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あだ花 咲いた?
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ぼくは先生からお花の種をもらった。
ぼくはクラスでいちばんお花をそだてるのがじょうずなんだ。
ヒデ君きれいなお花をさかせてねと先生はいった。
ぼくはいっしょうけんめい、おせわした。
まいにち、お水をあげたし、ひりょうもあげた。そだちのわるい、なえもまざいた。
なえは大きくなり、お花がさいた。
でも、へんなんだ! さいたお花がへんなんだ。
ぼくはへんなお花をひっこぬいた。
そして、すてた。
前面パネルの大型モニターには、遥か彼方の中空に浮かぶ青い円球が映し出されていた。
「美しい」長官が私を見て言った。
「どう思う。可能性はありそうですか」長官は私の意見を求めた。
私はモニターを見つめながらうなずいた。
「可能ならば、一番腕のいい君に任せたいのだが。なにぶん、今まで君が手掛けた任務(ミッション)の成功率は他の者と比べると格段に高い」
「滅相もございません長官。私とて失敗例は枚挙にいとまがないほどございます」私は恐れ入って、頭を下げた。
長官は全てを包み込まずにはおかない優しい眼差しを私に向けた。
「それは致し方ないことなのだよ。我々が最初から最後まで、全てに関知することも可能だ。しかし、それではこの計画(プロジェクト)の意味が無いのです。当然、目標(ターゲット)の揺籃期には手を抜くことは出来ないし、慎重に擁護(サポート)する必要があります。しかし、幼年期、少年期、青年期、壮年期と順を追って、目標(ターゲット)自らが成長しなければ、我々の領域には決して達することができないのです。勿論、中途での小さな修正は必要であろうが。それでも自壊する場合は仕方がない」
「仰せのとおりです」私は言った。
「君に任せましょう。大事に育て、美しい花を咲かせてください」
私は、今一度モニターに映し出された青い円球を見つめた。
悠久の時はながれゆく。
ある時はたおやかに。ある時は性急に。
ある場所では永遠に動かないかのように。ある場所では息せき切ったかの如く。
時はたゆたう。
悠久の時はながれゆく。
「長官、如何いたしましょう」私は言った。
「あの青い星のことだね」深い眼差しを私に注ぎながら長官は言った。
「もはや修正不可能かと」
「如何ともしがたい?」
「はい。修正計画は何回か投入いたしました。その中でも一番大きなものが、以前ご報告申し上げております、箱舟(ノア)計画(プラン)です。あれはかなりの効果があったと思われたのですが。何故か時を経るごとに、我々が意図する方向とは逆の方向に」
「しかし、物質文明の成長は我々の試算よりは、かなり早かった」
「仰せのとおり。しかし、その物質文明を代表する科学技術などは、同胞間での争いの度に急激な発達を遂げている次第で、戦争がそれらを後押ししているような。争いが無ければ、科学技術の発達など無かったかのような。近年は特にその傾向が顕著かと。しかも、その争いの原因となっているのが、物質文明の大きな構成要素の一つ、富というものでございます。無論全てとは申しませんが」
「物質文明と精神文明のバランスがとれてないと。精神は我々が意図したほど成長しなかったと」
「御意。精神面に関しましても箱舟計画のあと、幾つかの修正プログラムを試行いたしましたが、それすら、時間を経るに従い戦いの原因となるような有様で。本来なら精神、物質の両要素(ファクター)は、相対的に上昇、あるいは下降線を示すものでございますが、どうもこの星では、その理論は全く通用いたしません。申し訳ございませんが、私の力不足です。残念ながら花は咲きませんでした」私は言った。
「いやいや、花は咲いたのだよ。奇妙な花がね。しかし、それはあだ花だった」長官は言った。
「あだ花?」
「そう。実をつけることのない花」
「申し訳ございません。私めが至らぬばかりに。先の終了計画は長官の、もう少し時間を、という慈悲深いお言葉に甘えたのですが」
「一九九九(ナインティーンダブルナイン)・(ポイント)七(セブン)ですね。アンゴルモア大王計画」
「はい」
「終わりにしますか。我々が手を下さなくとも、自滅するのは時間の問題ですが」長官はモニターに映し出された青い星・・・その星に住む人間(ホモサピエンス)という、私が種を蒔き育てた、一番の高等生物が自ら呼称する地球(アース)という星を見つめた。
地球(アース)は、その表面で繰り広げられている醜い争いなど無いかのように、青く、美しく輝いていた。
ヒデ君お花はさいたのと先生はいった。
さいたけど、へんなお花だった。だからすてちゃったと、ぼくはすてたお花を先生にみせた。
もっときれいなお花がさくはずだったのにね。
でもねえ。へんなお花にもいのちはあったのよと、先生はいった。
ぼくは、うなずいた。
チョット、へんなお花がかわいそうになった。
あだばな咲いた?
ぼくはクラスでいちばんお花をそだてるのがじょうずなんだ。
ヒデ君きれいなお花をさかせてねと先生はいった。
ぼくはいっしょうけんめい、おせわした。
まいにち、お水をあげたし、ひりょうもあげた。そだちのわるい、なえもまざいた。
なえは大きくなり、お花がさいた。
でも、へんなんだ! さいたお花がへんなんだ。
ぼくはへんなお花をひっこぬいた。
そして、すてた。
前面パネルの大型モニターには、遥か彼方の中空に浮かぶ青い円球が映し出されていた。
「美しい」長官が私を見て言った。
「どう思う。可能性はありそうですか」長官は私の意見を求めた。
私はモニターを見つめながらうなずいた。
「可能ならば、一番腕のいい君に任せたいのだが。なにぶん、今まで君が手掛けた任務(ミッション)の成功率は他の者と比べると格段に高い」
「滅相もございません長官。私とて失敗例は枚挙にいとまがないほどございます」私は恐れ入って、頭を下げた。
長官は全てを包み込まずにはおかない優しい眼差しを私に向けた。
「それは致し方ないことなのだよ。我々が最初から最後まで、全てに関知することも可能だ。しかし、それではこの計画(プロジェクト)の意味が無いのです。当然、目標(ターゲット)の揺籃期には手を抜くことは出来ないし、慎重に擁護(サポート)する必要があります。しかし、幼年期、少年期、青年期、壮年期と順を追って、目標(ターゲット)自らが成長しなければ、我々の領域には決して達することができないのです。勿論、中途での小さな修正は必要であろうが。それでも自壊する場合は仕方がない」
「仰せのとおりです」私は言った。
「君に任せましょう。大事に育て、美しい花を咲かせてください」
私は、今一度モニターに映し出された青い円球を見つめた。
悠久の時はながれゆく。
ある時はたおやかに。ある時は性急に。
ある場所では永遠に動かないかのように。ある場所では息せき切ったかの如く。
時はたゆたう。
悠久の時はながれゆく。
「長官、如何いたしましょう」私は言った。
「あの青い星のことだね」深い眼差しを私に注ぎながら長官は言った。
「もはや修正不可能かと」
「如何ともしがたい?」
「はい。修正計画は何回か投入いたしました。その中でも一番大きなものが、以前ご報告申し上げております、箱舟(ノア)計画(プラン)です。あれはかなりの効果があったと思われたのですが。何故か時を経るごとに、我々が意図する方向とは逆の方向に」
「しかし、物質文明の成長は我々の試算よりは、かなり早かった」
「仰せのとおり。しかし、その物質文明を代表する科学技術などは、同胞間での争いの度に急激な発達を遂げている次第で、戦争がそれらを後押ししているような。争いが無ければ、科学技術の発達など無かったかのような。近年は特にその傾向が顕著かと。しかも、その争いの原因となっているのが、物質文明の大きな構成要素の一つ、富というものでございます。無論全てとは申しませんが」
「物質文明と精神文明のバランスがとれてないと。精神は我々が意図したほど成長しなかったと」
「御意。精神面に関しましても箱舟計画のあと、幾つかの修正プログラムを試行いたしましたが、それすら、時間を経るに従い戦いの原因となるような有様で。本来なら精神、物質の両要素(ファクター)は、相対的に上昇、あるいは下降線を示すものでございますが、どうもこの星では、その理論は全く通用いたしません。申し訳ございませんが、私の力不足です。残念ながら花は咲きませんでした」私は言った。
「いやいや、花は咲いたのだよ。奇妙な花がね。しかし、それはあだ花だった」長官は言った。
「あだ花?」
「そう。実をつけることのない花」
「申し訳ございません。私めが至らぬばかりに。先の終了計画は長官の、もう少し時間を、という慈悲深いお言葉に甘えたのですが」
「一九九九(ナインティーンダブルナイン)・(ポイント)七(セブン)ですね。アンゴルモア大王計画」
「はい」
「終わりにしますか。我々が手を下さなくとも、自滅するのは時間の問題ですが」長官はモニターに映し出された青い星・・・その星に住む人間(ホモサピエンス)という、私が種を蒔き育てた、一番の高等生物が自ら呼称する地球(アース)という星を見つめた。
地球(アース)は、その表面で繰り広げられている醜い争いなど無いかのように、青く、美しく輝いていた。
ヒデ君お花はさいたのと先生はいった。
さいたけど、へんなお花だった。だからすてちゃったと、ぼくはすてたお花を先生にみせた。
もっときれいなお花がさくはずだったのにね。
でもねえ。へんなお花にもいのちはあったのよと、先生はいった。
ぼくは、うなずいた。
チョット、へんなお花がかわいそうになった。
あだばな咲いた?
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