夢幻の飛鳥~いにしえの記憶~

藍原 由麗

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71《椋毘登の意外な発言》

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  翌日の朝になり、2人のいる小屋にも朝日の光が入ってきていた。

  そんな中、椋毘登くらひとがその朝の光でふと目を覚ます。

「う、う~ん、なんだもう朝か」

  彼は上半身だけ体を起こすと、その場で大きく背伸びをした。
  どうやら昨日の熱もすっかり引いたようで、体の怠さもなくなっている。

「とりあえず、熱はおさまったようだな。これなら今日は動けそうだ」

  そんな椋毘登がふと横に目をやると、彼のとなりでは稚沙ちさが、スヤスヤと寝ていた。

「今回は稚沙のおかけで、どうにか難をしのげたみたいだな……」

  椋毘登はふと稚沙の頬にかかっていた髪を横にずらしてやる。何とも無防備な寝顔だなと彼は思った。

「まぁ、昨日は仕方がなかったとはいえ、こいつもよくもまあ、男の横で平気で寝れるよな。俺が熱で動けなかったから良いものを……」

  椋毘登は自分でそういって、思わずクスッと笑ってしまった。
  今自分は、とんでもない発言をしたのではないかと。

(まぁ本人は聞いてないから、大丈夫か)

  だがそんな時である。

  ふと稚沙の目がパチッと開く。どうやら彼女も椋毘登の声で目が覚めたようだ。

「あれ、もう朝なの?」

  稚沙は少しあくびをしながら、椋毘登同様に上半身を起こした。

  そして2人は思わず互いに目を合わす。

「椋毘登お早うー、熱はもう大丈夫なの?」

  そういって彼女は、彼のおでこに思わず手を当ててきた。

「良かった。どうやら熱は引いたみたいね」

  稚沙はとても嬉しそうにしながら彼にそう話す。今の彼女は椋毘登と違い、何とも無邪気な様子だ。

  椋毘登は、そんな稚沙が自身の額から手を離したのち、少し気恥ずかしそうにして、彼女にいった。

「あぁ、どうもそのようだ。今回は本当に迷惑をかけてしまった。でもお前のおかげで本当に助かったよ」

  それを聞いた稚沙も思わず彼にいった。

「椋毘登のそういう表情って、何か見てて凄く可愛い感じがする」

  そして彼女は少しクスクスと笑って見せる。

  だが椋毘登も昨日の件がある手前、今回は彼女に中々いい返しにくい。

(まぁ、今回だけは多めにみるか……)

  それに彼女がこんなに自分に対して、看病してくれたことも、照れくささはある反面、何故か不思議と嬉しい気持ちにもなった。

  そして彼女の話しによると、この家の人達が、のちほど朝食を持ってきてくれるとのこと。

  昨日椋毘登の食事で使った皿を、家の人が取りにきたそうで、その際に朝の食事の段取りも出来ていたようだ。

(本当に、何から何までこいつには頭が下がる思いがする……)

  こうして2人は朝の食事が来るのを待つことにした。

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