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Ⅰ
レ
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「あー疲れたぁ!ってなのしてるの?陸上部は今日練習なかったでしょ?」
元気の良さそうなハツラツとしたその声はどこか幼さを感じる。彼女の名前はマオといい俺の隣の席に座っているダンス部の女子だ。ただ隣と言ってもものすごく喋るような仲ではないのだが、
「帰ろうにもこの雨じゃ帰れないよ。それに電車も止まってるからさ。」
「そっかー、でも確かにあの雨じゃ帰れないよね。」
そう言うと彼女は俺の前の席の椅子を横に向け、背もたれに手を乗せながら座る。いつもと変わらない彼女の様子から、俺は特に何も思わずに問題集に再び目を落とす。
「あぁそういえばさっきこんなチラシを見つけたんだけど」
というと彼女はポケットからピラピラの紙を取り出す。そのチラシには先ほど見たものと似ていた。ただ決定的に違うのは、『ピアノ』の文字の下に、『誰でも参加可能!』という文字が足されていることだ。
「面白そうじゃん?かない?」
彼女はまるで自分の行きたいところの俺を誘うようなテンションで話しかけてくるが、俺はもう一度ピアノと向き合う気にはなれないし、何より怖かった。
「俺はいいや」
そういうと問題集に再び目を落とした。「えーなんでよ!一緒に行こうよ!」彼女は少しムキになって俺を誘う。だが俺はそんな誘いに乗らない。
「行かないって」
「なんで?ピアノ好きなんじゃないの?」彼女は俺のことを何も知らないくせに、ズカズカ土足で入り込んでこようとするような質問を投げかけてくる。
「別に好きじゃない」
「えっそうなの?だってあんなに一生懸命練習してたじゃん!1年生の時からクラブ終わりの放課後にずっとピアノ練習しててさ!」
彼女は、1年生の頃から俺を見ていたのか。正直少し驚いた。
「もうやめたんだ。ピアノなんて」
「えーなんで?」
彼女はどうしても俺にピアノを弾かせたいらしく、しつこく質問を繰り返す。だが俺は彼女から目をそらしたまま何も言わなかった。
「よしわかった!」彼女が突然大きな声を上げる。まるで何かを思いついたかの様に
元気の良さそうなハツラツとしたその声はどこか幼さを感じる。彼女の名前はマオといい俺の隣の席に座っているダンス部の女子だ。ただ隣と言ってもものすごく喋るような仲ではないのだが、
「帰ろうにもこの雨じゃ帰れないよ。それに電車も止まってるからさ。」
「そっかー、でも確かにあの雨じゃ帰れないよね。」
そう言うと彼女は俺の前の席の椅子を横に向け、背もたれに手を乗せながら座る。いつもと変わらない彼女の様子から、俺は特に何も思わずに問題集に再び目を落とす。
「あぁそういえばさっきこんなチラシを見つけたんだけど」
というと彼女はポケットからピラピラの紙を取り出す。そのチラシには先ほど見たものと似ていた。ただ決定的に違うのは、『ピアノ』の文字の下に、『誰でも参加可能!』という文字が足されていることだ。
「面白そうじゃん?かない?」
彼女はまるで自分の行きたいところの俺を誘うようなテンションで話しかけてくるが、俺はもう一度ピアノと向き合う気にはなれないし、何より怖かった。
「俺はいいや」
そういうと問題集に再び目を落とした。「えーなんでよ!一緒に行こうよ!」彼女は少しムキになって俺を誘う。だが俺はそんな誘いに乗らない。
「行かないって」
「なんで?ピアノ好きなんじゃないの?」彼女は俺のことを何も知らないくせに、ズカズカ土足で入り込んでこようとするような質問を投げかけてくる。
「別に好きじゃない」
「えっそうなの?だってあんなに一生懸命練習してたじゃん!1年生の時からクラブ終わりの放課後にずっとピアノ練習しててさ!」
彼女は、1年生の頃から俺を見ていたのか。正直少し驚いた。
「もうやめたんだ。ピアノなんて」
「えーなんで?」
彼女はどうしても俺にピアノを弾かせたいらしく、しつこく質問を繰り返す。だが俺は彼女から目をそらしたまま何も言わなかった。
「よしわかった!」彼女が突然大きな声を上げる。まるで何かを思いついたかの様に
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