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23P《桜見物と忍坂姫の乙女心》
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翌日の朝、磐余稚桜宮は慌ただしく動いていた。
近くの山に桜を見に行くのだが、その際一緒に簡単な食事とお酒も持って行くようで、宮の使用人達は忙しく働いていた。
忍坂姫は市辺皇子と一緒にそんな光景を呆然と見ていた。
「ねぇ、忍坂姫。なんか皆忙しそうだね」
市辺皇子は忍坂姫の横に座っていた。朝の食事は既に済ませており、準備も終わっている。なので後は出発を待つだけとなっていた。
ちなみにこの2人は徒歩で向かう予定だ。
「仕方ないわ。皆私達の為に準備してくれてるんだから。それに今日は大王も来られるし」
市辺皇子は「ふーん」と聞いていた。彼的には早く向かいたいみたいで、足をぶらぶらさせていた。
「じゃあ、阿佐津姫も来るのかな~」
忍坂姫は始めて聞く名前だった。もしかすると、大王の家族か親戚のうちの誰かなのだろうか。
「市辺皇子、阿佐津姫って誰の事?」
忍坂姫は市辺皇子に聞いた。
「あぁ、大王の子供だよ。僕よりも小さいよ」
それを聞いて忍坂姫は思い出した。確か瑞歯別大王には4歳になる女の子がいると、以前雄朝津間皇子が言っていた。4歳なら市辺皇子よりも確かに小さい。
父親同士が兄弟なので、市辺皇子から見たら阿佐津姫は従姉妹になるはずだ。
「へぇーそうなの。ねぇ、市辺皇子。その阿佐津姫ってどんな女の子なの。可愛い?」
忍坂姫は気になって聞いてみた。大王の妃はとても綺麗な女性と昔親から聞いていた。そして大王もとても凛々しい方との事。なのでその姫もさぞ可愛い姫なのだろう。
「何か凄い生意気だよ。そのくせ大人には凄い甘えん坊で。僕はあんまり好きじゃない」
そう言って市辺皇子はムスッとした。
いくら親戚と言えど、男の子と女の子では少々打ち解けにくい事もあるのだろう。
それに市辺皇子は既に親を失くしている。もしかすると、そこら辺も関係してくるのかもしれない。
(もしかして、市辺皇子が大王夫婦の元に行きたがらなかったのも、阿佐津姫の事があったからなのかしら。何分繊細な問題ね)
市辺皇子はそう言うと、忍坂姫の膝の上に寝そべってきた。
そんな市辺皇子が可愛いなと思って見ていると、伊代乃が彼女達の元にやって来た。
「すみません。忍坂姫に市辺皇子。もう少しで準備が終わりますので」
どうやら出発が近くなったので、自分達に声を掛けに来たんだろう。
伊代乃は忍坂姫の付き添いと言う事で、今日は同行する事になっている。
「えぇ、分かったわ。そう言えば大王達はもう来られたの?」
きっと大王達は馬でここまで来るはずだから、桜の側まではそのまま馬で行くのだろうか。
「瑞歯別大王達はこの宮には寄らず、直接行かれるそうです。なのでもしかすると既に到着されてるかもしれませんね。雄朝津間皇子達は一足先に馬で向かわれてますし」
先程から雄朝津間皇子の姿は全く見当たらなかった。彼がいなかったのはそのためだったようだ。
「じゃあ、そろそろ私達も出発になるのね」
忍坂姫は、自分の膝の上に寝そべってる市辺皇子を起こした。
皇子は忍坂姫の膝の上が気持ち良かったのか、ちょっとウトウトし出していた。
「市辺皇子、もうすぐ出発だから寝ないで」
忍坂姫にそう言われて、市辺皇子は必死で眠気を追いやった。
こうして、忍坂姫達も瑞歯別大王や雄朝津間皇子達のいる場所へと向かった。
そして徒歩で向かった忍坂姫達は、やっとの事で、雄朝津間皇子達のいる場所まで辿り着いた。
(そう言えば、私大王とは初めてお会いするのよね。上手く挨拶出来れば良いけれど)
忍坂姫は、今まで噂でしか聞いた事のない瑞歯別大王に会えるとの事で、少しだけ緊張していた。
彼女がふと遠くを見ると、雄朝津間皇子を発見した。そしてそのとなりには見知らぬ男性がいた。かなり身なりの良い服装を着ており、身長も雄朝津間皇子よりも少しだけ高かった。
忍坂姫の手を繋いで一緒に歩いていた市辺皇子は、その男性を見て言った。
「あ、大王が来てる!」
それを聞いた忍坂姫はさらに緊張してきた。
(あ、あの人が瑞歯別大王……)
するとそんな2人に雄朝津間皇子が気付いたらしく、こっちに来るよう手で振った。
そして忍坂姫と市辺皇子は瑞歯別大王の前までやって来た。
「大王、お久しぶりです」
市辺皇子はそう大王に挨拶した。
「あぁ、市辺。久しぶりだな、元気にしてたか」
そう言って彼は市辺皇子の頭を軽く撫でてやった。市辺皇子も大王に撫でられてご機嫌のようだ。
そして瑞歯別大王は、今度は忍坂姫の方を見た。
「雄朝津間、この子が忍坂姫か」
瑞歯別大王は横にいる雄朝津間皇子に聞いた。瑞歯別大王自身も忍坂姫と直接会うのは初めてだった。
雄朝津間皇子と忍坂姫が昔1回会った時の事は聞いていたが、その時、瑞歯別大王はその場にはいなかったのだ。
「あぁ、そうだよ」
雄朝津間皇子は、ボソッと言った。
彼女が思うに、何故か彼は少し面倒臭そうな表情をしていた。
「瑞歯別大王、どうも始めまして。稚野毛皇子の娘の忍坂姫です。この度はお会い出来てとても光栄です」
そう言って忍坂姫は軽く頭を下げた。
「いやいや、こちらこそ。今回は宮までこさせる形になって本当に済まない。雄朝津間皇子の相手は何かと大変だろう」
瑞歯別大王はとても気さくに忍坂姫に話しかけてきた。
「いえ、そんな滅相もない。雄朝津間皇子には色々とお世話になってます……」
忍坂姫はそう言うと、初めて瑞歯別大王をまじまじと見た。
彼は背も高くてとても凛々しい。そして何より本当に綺麗な顔立ちをしていた。これは年頃の娘達が騒ぎ立てる訳だ。
(これは噂以上だわ......なんて素敵な方なんでしょう。何かドキドキしてくる)
そんな瑞歯別大王を目の前にして、忍坂姫もすっかり彼に見入ってしまった。
雄朝津間皇子はそんな彼女の状態に気が付いたみたいで、少しため息をついた。
(やっぱりな。この子が兄上を見たら何かこうなるような気がしてたんだよ)
近くの山に桜を見に行くのだが、その際一緒に簡単な食事とお酒も持って行くようで、宮の使用人達は忙しく働いていた。
忍坂姫は市辺皇子と一緒にそんな光景を呆然と見ていた。
「ねぇ、忍坂姫。なんか皆忙しそうだね」
市辺皇子は忍坂姫の横に座っていた。朝の食事は既に済ませており、準備も終わっている。なので後は出発を待つだけとなっていた。
ちなみにこの2人は徒歩で向かう予定だ。
「仕方ないわ。皆私達の為に準備してくれてるんだから。それに今日は大王も来られるし」
市辺皇子は「ふーん」と聞いていた。彼的には早く向かいたいみたいで、足をぶらぶらさせていた。
「じゃあ、阿佐津姫も来るのかな~」
忍坂姫は始めて聞く名前だった。もしかすると、大王の家族か親戚のうちの誰かなのだろうか。
「市辺皇子、阿佐津姫って誰の事?」
忍坂姫は市辺皇子に聞いた。
「あぁ、大王の子供だよ。僕よりも小さいよ」
それを聞いて忍坂姫は思い出した。確か瑞歯別大王には4歳になる女の子がいると、以前雄朝津間皇子が言っていた。4歳なら市辺皇子よりも確かに小さい。
父親同士が兄弟なので、市辺皇子から見たら阿佐津姫は従姉妹になるはずだ。
「へぇーそうなの。ねぇ、市辺皇子。その阿佐津姫ってどんな女の子なの。可愛い?」
忍坂姫は気になって聞いてみた。大王の妃はとても綺麗な女性と昔親から聞いていた。そして大王もとても凛々しい方との事。なのでその姫もさぞ可愛い姫なのだろう。
「何か凄い生意気だよ。そのくせ大人には凄い甘えん坊で。僕はあんまり好きじゃない」
そう言って市辺皇子はムスッとした。
いくら親戚と言えど、男の子と女の子では少々打ち解けにくい事もあるのだろう。
それに市辺皇子は既に親を失くしている。もしかすると、そこら辺も関係してくるのかもしれない。
(もしかして、市辺皇子が大王夫婦の元に行きたがらなかったのも、阿佐津姫の事があったからなのかしら。何分繊細な問題ね)
市辺皇子はそう言うと、忍坂姫の膝の上に寝そべってきた。
そんな市辺皇子が可愛いなと思って見ていると、伊代乃が彼女達の元にやって来た。
「すみません。忍坂姫に市辺皇子。もう少しで準備が終わりますので」
どうやら出発が近くなったので、自分達に声を掛けに来たんだろう。
伊代乃は忍坂姫の付き添いと言う事で、今日は同行する事になっている。
「えぇ、分かったわ。そう言えば大王達はもう来られたの?」
きっと大王達は馬でここまで来るはずだから、桜の側まではそのまま馬で行くのだろうか。
「瑞歯別大王達はこの宮には寄らず、直接行かれるそうです。なのでもしかすると既に到着されてるかもしれませんね。雄朝津間皇子達は一足先に馬で向かわれてますし」
先程から雄朝津間皇子の姿は全く見当たらなかった。彼がいなかったのはそのためだったようだ。
「じゃあ、そろそろ私達も出発になるのね」
忍坂姫は、自分の膝の上に寝そべってる市辺皇子を起こした。
皇子は忍坂姫の膝の上が気持ち良かったのか、ちょっとウトウトし出していた。
「市辺皇子、もうすぐ出発だから寝ないで」
忍坂姫にそう言われて、市辺皇子は必死で眠気を追いやった。
こうして、忍坂姫達も瑞歯別大王や雄朝津間皇子達のいる場所へと向かった。
そして徒歩で向かった忍坂姫達は、やっとの事で、雄朝津間皇子達のいる場所まで辿り着いた。
(そう言えば、私大王とは初めてお会いするのよね。上手く挨拶出来れば良いけれど)
忍坂姫は、今まで噂でしか聞いた事のない瑞歯別大王に会えるとの事で、少しだけ緊張していた。
彼女がふと遠くを見ると、雄朝津間皇子を発見した。そしてそのとなりには見知らぬ男性がいた。かなり身なりの良い服装を着ており、身長も雄朝津間皇子よりも少しだけ高かった。
忍坂姫の手を繋いで一緒に歩いていた市辺皇子は、その男性を見て言った。
「あ、大王が来てる!」
それを聞いた忍坂姫はさらに緊張してきた。
(あ、あの人が瑞歯別大王……)
するとそんな2人に雄朝津間皇子が気付いたらしく、こっちに来るよう手で振った。
そして忍坂姫と市辺皇子は瑞歯別大王の前までやって来た。
「大王、お久しぶりです」
市辺皇子はそう大王に挨拶した。
「あぁ、市辺。久しぶりだな、元気にしてたか」
そう言って彼は市辺皇子の頭を軽く撫でてやった。市辺皇子も大王に撫でられてご機嫌のようだ。
そして瑞歯別大王は、今度は忍坂姫の方を見た。
「雄朝津間、この子が忍坂姫か」
瑞歯別大王は横にいる雄朝津間皇子に聞いた。瑞歯別大王自身も忍坂姫と直接会うのは初めてだった。
雄朝津間皇子と忍坂姫が昔1回会った時の事は聞いていたが、その時、瑞歯別大王はその場にはいなかったのだ。
「あぁ、そうだよ」
雄朝津間皇子は、ボソッと言った。
彼女が思うに、何故か彼は少し面倒臭そうな表情をしていた。
「瑞歯別大王、どうも始めまして。稚野毛皇子の娘の忍坂姫です。この度はお会い出来てとても光栄です」
そう言って忍坂姫は軽く頭を下げた。
「いやいや、こちらこそ。今回は宮までこさせる形になって本当に済まない。雄朝津間皇子の相手は何かと大変だろう」
瑞歯別大王はとても気さくに忍坂姫に話しかけてきた。
「いえ、そんな滅相もない。雄朝津間皇子には色々とお世話になってます……」
忍坂姫はそう言うと、初めて瑞歯別大王をまじまじと見た。
彼は背も高くてとても凛々しい。そして何より本当に綺麗な顔立ちをしていた。これは年頃の娘達が騒ぎ立てる訳だ。
(これは噂以上だわ......なんて素敵な方なんでしょう。何かドキドキしてくる)
そんな瑞歯別大王を目の前にして、忍坂姫もすっかり彼に見入ってしまった。
雄朝津間皇子はそんな彼女の状態に気が付いたみたいで、少しため息をついた。
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