38 / 105
38
しおりを挟む
だが椋毘登の方は、そんな稚沙の様子を見て、少し感づいたようである。
「なる程、お前の想い人って厩戸皇子だったのか」
それを聞いた瞬間、稚沙に衝撃が走った。
どうも彼は、稚沙が思っている以上に人を鋭く見ているようだ。
「そ、そんなのあなたに関係ないでしょ!」
「お前のその動揺からして、どうやら図星だな」
稚沙は今までで一番動揺した。
自身が厩戸皇子を慕っているのは、今まで誰にも話したことがない。
それなのに、寄りも寄ってこの椋毘登に知られてしまった。
椋毘登はひどく可笑しくしながら、続けて話した。
「別に誰かにいいふらすつもりはないが、流石に相手が無謀すぎるだろ?今のお前なんて、全く相手にもされないだろうに」
彼にそこまでいわれてしまい、流石の彼女もキレてしまう。
そして彼の頬、稚沙は思いっきり引っ叩いた。
「私が誰を好きだろうと、そんなのあなたには関係のないでしょう!!」
椋毘登はいきなり彼女に叩かれて、放心状態になった。そして頬が少しヒリヒリする。
「まぁ、確かにそうだな。お前が誰を好きになるかなんて、お前自身の自由だ。俺もいい過ぎた……」
椋毘登も流石にいい過ぎたと思ったのだろうか。意外と潔く謝ってきた。
「分かってるなら、もうこれ以上しつこく聞いて来ないで!」
稚沙は泣きたいのを必死で堪えながら、彼にそう話す。
彼にいわれたから悲しいのではなく、現実を突きつけられたのが、酷く悲しく思えたのだ。
「あぁ、分かったよ。お前の気持ちが報われると良いな」
彼はそういって稚沙の頭を軽く撫でる。
その仕草だけは、稚沙は何故だか少し優しく感じられる気がした。
「じゃあ、蝦夷には俺から上手く説明しとくから、お前は仕事に戻れ」
稚沙は椋毘登にそういわれて「うん、分かった」とだけいって、その場を急いで離れていった。
稚沙がいなくなってから、椋毘登はボソッと呟いた。
「はぁー、俺は一体何がしたかったんだろ」
こうして椋毘登の方も、その後蝦夷と合流し、自身の住居へ帰ることにした。
だが帰りの途中も、椋毘登は何故か口数が少なかった。
蝦夷が「何かあったのか?」と聞いても、「何でもない」と彼は答えるだけである。
こうして、彼れは蘇我の住居へと戻っていった。
「なる程、お前の想い人って厩戸皇子だったのか」
それを聞いた瞬間、稚沙に衝撃が走った。
どうも彼は、稚沙が思っている以上に人を鋭く見ているようだ。
「そ、そんなのあなたに関係ないでしょ!」
「お前のその動揺からして、どうやら図星だな」
稚沙は今までで一番動揺した。
自身が厩戸皇子を慕っているのは、今まで誰にも話したことがない。
それなのに、寄りも寄ってこの椋毘登に知られてしまった。
椋毘登はひどく可笑しくしながら、続けて話した。
「別に誰かにいいふらすつもりはないが、流石に相手が無謀すぎるだろ?今のお前なんて、全く相手にもされないだろうに」
彼にそこまでいわれてしまい、流石の彼女もキレてしまう。
そして彼の頬、稚沙は思いっきり引っ叩いた。
「私が誰を好きだろうと、そんなのあなたには関係のないでしょう!!」
椋毘登はいきなり彼女に叩かれて、放心状態になった。そして頬が少しヒリヒリする。
「まぁ、確かにそうだな。お前が誰を好きになるかなんて、お前自身の自由だ。俺もいい過ぎた……」
椋毘登も流石にいい過ぎたと思ったのだろうか。意外と潔く謝ってきた。
「分かってるなら、もうこれ以上しつこく聞いて来ないで!」
稚沙は泣きたいのを必死で堪えながら、彼にそう話す。
彼にいわれたから悲しいのではなく、現実を突きつけられたのが、酷く悲しく思えたのだ。
「あぁ、分かったよ。お前の気持ちが報われると良いな」
彼はそういって稚沙の頭を軽く撫でる。
その仕草だけは、稚沙は何故だか少し優しく感じられる気がした。
「じゃあ、蝦夷には俺から上手く説明しとくから、お前は仕事に戻れ」
稚沙は椋毘登にそういわれて「うん、分かった」とだけいって、その場を急いで離れていった。
稚沙がいなくなってから、椋毘登はボソッと呟いた。
「はぁー、俺は一体何がしたかったんだろ」
こうして椋毘登の方も、その後蝦夷と合流し、自身の住居へ帰ることにした。
だが帰りの途中も、椋毘登は何故か口数が少なかった。
蝦夷が「何かあったのか?」と聞いても、「何でもない」と彼は答えるだけである。
こうして、彼れは蘇我の住居へと戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
因果の糸、断ち切り申す
クリヤ
歴史・時代
お江戸の町に、一匹の妖かしを連れた男がフラリと現れる。
大きな不幸に嘆き悲しむ人の前に。大きな不幸に見舞われた家の前に。
その優男は、フラリと現れる。
『その因果の糸、俺ァ、断ち切れるが、どうしやす?』
男の言葉に頷けば、悲しみを引き起こす因果の糸は断ち切られる。
どこまでも過去を遡って。
ただし……。
因果の糸に絡まっているのは、不幸だけじゃあない。
幸せだった思い出も、一緒に断ち切られることになる。
男に出会った人が選ぶ運命の選択は?
男が糸を断ち切って歩く目的とは?
男が連れている妖かしにも、何やら事情がありそうで……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる