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暁の話

本当の話

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唇が離れれば、強く抱き締められた

「暁、落ち着いて…」

そう言い、背中を優しく撫でてくれた
小さかった時のように優しく
気がつけば涙が溢れてた

「怒らせたかった訳でも、泣かせたかった訳でもないから」
「だ…って、俺が無視したから…だから…」
「違うよ…無視してるのも何かあるのかと思ったから聞かなかった」
「会いに来てくれなかった…」
「進学して授業時間が変わって会いに行く時間がなかったの」


俺の身勝手な言い分も一つ一つ答えてくれた

「好きな人…いるって言ってた…」
「それは暁のことだよ」
「え…」

その一言で思考回路が止まった



今、なんて言われた…?
好きな人は…俺……?

「暁が高校に進学してきたら言うつもりだった、けど、同じ高校に来なかったから」
「……」

抱き締めてた手が離れ、幸也は俺の方を見て微笑んだ

「僕の方から行かないと暁は来ないから、転校してきた」
「……っ、そんなの早く言ってくれないとわかんないよ…」

また涙が止まらなくなった
全部、俺のためだった
聞いて来なかったのも
転校してきたのも

「ごめん…迎えに行くの遅くなって…」
そう言いながら優しく頭を撫でてくれた

★☆★
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