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浮気されていたと知ったので、婚約破棄を決意する話

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 あの男との婚約破棄を決意したのは、あの男の浮気していた女と会ったときのことだった。

 出会った場所は茶会の席で、その女は独りで泣いていた。

 その時の私は女がまさか、婚約者と浮気していたとは思いもしていなかった。

 それも、話によれば何人もの女を泣かせているとのことらしい。

 しかもよく見れば、目の前で泣いている女は侯爵家の娘ではないか。

 伯爵家の私よりも爵位が高い家の娘であり、そんな娘を泣かせた男の爵位は子爵である。

 同じ男を好いた縁もある。

 私は娘を慰めながら、優しく彼女に寄り添ったのだった。
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