義弟にぐいぐい迫られる話

広畝 K

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義弟にぐいぐい迫られる話

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 初めて会った頃は、義母の後ろに隠れるような可愛らしい子だったのに……。

 どうしてこうなったのか……。

「義姉さん、お茶が冷めますよ」

「いや、自分で飲めますから構わないで下さい」

「つれないところも素敵ですね」

 義弟の足の上に座らされ、手ずから茶菓子を振る舞われている、行き遅れの私です。

 モテないわけではないと思います。

 婚約は何度も結んでいますし、社交界でもそれなりの立場を築けている筈です。

 その筈ですが、婚約は相手方から破棄を懇願され、けれども家としての付き合いは積極性を増していくという有様。

 本当に、わけが分かりません……。

 義母上も父上も孫の顔が楽しみだと言っていますが、今の私に婚約者はいませんよ?

 好きな人は、まあないでもないですが。

「義姉さんから好きと言われるのは……こう、照れますね」

「さらっと心を読まないで下さい」

 義弟離れしなくてはと思うこの頃ですが、少しばかり怪しい感じです……。
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