りながら「わーい!」などとはしゃぐことは今日は自重して、エレベーターで五階まで上がる。
こんな時間に利用する住人などいない。
五○五。一番奥の部屋。
山田という表札を見て、呼び鈴を鳴らした。
ここで合ってるはず。
しばらくして、僕より年下に見える、中学生くらいの男の子がドアを開けた。
思っていた人物像とかけ離れていて少しびっくりする。
おっさんの子供か?
黒髪中学生が僕を見る。
「スズキくんですか…?」
「はい…。」
何とか声を出した。
年長者の威厳、大事。
彼のどうぞ、という合図でとりあえず部屋に入れてもらった。
玄関で履き古したスニーカーを脱いで、彼の後をついていく。
第一印象。部屋が暗い。
そしてなんか臭い。
しかもおっさんとかいないじゃん。
深夜なのに電気はついてなくて、間接照明のようなものが床に見たところ二つ置かれている。
それに何の匂いか分からないけど、何かが腐ったような匂い。
彼はまっすぐ進んでいく。
床には絨毯も置物も何もないけど、暗くてとにかく歩きにくい。
危ないなあ。
「そこに座っていてください。」
「あ、はい。」
玄関の奥にソファーが二つあって、エントランスを思い出した。
腰掛けて見回すと、キッチンらしき場所で飲み物を作る黒髪中学生。
右にたぶんテレビ。
正面にはガラス製の机。
机を挟んでもう一つのソファーがあった。
「紅茶です。」
コトン、と机に置かれた。
「ありがとうございます。」
最近の中学生は洒落た飲み物を飲んでいるんだなあ。
僕も一人暮らしだけど、いつも水道水しか飲んでいない。
紅茶を啜りながら、目の前に座った彼を見る。
すると、黒髪中学生が口を開いた。
「俺、自己紹介しますね。山田翔太。中学二年生。一人暮らしです。」
やっぱりこの子に殺されるのか、僕は。
「立川スズキ。高校一年生です。今日はよろしくお願いします。」
まあいいか、誰でも。
「はい。よろしくお願いします。で…。」
山田くんは言葉を区切ると、横の押し入れのような場所から物騒な物を取り出してきた。
それらが一つずつ机の上に置かれていく。
包丁。注射器。小瓶。
「スズキくんはどれがいいですか?」
もちろんどれで自分を殺してほしいかということ。
あまり血が出ないやつがいいなあ。
「じゃあ首絞めで。」
あえて選択肢になかった方法を口にしてみる。
これが結構好きなのだ。
癖になるというか。
癖になったらまずいんだろうけど。
「分かりました…。こちらに来てください。」
包丁や注射器たちに別れを告げて、山田くんを追った。
どんどん奥に進む。
腐った匂いが近づいていく。
ああ、この部屋なんだと思った。
山田くんが右側の奥部屋のドアを開けて、より一層匂いが強まる。
何となく後ろを振り返ると、雨で濡れた僕の靴下が床に足跡をつけていた。
「こっちです。」
山田くんが僕を見ていた。
無表情な顔。
僕も指示通り部屋に入る。
中も電気はついていなくてやっぱり真っ暗だったけど、ドアは開いたままにしたから廊下の間接照明でうっすら中は見える。
壁の左側にもたれかかった人のような形をしたものも。
「これは一人目に殺した人ですよ。」
僕の心を読んだような答え。
どうやら僕は二人目らしい。
「そこに仰向けで寝てもらっていいですか?」
「はい。」
部屋の真ん中あたりで横になった。
下にはたくさん新聞紙が敷いてあって、僕の頭を置く予定の場所には乾いた血液がべったりとくっついたからか、よれよれになっていた。
生々しいけど、そのまま寝てしまう。
「行きますね?」
山田くんが僕のお腹の上に乗った。
育ち盛りの時期の男のはずなのに、全然重くない。
山田くんは両手で僕の首を掴む。
やがて、その手にゆっくりと力が込められて。
ああ、息できない…。
懐かしい。この感じだよ。
どんどん気道は圧迫されていく。
さらに力を強めた。
うわ、死ぬ。死ぬ。
死ぬ!死ぬ!!死ぬ!!
「ゲホッゲホッ!…あっ…ああっ…。」
掠れた声が漏れる。
それに体が痺れる感じがしてくる。
気持ちいい。
心なしか下半身も反応しているような。
「ああ…はあ…ゲホッ…ゲホッ!」
ああ、やばい。
もっと。もっとやって。
ふわふわと浮いたような感じもしてきた。
固く瞑っていた目から涙が流れる。
僕はなんてバカなんだろう。
十五年も生きて、さっき初めて会った人に殺されかけてる。
来月には十六歳の誕生日も迎えるのに。
本当にバカだ。
一人で死ねない。
「あっ…ああ…。」
そんな勇気ないのに死にたいなんて言っていた。
いや言ってすらなかった。
ネット上に死にたいって呟いてる人を見てるだけだった。
自分の心の中にしまっていただけ。
僕は今日殺される。
早く死にたい。
最期まで苦しみながら死ぬなんて、情けない人生だったなあ。
山田くんが一番強い力でグッと絞めた。
「ゲホッゲホッ!…あっ…」
この後、体がどうなったって構わない。
一人目と並んで飾られるのもよし。
体のあちこちを切断されて、おもちゃにされるのもよし。
山田くんには感謝しないと。
涙の滲む目をうっすら開けた。
息を上げて、一生懸命に僕の首を絞める山田くんが見える。
「スズキくん…!俺もう力入らないです…!」
え?
絞められていた首は急に解放されて、一気に口の中に空気が入り込んだ。
「ゲホッゲホッ…うぇぇ…。」
床に胃液かよだれかよく分からないものを吐く。
新聞紙に広がる染みたち。
その隣で山田くんはなぜか力尽きて、僕の横でぐったりとしていた。
「俺、五日くらい何も食べてなくて…。」
「…マジ?」
僕はまだ上手く声が出せず、ガラガラ声。
すると、山田くんはそのまま眠ったのか、全く動かなくなってしまった。
「嘘だろ…。」
「……。」
どうしようもないから、僕は一人目の誰かさんと山田くんと一緒に並んで寝た。
首にはまだ絞められていた感覚が残っている。
何となく部屋の窓を見上げると、月明かりが差し込み、僕たち三人を照らしていた。
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