【完結】夫は王太子妃の愛人

紅位碧子 kurenaiaoko

文字の大きさ
2 / 20

1

しおりを挟む
「……お、おとう、お父様?う、嘘ですわよね?」

 すまないローザ、と項垂れる姿は嘘には見えなかった。

 由緒ある侯爵家の長女に生まれ、男子がいないため小さな頃から領主になるための特別な勉強もしてきた。

 領地の繁栄のために、と領内だけに自生するハーブに着目し、密かに研究もしてきた。

(もう少しで、製品化できるところまできていたのに……)

 そのハーブはとても希少で、日陰でしか成育しないハーブ『ラブリーナ』。

 赤い葉っぱが特徴で、ハートの形をしているため、その名を私が付けた。

 若返りや、傷の修復に効果的で、エキス抽出して作ったハーブ液にキャリアオイルを混ぜた試作品を試しにお茶会のお土産に渡したところ、あまりの効果に大好評。

 自信をつけた私は、生産に向けた量産体制を作っているところだった。

 なのに?
 なのに?
 お父様はなぜ?

「……なぜ公爵家からの縁談を承諾したのですか?100歩譲って、妹で問題なかったのでは?」

「……その……。ローザを指名してきたからだ……。持参金不要と破格の条件付だ。格上だし、承諾するしかないだろう?」

(……たくっ!こんなんでもまだ領主としては優秀だから憎めないし……)

「お父様っ!そんなことは私でも分かります!そもそも、あの幼馴染みで、女ったらしのアンドレアが名指ししてきた上に、持参金不要なんて……!何か裏のある結婚にしか考えられませんっ!」

「……いやいや、幼馴染みだし、悪いようにはしないだろし。ほら、侯爵家のことはさ……。優秀な婿を探すからさ……」

(……はぁ。私の今までの苦労が水の泡……)

「もう結構です!日陰でハーブを栽培する令嬢から日陰でハーブを栽培するになりますっ!公爵家で暴れますからね!」

「……ローザ、ローザちゃん?そんな……問題は困るよ……」

「お父様が対処なさればいいではないですか!」

 私は一言幼馴染のアンドレアに文句を言うために公爵家を訪問することにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

完結 彼女の正体を知った時

音爽(ネソウ)
恋愛
久しぶりに会った友人同士、だが互いの恰好を見て彼女は……

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

完結 愛人と名乗る女がいる

音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、夫の恋人を名乗る女がやってきて……

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

誰ですか、それ?

音爽(ネソウ)
恋愛
強欲でアホな従妹の話。

私の名前を呼ぶ貴方

豆狸
恋愛
婚約解消を申し出たら、セパラシオン様は最後に私の名前を呼んで別れを告げてくださるでしょうか。

私の夫は愛した人の仇だったのです。

豆狸
恋愛
……さて、私が蒔いたこの復讐の種は、どんな花を咲かせてくれることでしょう。

処理中です...