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十年来の幼馴染な婚約者に婚約破棄されましたが、これで良かったとも思います。

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 恐らくは元々、気が合わなかったんだと思います。

 だから十年経ってもそれなりに距離感があって、喧嘩の一つもしなかったんだと思います。

 互いに無関心だったのでしょうね。

 その均衡が崩れたのが先日で、好きな人ができたから婚約破棄をしたいと言われたわけです。

 両家の親とも寝耳に水のようでしたが、私はすんなり受け入れることができました。

 ああ、やっぱりな――という諦観がすっきりと形になりました。

 いや、悲しいですし寂しいですし、泣きましたとも。

 でもそれだけだったんですよね。

 ほら、元々あんまり仲が良いという感じでもありませんでしたし。

 腐れ縁みたいな、そんな感じでしたね。

 どちらも親が勧めてくるし、嫌いでもないから行動を多く共にしていた。

 好きでしたけど、愛するという程でもなかった。

 それだけの話だったわけです。
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