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ようやく王子は婚約者に対して素直になれたようですが、別に私たちにその様子を見せつけなくても良いですよ

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 はい、私です。

 現状について説明させて頂きますと、生徒会室で王子親衛隊に包囲されています。

 親衛隊の面々は厳つい男子生徒……男子生徒? で、筋肉の重圧が凄い……。

 騎士見習いってみんなこんな感じなんですかね。

「アメリア嬢、脅すようで申し訳ない。だが、君のキラリンに対する態度は些か目に余る」

 いや、嫉妬でしょ。

 私とキラリン公爵令嬢が談笑する度に睨みつけてくるの止めてくれません……?

 というか、会話に混ざれば良いじゃないですか。キラリン様とは婚約者の関係なんですし。

「この状況で、強者の余裕を見せつけてくるとは。流石は学院一の秀才だな。だが、その余裕もここまでだ」

「殿下! お待ち下さい!」

 あっ、キラリン様の登場です!

 部屋の扉を開け放ち、王子の元へと歩いていきます。

 顔に浮かぶは慈悲と悲哀。王子はキラリン様の視線から目を背けることもできず、今にも泣きそうです。

 耳を塞いで二人の言葉をシャットアウトします。親衛隊の面々も同様です。

 いやほら、私たちは壁なんですよ。二人の逢瀬に於いては邪魔でしかない。かと言って、生徒会室から出て行くのも空気を壊しそうで嫌ですし。

 抱き合う二人、美男美女、王子と令嬢、両想いの婚約者。

 これは勝ちましたね……。良いエンディングでした……。



 いや、親衛隊の面々はともかく、私は何を見せられてるんです?
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