9 / 125
暁の話
本当の話
しおりを挟む唇が離れれば、強く抱き締められた
「暁、落ち着いて…」
そう言い、背中を優しく撫でてくれた
小さかった時のように優しく
気がつけば涙が溢れてた
「怒らせたかった訳でも、泣かせたかった訳でもないから」
「だ…って、俺が無視したから…だから…」
「違うよ…無視してるのも何かあるのかと思ったから聞かなかった」
「会いに来てくれなかった…」
「進学して授業時間が変わって会いに行く時間がなかったの」
俺の身勝手な言い分も一つ一つ答えてくれた
「好きな人…いるって言ってた…」
「それは暁のことだよ」
「え…」
その一言で思考回路が止まった
今、なんて言われた…?
好きな人は…俺……?
「暁が高校に進学してきたら言うつもりだった、けど、同じ高校に来なかったから」
「……」
抱き締めてた手が離れ、幸也は俺の方を見て微笑んだ
「僕の方から行かないと暁は来ないから、転校してきた」
「……っ、そんなの早く言ってくれないとわかんないよ…」
また涙が止まらなくなった
全部、俺のためだった
聞いて来なかったのも
転校してきたのも
「ごめん…迎えに行くの遅くなって…」
そう言いながら優しく頭を撫でてくれた
★☆★
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
21
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる