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聖女に現を抜かす王子に愛想が尽きた話

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 世界の危機ということで、この国が連盟の代表として聖女様を召喚する儀式を執り行いました。

 結果、我が国の王子を含めた王子たちは揃いも揃って聖女様に惚れ込み、婚約者である私たちを蔑ろにし始めたのです。

 中には、婚約を破棄する王子が出る始末。私のことですね。

 これは聖女様が悪いわけではなく、単に王子たちが浅ましいだけの話です。

 聖女様ご自身は気さくな方で、この立場がつらいと仰っていました。

 王子たちが押し掛けるせいで飲食も喉を通らぬ有様で、私たちのところで食事を取る程の気疲れを起こしています。

 お労わしや、聖女様……。

 しかしご安心を。王子たちの愚かな行動は各国の王が放ってはおきません。

 直に対策が取られ、少しは安心できる体制が整えられることでしょう。

 私は聖女様に手を握られ、微笑みかけられ、危うく王子たちの二の舞を演ずることになりそうでした。

 危ない危ない……。
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