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婚約破棄ですか? 構いませんよ、払うものを払ってくださるのなら

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 ご機嫌よう。

 貧乏令嬢として名を馳せる私です。

 このたび、私は金持ちで有名な侯爵子息と婚姻を結ぶことに成功したのです。

 が、しかし!

「君のような貧乏ったらしい女性は僕に相応しくない。婚約は破棄させてもらう」

 とまぁ、こうなりました。

 初めて顔合わせをしたときから、この気障ったらしいお坊ちゃんは私のことを嫌そうな目で見てきましたからね。

 こうなることは随分と前から予測しておりました。

 ゆえに当然、侯爵様には諸々の条件を吞んでもらっています。

 先祖代々より積み重なっている借金の支払い、使用人たちへの給金、国への税金、軍事費、土地資源の開発費、などなど。


 まあ、幼馴染という間柄があったからこその条件だったわけですけれども。

 いくら幼少の頃からの付き合いとはいえ、性格が少しも改善しなかったことについては私も少し残念に思っておりますよ?

 契約と感情はまた別物、というだけの話です。
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