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稚沙はとりあえず自分の仕事場の近くまで戻って来ていた。
「何か本当に凄い展開になってきたかも。これは本当に大変だわ。確かに好きな人がいるのに、他の人の元へ嫁がされるなんて、私でも嫌だけど……」
だが皇女ならそれも仕方ない部分はある。稚沙自身も、もし厩戸皇子に娶って貰えるなんてことになっていたならば、当然他の妃達の存在も一生ついてまわることになっていたであろう。
「そういう意味で考えるなら、まだ自分の方が自由があるのかも?
多分うちの親も、私が嫌がるような相手の元には、さすがに嫁がせたりはしないだろうし」
彼女の親は日ごろ政に関わることがないので、権力云々を気にすることは余りない。なので、彼女の嫁ぎ先に対しても、ある程度は本人の希望を聞いてくれるだろう。
「まぁ、嫁ぎ先なんて当分は関係ないかな。でも糠手姫の想い人って一体誰なんだろう。それとこの恋は報われるのかな?」
そんなことを考えてた時である。
「稚沙、お前また何を1人でぶつぶつといってるんだ?」
稚沙は急に声を掛けられて、思わず後ろを振り向いた。
そこに立っていたのは、蘇我椋毘登である。
(どうして椋毘登って、いつもこうややこしい時に現れるの……)
「あ、椋毘登も来ていたのね」
「俺もって、他にも誰か来てるのか?」
(先ほど聞いた話は下手に他人に知られる訳にはいかない。ここは上手く誤魔化しておかないと)
「あ、ごめんなさい。今日はこの宮に訪問者が来られていたようで、私も詳しくは知らないのよ」
そういって彼女は椋毘登の元に歩み寄っていった。そしていつもよりも愛想良くして彼に話しかけた。
「ところで、椋毘登も誰かに何か用事?私で良ければ一緒に探すけど?」
いつもの彼なら、呆れ顔をしてそのまま立ち去るかと彼女は思ったのだが、今日はどういう訳か、いつもと少し様子が違っていた。
「あぁ、ちょっと庁の人に用事があってね。お前が案内して貰えるなら、まぁ、正直助かるかな……」
彼は少し照れたような感じで、彼女にそう答えた。
(うん、何かちょっとおどおどした感じがするけど?まぁ、この際気にしないでおこう)
「分かったわ、椋毘登。じゃあ一緒に行きましょう」
こうして2人は、一緒に庁へと向かうことにした。
「何か本当に凄い展開になってきたかも。これは本当に大変だわ。確かに好きな人がいるのに、他の人の元へ嫁がされるなんて、私でも嫌だけど……」
だが皇女ならそれも仕方ない部分はある。稚沙自身も、もし厩戸皇子に娶って貰えるなんてことになっていたならば、当然他の妃達の存在も一生ついてまわることになっていたであろう。
「そういう意味で考えるなら、まだ自分の方が自由があるのかも?
多分うちの親も、私が嫌がるような相手の元には、さすがに嫁がせたりはしないだろうし」
彼女の親は日ごろ政に関わることがないので、権力云々を気にすることは余りない。なので、彼女の嫁ぎ先に対しても、ある程度は本人の希望を聞いてくれるだろう。
「まぁ、嫁ぎ先なんて当分は関係ないかな。でも糠手姫の想い人って一体誰なんだろう。それとこの恋は報われるのかな?」
そんなことを考えてた時である。
「稚沙、お前また何を1人でぶつぶつといってるんだ?」
稚沙は急に声を掛けられて、思わず後ろを振り向いた。
そこに立っていたのは、蘇我椋毘登である。
(どうして椋毘登って、いつもこうややこしい時に現れるの……)
「あ、椋毘登も来ていたのね」
「俺もって、他にも誰か来てるのか?」
(先ほど聞いた話は下手に他人に知られる訳にはいかない。ここは上手く誤魔化しておかないと)
「あ、ごめんなさい。今日はこの宮に訪問者が来られていたようで、私も詳しくは知らないのよ」
そういって彼女は椋毘登の元に歩み寄っていった。そしていつもよりも愛想良くして彼に話しかけた。
「ところで、椋毘登も誰かに何か用事?私で良ければ一緒に探すけど?」
いつもの彼なら、呆れ顔をしてそのまま立ち去るかと彼女は思ったのだが、今日はどういう訳か、いつもと少し様子が違っていた。
「あぁ、ちょっと庁の人に用事があってね。お前が案内して貰えるなら、まぁ、正直助かるかな……」
彼は少し照れたような感じで、彼女にそう答えた。
(うん、何かちょっとおどおどした感じがするけど?まぁ、この際気にしないでおこう)
「分かったわ、椋毘登。じゃあ一緒に行きましょう」
こうして2人は、一緒に庁へと向かうことにした。
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