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お母様とお父様における力関係と理解らせの話

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 庭園で久しぶりにお母様と歓談することになったので、前々から聞きたかったことを尋ねました。

「お母様は、どうしてお父様と結婚されたんです?」

 無論、政略結婚であることは伝え聞いています。

 そして、一度は婚約を破棄していたということも。

 しかしそれでも再び婚約を結び直したのは、どういった背景があるのか。

 私、気になります!

 強い好奇心を感じ取ったのでしょう。

 お母様は一つ小さく息をつくと、遠くを眺めて言いました。

「お父様が多数の女性と関係をもったことで刺され、婚約破棄に至った経緯は知ってるわね?」

 知ってます。

 というか、多数なんですね。

 しかも刺されるとか……やっぱお父様は、こう、残念な人ですね……。

「破棄の際、自分に非があることを認めず、生意気にも反抗してきてね。理解らせてやったのよ」

 ええ……?

 しかもそのことが切っ掛けで、お父様は品行方正となり、お母様に忠誠を誓うことになったのだそうです。

「その理解らせの時にできたのが、貴女よ」

 そんな事実は知りたくありませんでしたね……。
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