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74《糠手姫皇女の婚姻》
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実家への里帰りから帰ってきてからも、稚沙は相変わらず仕事に追われていた。
そして今は仕事で使っている部屋の掃除をしている最中で、床を布でごしごしとふいていた。
彼女が仕事をしている部屋は、わりとほこりがたまりやすい。そのため、定期的に掃除をするよういわれている。
「とりあえず、家族にも久々に会えて良かった。でもお父様達も、蘇我の人に送り迎えをお願いわことを聞いて、かなり驚いてたけど……」
稚沙はその時のことを思い出して、思わずため息をつく。
「一応うちは平群の一族ではあるけど、日々馬の飼育に追われていて、政に何ら関わることもない平凡な家系なのよね」
そして彼女の両親が、是非とも椋毘登にお礼がしたいとのことだったので、帰りに急遽彼に彼女の家に寄ってもらうことにしたのだ。
そして稚沙の予想通り、椋毘登はその場で完璧なまでの好青年ぶりを見せた。
そんな彼を見た彼女の両親は、かなりの驚きと感動を覚え、ひたすら感謝の言葉を彼に述べる。
両親的には、一晩泊まっていって欲しいようだったが、稚沙の休みの関係もあり、そのまま泊まらずに帰ることにした。
帰りの道中に椋毘登からも「本当に楽しい家族で良いな」といってもらえた。
椋毘登の家族が色々と訳ありなのを聞いていたのと、ただただ自身の家族の態度に恥ずかしさを感じ、稚沙は余り素直に喜べる気がしなかった。
「とりあえず無事に帰ってこれて、本当に何よりだわ」
彼女はそういって、再び床をごしごしとふき始めた。
そしてもう1つ彼女が気になっているのが、椋毘登のあの発言である。
彼は最初に、自分を妻にしたいみたいなことをいってきた。だがその後再度訪ねてみるも、肯定もしなければ否定もしなかったのだ。
(やっぱり、からかわれただけなの……)
ただ彼の最近の行動は、少し不思議に思うこともある。先日のようにからかってくる時もあれば、妙に優しく接してくることもあるからだ。
「別に椋毘登のこと、嫌いではないんだけどな。多分根は優しいし、私にはわりと素の自分を見せてくれるっていうか……まぁ、ちょっと意地悪ではあるけど」
だがここ最近、彼女にとって椋毘登の存在がとても大きくなってきているのは確かだった。
「せめてもう少し、彼の本心が分かれば良いんだけどなー」
こうしてそんなことを、ぶつぶつといいながら掃除をしていると、目上の女官の女性がやってきて、彼女にいう。
「稚沙、そこの掃除が終わったら、庁にこの木簡を持っていってちょうだい。私は別の仕事に行くから頼むわよ!」
その女性は稚沙にそう話すなり、その場にたくさんの木簡を置いた。
そしてその後は何もいわずに、いそいそとその場を離れていった。
「はぁー、本当に人使いが荒い。まぁ私は下っ端の女官だから仕方ないけど」
稚沙はある程度床の磨きを終えたのち、その木簡を持って、庁へと向かうことにした。
そして今は仕事で使っている部屋の掃除をしている最中で、床を布でごしごしとふいていた。
彼女が仕事をしている部屋は、わりとほこりがたまりやすい。そのため、定期的に掃除をするよういわれている。
「とりあえず、家族にも久々に会えて良かった。でもお父様達も、蘇我の人に送り迎えをお願いわことを聞いて、かなり驚いてたけど……」
稚沙はその時のことを思い出して、思わずため息をつく。
「一応うちは平群の一族ではあるけど、日々馬の飼育に追われていて、政に何ら関わることもない平凡な家系なのよね」
そして彼女の両親が、是非とも椋毘登にお礼がしたいとのことだったので、帰りに急遽彼に彼女の家に寄ってもらうことにしたのだ。
そして稚沙の予想通り、椋毘登はその場で完璧なまでの好青年ぶりを見せた。
そんな彼を見た彼女の両親は、かなりの驚きと感動を覚え、ひたすら感謝の言葉を彼に述べる。
両親的には、一晩泊まっていって欲しいようだったが、稚沙の休みの関係もあり、そのまま泊まらずに帰ることにした。
帰りの道中に椋毘登からも「本当に楽しい家族で良いな」といってもらえた。
椋毘登の家族が色々と訳ありなのを聞いていたのと、ただただ自身の家族の態度に恥ずかしさを感じ、稚沙は余り素直に喜べる気がしなかった。
「とりあえず無事に帰ってこれて、本当に何よりだわ」
彼女はそういって、再び床をごしごしとふき始めた。
そしてもう1つ彼女が気になっているのが、椋毘登のあの発言である。
彼は最初に、自分を妻にしたいみたいなことをいってきた。だがその後再度訪ねてみるも、肯定もしなければ否定もしなかったのだ。
(やっぱり、からかわれただけなの……)
ただ彼の最近の行動は、少し不思議に思うこともある。先日のようにからかってくる時もあれば、妙に優しく接してくることもあるからだ。
「別に椋毘登のこと、嫌いではないんだけどな。多分根は優しいし、私にはわりと素の自分を見せてくれるっていうか……まぁ、ちょっと意地悪ではあるけど」
だがここ最近、彼女にとって椋毘登の存在がとても大きくなってきているのは確かだった。
「せめてもう少し、彼の本心が分かれば良いんだけどなー」
こうしてそんなことを、ぶつぶつといいながら掃除をしていると、目上の女官の女性がやってきて、彼女にいう。
「稚沙、そこの掃除が終わったら、庁にこの木簡を持っていってちょうだい。私は別の仕事に行くから頼むわよ!」
その女性は稚沙にそう話すなり、その場にたくさんの木簡を置いた。
そしてその後は何もいわずに、いそいそとその場を離れていった。
「はぁー、本当に人使いが荒い。まぁ私は下っ端の女官だから仕方ないけど」
稚沙はある程度床の磨きを終えたのち、その木簡を持って、庁へと向かうことにした。
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