雑多な短編集

広畝 K

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現代系

遠距離恋愛をしようと言われた瞬間に破局を悟りました

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「俺は東京の大学に行くよ。君も来てくれると嬉しい」

 そう言っていたお前が、新しい女を引っ掛けているのを私は見たからな。

 キャンパス見学ではっちゃけているお前は、まあ馬鹿にしか見えなかったよ。

 短い間とはいえ、よくもまあそんな馬鹿と付き合えたものだ、と私は自分が恥ずかしく思えたものだ。

 とはいえ、それだけでは証拠不十分だと思ったからある程度の調査もしたし、お前の母親にも確認を取った。

 義母になると思っていた人からの謝罪は心苦しさを感じたが、仕方のないことだったと思っている。

 スマホは換えたし、LINEアカウントも削除した。

 予定していた大学も変え、自分に合った学力の大学に行っている。

 まあ、お前は少しも気にしてはいないだろうがね。

 念のために縁切り神社にも詣でたし、弁護士を通じてお前の家系が私の家系に関わらないよう契約も交わした。

 これで少しは安心だが、念には念を入れておく。

 これらの証拠を然るべき公的手段によって、お前のところに届けるよう手配しておいた。

 無論、お前の母親は全てを了承している。

 お前がこの文章を読んでいる時点で、私との関わりは生涯不可能となっていることだろう。

 記憶力の悪いお前のことだから何が何だか分からんだろうが、まあそのまま忘れていると良い。
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