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妹の友人の令嬢から婚約者の冷たい態度について相談を受けた話

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 部屋で本を読んでいますと、扉がノックされました。来訪者は妹と、友人のご令嬢のようです。

 聞けば私に、相談があるとのこと。

 本を畳んで聞く態度を見せれば、妹の友人は意を決して言いました。

「婚約者の方と良好な関係を築くには、どうしたら良いのでしょうか……」

 詳しい話を伺いますと、政略的な婚約を結ぶに至ったが、婚約者の態度が冷たくてつらいとのこと。

 ゆえに、どうした婚約者と仲良くなれるのか、ということらしいですね。

 ちなみに婚約者に対して好意は持っておらず、白紙に戻るならそれで結構とのことでもあります。

 さて、私の背もたれになっている婚約者のエドガー様、どうでしょう?

「冷たい相手に無理して合わせる必要は無いのでは?」

 彼曰く、その婚約者の態度を許せば、結婚後も引き摺ることになるとのこと。

 婚約者が反発しているのならその態度を利用し、白紙に戻せるよう操作した方が建設的かも知れません。

 どちらにせよ、自分の過ごしやすい環境構築が大事です。

 別に無理して仲良くしなくても、良いのです。

 そんな相手は近いうちに浮気するか激昂するかして、切っ掛けを作ってくれるでしょう。

 その切っ掛けをどう活かすのかが大事になります。

「なるほど……分かりました」

 妹の友人はすっかり納得して、安心したようでした。お役に立てて何より。



 ちなみに後日のことですが。

 婚約者が冷たい態度を謝ってきたらしく、今は良好な関係を築いているとのこと。
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