53 / 253
Chapter04 - Side:Salt - B
49 > 汐見と佐藤の出会いー8(忘年会場を出て)
しおりを挟むッバシャッ!
日本酒をぶっかけられたオレを見て、佐藤は青ざめていた。
そりゃそうだ。
「鈴木先輩」はオレじゃなくて「佐藤」にぶっかけるつもりだったはずだ。
「鈴木先輩」の狼狽ぶりに、逆にオレは落ち着いてきた。
〝こういう奴は最初に下手に出ると調子に乗るからな……〟
「鈴木先輩」の行動は明らかに悪意のあるソレだった。
いい加減、開発部に来ては営業部内部の話をあれこれベラベラくっちゃべっていたこいつが【大嫌い】なのを改めて認識したオレは、腹にすえかねていたので。
酒がかかってしまったメガネを外してハンカチで拭きながら、据わった目で「鈴木先輩」を睨みつけた。
『……先輩……酒は飲むものであって、かけるものじゃないですよ。地蔵じゃあるまいし』
『お、俺は、お前じゃなくて佐藤に……』
『佐藤さんだって、地蔵じゃないでしょう。いくら酔ってるからってちょっとやりすぎじゃないですか?』
別にオレは特別正義感があるわけじゃない。
だが、佐藤がみるみるうちに青ざめていくのを見て、頭も体も冷めていき、冷静さに拍車がかかっていく。
睨むオレ、狼狽える「鈴木先輩」、青ざめる「佐藤」。
三者三様、三つ巴の膠着状態が数十秒続いた。
一悶着ありそうな気配を察知した女性の先輩社員がオレたちのテーブルに来て、その傍若無人な「鈴木先輩」をその場から連れ出してくれた。それで、その場は一応ことなきを得た。
オレと佐藤はほっと息を吐き、互いに顔を見合わせてひとしきり笑い合う。
せいせいしたが、濡れたまま帰宅するのも嫌だったオレは、社に戻る方が早いと思い、佐藤に言付けて帰ろうとすると、案外押しの強い佐藤まで一緒についてくることになった。
で、その時に【Suger And Salt】なんてコンビ名までいただいたのはおかしな話だった。
宴会場はオレのアパートとは反対方向で、社まで戻るのに歩いて2分。一旦会社に戻って着替えるか、思ったんだが、後で考えると、そのまま帰ってもよかったな。とは思った。
だが。
すぐ家に帰ることを選択していれば、きっと佐藤と親しくなることはなかっただろうし──後から考えれば、の話だが──色々と未来は変わっていただろうと思う。
この、1年の仕事納めの日に。
咄嗟にでも【一旦、社に戻る】という選択をしたオレはものすごいでかい分岐点でのルート選択をしたと思ってる────
ささっと着替えて、さて帰るか。と思ったら、まだシラフではなさそうな佐藤が、わりと軽いノリでオレを二次会に誘った。
〝う~~ん。オレ、風呂入りたいし、こんな美形と外でサシ飲みは勘弁したい……〟
オレは外で注目を浴びるのに慣れてないし、そもそもこいつと一緒にいて釣り合いが取れるような顔面も服も持ち合わせていない。
そう思ったオレは、逆に、徒歩10分のオレの自宅に誘うことになってしまった。
〝ま、いっか……しかしなぁ……〟
オレは佐藤の顔面偏差値80越えの顔を見て
〝こいつが女子だったらさぞ美人で人生イージーモードだったろうに……そしたらどこぞの金持ちと結婚してこんなうわさを立てられることも……〟
なんて、埒も開かないことを考えながら、会話を始めた。
『しっかし、意外だなぁ』
『え?何がですか?』
『うわさってのは当てにならないな、ってこと』
そう話して、つい、営業部に佐藤が夜遅くまで残っていたよな、ってことに言及した。
その時、何をどう話したかあまり覚えていないが
『……周囲にいる人からの嫉妬や羨望から足を引っ張られることが多い。大きな組織にいる優秀な人間の宿命、だから……』
そしたら──佐藤が突然、泣き出してしまったのだ……
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ファントムペイン
粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。
理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。
主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。
手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった……
手足を失った恋人との生活。鬱系BL。
※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる