おっさんが願うもの 〜異世界行ったらイケメンに大切にされ、溺愛され、聖女と呼ばれ、陰謀に巻き込まれ。それでも幸せ目指して真面目に頑張ります〜

猫の手

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2人の聖女編 〜ガリレア聖教会と2人目の聖女〜

315.おっさん、可能性に気付かされる

 その日の夜、ロイとディーがギルバートとフィッシャーを連れて瑠璃宮に帰ってきた。
「呼びつけたみたいですみません」
 ギルバートとフィッシャーに謝りながら言い、お茶を差し出す。
「とんでもない。ショーヘイ君に会えるならいつでも」
 ギルバートが嬉しそうに言いながら、俺の手を握ってくる。
 すかさず、ロイとディーはギルバートから俺の手を奪い返した。
「話したいことと言うのは?」
 フィッシャーがそんなやり取りを可笑しそうに眺めがら聞いてきたので、俺は早速昼間に考えた内容を話した。





 最初はニコニコと聞いていた4人だったが、話すにつれて4人とも険しい表情になってくる。
「精神系魔法に…?」
 特に魔法を施されたであろう2人はかなり驚いており、そして無言で考え込み始める。
「当時の関係者にも確認が必要だな」
 フィッシャーが真顔で答え、ギルバートは眉間に皺を寄せたまま黙り込んだロイとディーを見つめる。
「どうです?」
「……ショーへーの言った通りだ。
 薬師のことを思い出そうとすると、頭の中がぼやける」
「同じく…集中出来ません」
 ロイとディーは悔しさを滲ませて魔法の影響を受けていたと呟き、全く気付けなかったと落ち込んでいた。
「今回の治癒師の話が出て来なければ、きっと思い出すこともなかったと思う。
 でも、お前達は無意識で今回の話と薬師の話を結び付けようとしたから、魔法が強く反応したんじゃないかな」
 おそらくロイとディーだから綻びが生まれた。これが別の人だったら、きっとスルーされて他人に語ることすらせず終わっていただろう。
「忘れるように魔法を施されたのではなく、取るに足りないことであるという認識を植え付けられたんですね」
「報告書を思い出してみても、薬師の話はたった数行で終わっている。
 今思えば、殿下ならそんなすごい薬師なら、何がなんでも探し出してこちらへ引き入れようとしたのではないか?
 報告書を読んだ時に気付くべきだったが、殿下とロイから我々も少なからず魔法の影響を受けていたのだろうな」
 ギルバートもフィッシャーも苦笑いを浮かべながら2人に施された魔法に感心したように言った。

 確かにディーなら例え戦争中であっても優秀な人材を放っておかないだろう。
 キドナの時も、人材ではないが優れた魔法技術を知って、今はちゃっかり技術協力という名目で公国に取り込もうとしている。
 ディーはそういうしたたかさを持つ男だ。
 
 さらにフィッシャーは、魔法陣を刻まれたわけでもないのに、何年も魔法が機能していることがあり得ないと言った。
「かなり高度に構築された魔法だ。
 その薬師、魔力量もそうだがかなり知識と経験があるのだろう」
「伝説の治癒師とその薬師はかなり高い確率で同一人物ですね」
 ギルバートがニコニコしながら俺を見る。
「よく気付きましたね。本当に君は素晴らしい」
 今にも立ち上がって抱きついてきそうな表情を浮かべたことに気付いた2人は、咄嗟に俺を守るように抱きしめてくる。
 ギルバートから笑顔のまま小さく舌打ちするのが聞こえた。
「ただよ、なんでそんな能力があるのにこそこそしてんのかがわかんねえな」
 ロイが俺を抱きしめたまま疑問点を口にし、フィッシャーがそれに答えた。
「身を隠す最大の理由は『逃げる』ためだ。その薬師は何かから逃げていると考えるべきだろうな」
 笑顔でそう言い、それは至極当然な理由でロイも黙り込んだ。
 俺はフィッシャーが言いたいことに気付いて、なるほど、と頭の中で呟く。
「噂では怪我も病も治す力があり、薬学にも精通している。そんな優秀な人物は誰でも欲しいと思うだろう。
 実際に精神系魔法を施されていなければ、きっと殿下はスカウトしていただろう?」
「そうですね」
 ディーは大きく頷いて肯定した。
「そこだよ。その薬師はスカウトから逃げているのではないか?」
 フィッシャーの推察に俺はニコリと微笑む。
「ショーヘイ君も同じことを考えたようだね」
「はい。その薬師、治癒師は昔色々あって逃げ出したんでしょうね」
 俺の思い付いたことを口にする。

 その薬師は能力を高く買われて商売目的か、あるいは国に囲われた経験がある。
 そこでいいように利用されることに嫌気がさして逃げ出した。

 薬師が善人であると仮定した場合は、雇い主が治療に対価を求め、支払えない者は放置する。薬師はそれが耐えられず、自分の意思で治療をするために逃げた。

 または薬師自身が対価を求め、高額な治療費を要求した結果、逆に怨みを買い逃げなければならなくなった。

 さらに薬師の能力を利用しようと狙われた。真っ当なスカウトではなく、誘拐や拉致といった非道な行為に晒されたために逃げて身を隠す他なかった。

 逃亡する理由は色々考えられる。
 だが、俺は2人から聞いた薬師は、全く関係のない村人を救った行為から、善人であると思いたかった。


「薬師はそういう状況から逃げているんじゃないかと思ったよ」
「私も同じ事を考えた」
 フィッシャーが俺の妄想に同意し、ニコリと微笑んだ。
「そうなると……」
 黙って俺の妄想を聞いていたディーが口を開く。
「ショーヘイとその薬師の過去は状況が似ていますね」
 妄想の内容を理解し、俺が公国の聖女として国に囲われている状況が似ていたかもしれないと言った。
「ああ。そうだな。
 もしかすると、その薬師も数百年前は聖女って呼ばれていたかもな」
 ディーの言葉に対して、俺は何の気無しに笑いながら冗談のように言った。
「!?」
 だが、俺以外がその一言に反応する。
「ロイ」
「取ってくる」
 ギルバートがロイの名を呼ぶのと同時に、ロイは立ち上がって慌ててリヴィングを出て行った。
「ん?」
 その行動の意味がわからずポカンとしてしまった。俺以外は意味がわかっているのかじっと待っていて、俺はただ3人の間で視線を彷徨わせた。

 待っている間、ギルバートが新たなお茶を用意しそれぞれの前に置いた直後、バタバタと階段を駆け上がってくる足音が聞こえてきた。
「持ってきた!」
 バン!と扉を開けて入ってきてすぐ、ロイは抱えていた数冊の本をテーブルに置く。
 すぐに3人は1冊づつ手に取るとパラパラとめくって確認し始めた。
「あー…」
 俺はその背表紙を見てようやく行動の意味を理解した。

 ロイは瑠璃宮の図書室から、歴代聖女の功績が掲載された本を持ってきたのだ。
「これは違う…」
「違うな…」
 素早く目次から該当ページを探しながら目的の聖女を探しているのを、俺は半ば呆然としながら眺めていた。
「あった。多分これですね」
 ディーが持っていた本から該当の聖女を見つけた。


「今から230年程前、公国歴583年。
 癒しの力を持つ聖女の記録があります。場所は……聖王国のナストラ地方です」
 ディーがその内容を速読し終えると、ギルバートへ、そしてフィッシャーへと本が回された。
「ナストラってどの辺?」
「聖王国の南側、海沿いの地域です。イグリットにも近くて、大きな川の河口付近一帯を指します」
 最後に俺の手元に回ってきた本の中の地図を示し、場所を確認した。
「ピッタリじゃねえか」
 ロイがハハッと笑う。
「毒の件があったのはこの辺なんですよ」
 ディーがそう言いながらナストラ地方よりも少し北にある山脈を指差して近いことを示した。
 毒の件と薬師、そして俺の何気ない一言が結び付いたと悟って鳥肌がたった。




 『ナストラの聖女』と呼ばれたその人物は、怪我と病を治す癒しの聖女であり、数多くの人を救った。
 やはり、聖女の性別や容姿、種族については全く書かれていない。
 ナストラ地方を拠点に各地を周り、治療行為を続けていたのだが、ナストラ地方で起こった崖崩れの被害者を治療したのを最後に、その後ぱったりと治療行為が途絶えている。
 聖女の力が失われたのか、それとも力を使いすぎて亡くなったのか、聖女であることを止めたのか、数多くの噂が流れたが、その後の聖女の消息は不明のままで終わっていた。




「こっちの本では、ナストラの聖女には付き従う者がいたと書かれていますね。
 伴侶ではないかという噂もあったようです」
 ギルバートが別の本に書かれている内容を話した。
「この聖女の力は、ショーヘイ君のものと似ているが…。
 君と比べると癒しの力は弱いようだね」
 さらにフィッシャーが聖女の治療行為について話した。
 どうやら一度に複数人の治療を行っているが多くても10名程度であり、翔平のように数百人規模ではないらしい。
 さらに、怪我の程度も重症となると救えなかったようだった。
「力は到底ショーへーに及ばねえが、それでも一般的な治癒師以上だな」
 ロイも治療内容を読んで感想を言った。
「突然現れて突然消えたこの聖女があの時の薬師なんでしょうか」
 ディーは聖女が長命種であったなら現在もまだ生きている可能性は充分にあると言った。
「私達が会った薬師は、1人づつヒールを使っていました。さらに解毒薬の精製にも魔法を。そして我々への精神系魔法。
 魔力総量は多いでしょうね」
「だな。夜通し何らかの魔法を使い続けてた記憶がある」
 ロイもディーの言葉に同意する。


 俺は本を読みながら聖女と薬師の関係を考察している4人の会話を聞いて、ふとある可能性を思い浮かべる。
「あのさ…薬師が聖女本人っていう可能性もあるけど、その子供、子孫ってことも考えられるよな?
 だって、伝説の治癒師は複数人って噂だし2人以上かも」
「……そうですね…」
 ディーが目を丸くしながら指摘に気付く。

 ギルバートが読んだ本には聖女には伴侶らしき人物がそばにいたと書かれている。であれば子供がいてもおかしくない。

「3、40代で子供を産んでるとしたら、5、6代目まで続いていることになるよな?」
「確かに…。子孫に初代聖女の能力が受け継がれている可能性もあります……」

 ギルバートとフィッシャーがそれぞれ本をテーブルに戻すと、足を組み直して座り直す。
 2人はとても嬉しそうで、新しい玩具を見つけて楽しんでいる子供のような表情を浮かべていた。

「ひょっとしたらひょっとするかもしれんぞ」
 フィッシャーが思いついた考えにニヤつきを隠さずに呟く。
「同じことを考えましたね」
 それに対してギルバートも似たような笑い方をする。
「なんだよ気持ち悪いな」
 ニヤける2人の表情にロイが顔をしかめるが、そんなロイも口角を上げて笑っていた。
「王国聖女が、この聖女の子孫であるという可能性ですね?」
 ディーも笑いたいのを堪えているのか、手で口元を隠しながら言った。

 俺だけがそれに気付いていなかったので、言われた言葉に今度は俺が目を丸くした。
「ああ、そっか。そういう可能性も出てくるのか」
 翔平が言った言葉で4人は気付いたのに、言った本人がその可能性を考えていなかったことに笑った。
 俺は薬師の話に集中していたため、王国聖女のことなどすっぽり思考から抜けていたのだ。

 昼間の段階で、王国聖女と伝説の治癒師、そして薬師には『治療』という共通点があることに気付いていたのに、全く失念していたと自虐的に笑った。

「もしこの話が事実なら、王国聖女が祖先と同じように聖女として認知されるのを望んでいる」
「薬師と王国聖女も血縁関係にあるということになるな」
「でもよ、それだとわからねえことが一つ」
 ロイもギルバートとフィッシャーの言ったことには同意したが、新たな謎が生まれることを指摘する。
「薬師は正体を知られまいとしているのに、どうして王国聖女は表舞台に出ようとしているのか、ですね」
 ディーもその指摘に言及する。


 ナストラの聖女は突然消えた。
 もしそれが何かから逃げるためだったとすれば、その子供達も当然一緒に逃亡し、隠れたはずである。
 子から孫、さらに数代目となった今でも逃げ続けており、ロイ達が遭遇した薬師は子孫として受け継いだ力を発揮しつつも、素性を隠し続けている。
 230年ほどたった今、どの程度の力が受け継がれているかはわからないが、『ナストラの聖女』の子孫が存在し、薬師も王国聖女もその一族の者であるなら、祖先である聖女が逃げることになった理由を聞かされて育ち、絶対に表に出てはならないというルールがある。
 だから薬師はルールを守って素性を隠している。
 だが、王国聖女だけはそのルールを破った。

 そう考えた時、他の一族の者は何故それを止めなかったのか。彼女が表舞台に立つことで、自分達も身バレしてしまう可能性を考えなかったのだろうか。
 そういう疑問も浮上する。

 かもしれないという話には多くの疑問が生まれることになり、疑問を解決しようとするとさらに憶測を深めてしまう。

「残念ながら全て憶測です。
 その可能性があるというだけで、確定した事実ではありません」
 ギルバートは残念だという表情を浮かべた。
「それでもこの憶測に従って調べる価値がある。薬師の線から調査を始めよう。
 私としては、王国聖女の素性はこれが正解だと思うがね。
 現在確認中の王国聖女が使ったとされる力は、ナストラの聖女と似ている。
 今この話が出なければ気付くことはなかっただろう。
 調査して情報が入り次第報告する」
 フィッシャーが俺に向かって微笑むと席を立った。これからユリアに報告しに向かうのだろう。
「とても有意義な情報です。私もツテがあるので独自に調べましょう。
 本当にショーヘイ君には驚かされますね」
 ギルバートも立ち上がり帰り支度を始めたので、俺達も見送るために席を立った。


「ああそうだ。忘れるところだった」
 エントランスまで降り、コートを羽織ったフィッシャーが何かを思い出して俺に振り向いた。
「信用組合に君の口座を作ったから今度確認しておいで」
 信用組合と聞いて、この世界の『銀行』を思い出した。
 そういえば、魔道具ドライヤーの売買契約諸々をフィッシャーに依頼していた。まだ数日しか経っていないのにもう契約が完了したのかと、その仕事の早さに驚く。
 そんな俺の表情を察したのか、フィッシャーは笑う。
「ドライヤーは確実に売れる商品だからね。製造、販売、諸々の手続きを急ぎで進めている。契約書は後日届くから確認しておいてくれ」
 俺が頷くと、さらに聖女の対価として国からもいくらか支給されたと教えてくれた。
「君のお金だから自由に使いなさい」
 そう言って笑い、フィッシャーは何の前触れもなく俺の頬にチュッとキスを落とす。
 その外国風の挨拶に、俺ははわわとなりながら顔を真っ赤にさせた。
 単純な挨拶だとわかっているのだが、フィッシャーというイケオジにされたことに狼狽えてしまった。
 ロイとディーも挨拶だとわかっているので顔をしかめるが何も言わなかった。
 だが、同じように俺にキスしようとしているギルバートには威嚇の表情を向ける。
「なんですか。私にも挨拶くらいさせなさい」
 ギルバートは言うがいなや一瞬で移動すると俺は唇を奪われた。
「なんで口!!??」
 挨拶なら頬でいいだろう!とロイとディーが怒鳴り、俺はギルバートの行動に呆れて何も言えなかった。
「ではおやすみ」
「おやすみなさい」
 帰って行く2人を見送り、瑠璃宮のドアが閉まると、すかさず2人にギルバートからのキスを忘れさせるために交互に何度もキスされた。










「それにしても、よく気付いたな」
「本当に。普通は気付きませんよ」
 3人でお湯に浸かりながら話を続ける。
 ロイとディーは、精神系魔法がかけられていることを見破った俺にしきりに感心していた。
「まあ…それは…お前達が好きだから、かな」
 てへっと笑いながら言い、ふざけた言い方ではあるがあながち間違いではないと自分でも思った。

 ロイとディーは地頭が良い。
 勉強などの学力という話ではなく、情報や状況を理解する能力。さらに俯瞰的思考も持ち合わせている。
 それは2人を好きになり、深く知りたい、その考えを理解したいと思って、よく見ていたから違和感に気付くことが出来たんだろうと思った。

 俺に好きと言われて2人とも目に見えて照れ、そして喜んでいる。
 こういう素直な態度を取られると可愛いと思ってしまう。
「俺も好きだよお」
「私も好きです」
 照れながら言う2人に俺はあははと声に出して笑った。

 風呂から上がり、ベッドに横になってから2人にお願いした。
「今度信用組合に連れてって欲しいんだけど」
 フィッシャーは入金額を言っていなかったからその確認に行きたかった。
 だが、それは建前だ。
 口座の確認を口実に、3人で出掛けたかったというのが本音だ。
 王都に来てから約4ヶ月。一度も3人で出掛けたことはない。
 関係を隠していたため当然かもしれないが、今は公表して正式な婚約者となった。なかなか忙しくてデートをする暇がないのが現実なのだが、それを気にしていてはいつまで経ってもデートなんて出来ない。
「そうですね。いつにしましょうか」
「デートだ、デート」
 2人とも俺の意図を汲み取ってくれて嬉しそうに笑う。
「明日は無理だけど、俺は明後日以降はまだ未定」
「俺たち次第だな。駄目って言われても休む」
「そうですね。もう無理矢理にでも休みをもぎ取りましょう」
 2人の言い方に笑う。
「それと、連絡事項が。明日の午前中、ここに宝石商を呼んだので一緒に選んでください」
 ディーがようやく依頼していた宝石商から物が揃ったと連絡が来たと言った。

 年末の年越しパーティーで言った、結婚指輪の話を実行に移すらしく、ディーは年明けに宝石商に連絡していた。
 指輪を、とにかく数を揃えてくれと依頼したせいで、用意するのに時間がかかったらしかった。

「わかった。それじゃ明日の昼までは一緒にいられるんだな」
「朝は一度出るがすぐに戻る」
 ロイが一度自分の執務室で急ぎの件だけは片付けてくると言った。
 ロイも王城の軍務局の中にアランと同じような執務室を与えられている。軍務局の文官を数名つけてもらってそこで式典準備の仕事をしていた。
 ディーも同じように、一度魔導士団に顔を出した後すぐに戻ると言った。
「それと…」
「まだ何かあったっけ?」
 次々と用事を思い出すディーに俺は笑う。
「だいぶ以前に受け取っていたんですけど、ショーヘイに渡していなかったものが」
「お前も忘れてるだろ。魔石だよw」
「あ」
 すっかり忘れていた。
 実はロイとディーも今まで忘れていたと笑った。
 狩猟祭でお互いに贈りあった魔石加工は予定通り出来上がっており、12月10日に納品されていた。
 ちょうどその頃は俺はキドナへ向かっていた時で、俺たち3人はバラバラになり王都にいなかった。
「もしかしてキースとアランも忘れてたとか?ww」
「そうなんです。それどころではなかったですからねw」
 だよねーと声に出して笑い合う。
「ん?ってことは俺はまた穴開けることになるのか」
 俺はペアピアスを2つつけている右耳に触れる。今現在は右に2つ、左に1つの穴を開けているが、さらにもう1箇所づつ開けることになるのかと思い、子供が注射を嫌がるような顔をする。
「魔石のピアスは精神系魔法防御が付与されてますから、必ず身につけてくださいね」
 言われてそうだったと思い出しつつ頷いた。
 右に3つ左に2つのピアスホール。普段は右3左1につけることになるが、その数についつい「チャラ男かよ」と心の中で呟いた。


 もしかしたら近日中に初めて3人で王都デートが出来るかもしれないと思い、嬉しさを感じたままベッドに潜り込んだ。
 だが、左右からピッタリと2人に密着され、そして仰向けになった俺の尻の横にグリグリと2人の逸物が押し付けられる。
「おい……当たってる」
「ですね」
「当ててるからな」
 そう言いながら2人の手が動き、寝夜着の上から体を撫でられる。
 2人から感じる魔力が熱を帯び、情欲が含まれていることを感じ取った俺は、被っていた掛け布団をバサリと捲った。そのまま両腕を頭の方へ持って行き、左右の2人の頭に触れた。
「あんまり激しくしないでくれよ」
 頬を染めながら言い、腕に力を入れて引き寄せる。
「「善処します」」
 2人が同時に同じ言葉で答えるのに笑い、キスを受け入れる。
 ねっとりと舌を絡ませるキスをすると頭の奥が痺れたように快感に呑まれていくのがわかる。
 2人の唇、舌、指、手、その吐息までもが俺を昂らせた。
「あ、あ、んっぅ、ん」
 与えられる快感に身を委ねると、自分でも信じられないほどの高く甘い喘ぎ声が漏れる。
 数ヶ月前までは、そんな声を出すことも恥ずかしくて我慢していたが、今は素直に快感を受け入れて声にした。
 俺が喘ぎ声が、2人を興奮させることを知っているからで、さらに声を出すことで意識が飛びそうになるほどの強烈な快感を逃すことにもなると最近理解した。

 順番に2人をアナルへ受け入れる。
 早急な追い上げではなく、ゆっくりと抜き差しを繰り返され、俺のペニスから涎のように蜜が流れ落ちていく。


 気持ちいい。
 もっと。
 もっと欲しい。


 ディーをアナルに受け入れながら、そう口走りそうになるのを抑えるために、ロイのペニスを口に含む。
 口の中にいっぱいに広がる硬い肉棒と、その匂いや味にますます興奮する。口の中で舌先を使ってチロチロと鈴口をなぞると、頭上でロイの喘ぎ声が聞こえ、自分が気持ちよくさせていると嬉しくなってさらに舌で責め立てる。
 上の口をロイに、下の口をディーに埋められ、揺さぶられ、ほぼ同時に精を受け止めた。
「はぁ…はっ、ん」
 口の端から飲みきれなかった精液が唾液と共に溢れ、ロイがガーゼタオルで綺麗に拭うと、嬉しそうに微笑みながら抱きしめてくれた。


 体勢を変えてロイに背後から抱きしめられると、ディーの手助けによってロイを受け入れる。
 自らの体重によって腹の深くまで挿入され、深く埋めたまま軽く体を揺さぶられる。
「ふ…んぅ…んん」
 最奥の壁にペニスを擦りつけるように動かされ、腹の奥から響いてくるような快感に何度もビクビクと体を震わせた。
 その内、ディーが正面に回ると、翔平の股間に顔を埋め、そのペニスを口に含んだ。
「あ“!!」
 それと同時にロイのペニスに最奥を攻められ、前後から襲ってくる強烈な快感に、閉じることの出来ない口から喘ぎと、飲みきれなかった唾液が顎と喉を伝い落ちた。
「あ!あ“あ!!ひ、い、イク!!イ“っちゃ!!」
 前後から来る衝撃的な快感に、強烈な絶頂が近くなり、足の指先までピンッと緊張が走った。
「や”あ!あ“ーー!!」
 上半身をのけぞらせ、全身が硬直し、絶頂を迎えた。
 ディーの口の中へ射精し、受け入れたロイをギュウッと締め付けると、ロイはなおも擦りつけるように動き、中に射精した。



 毎度毎度2人とのSEXは気持ち良すぎて困る。
 終わった後は快感の余韻で体が言うことをきかないのはしょっちゅうで、デロンデロンにされてしまい、終わっても余韻だけでイキそうになってしまうほど気持ちが良い。

 まるで麻薬のような中毒性のある2人とのSEXに体がバカになりそうだった。
 いや、もうとっくにバカになっているのか、と頭の中で自虐的に笑った。



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