わたし、メリーさん

osho

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クリスマスー①

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山々の木々はすっかりと冬化粧ふゆげしょうを終え、街はイルミネーションの灯りが輝くころ、私はあれからを覗いて普段通りの生活をしていた。
















前のように携帯が繋がらないことがあり、少し体が重くなるのだ。




それも段々と回数が多くなってきている気がする。








内緒で病院で見てもらったりしたけど異常は無かった。




私自身も気にはなったが、どうしようもなかった。
 
















《「もしかしたら、それはメリーちゃんの『やりたいこと』に繋がることなのかもしれないね。」》













あの時の朽崎さんの言葉を気にしながら、私は出掛ける準備をしていた。













「メリーちゃん行こうか。」





そこには防寒着を着た零さんが待っていた。











今日はクリスマスなのである。






朽崎さんがクリスマスの用意をしている間、買い物ついでに遊んでおいでということでした。















「あ、メリーちゃんちょっと待って。」






朽崎さんは急いで何かを取りに行った。




 











「はい!クリスマスプレゼントだよ。」






マフラーだ。





恐らく朽崎さんが手編みで作ったものだろう、とても温かい。










「あ、ありがとうございます。とても温かいです!」












「メリーちゃん!楽しんできてね。」






朽崎さんに見送られながら、私と零さんは商店街へと歩いて行った。















私と零さんは朽崎さんの買い物のメモを見てみてみたが、数は少なく買い出しはすぐに終わった。








「次どこに行きます?」







買い物を終えたので、零さんに尋ねてみた。












そしてら少し考えた後に零さんは
「じゃぁ、ちょっと行きたい所があるから行こうか。」と言われたのでついていく事にした。










私と零さんは、静かな灯りで輝く商店街を抜けてある場所へとたどり着いた。












「ここって…………。」
















そう、夏祭りの時に花火を見た場所だった。








他の所より高い場所なので、街を展望できる。













「冬に見えるここからの景色も綺麗だから、毎年冬になると来たくなるんだよね。」と零さんは言う。







確かにここから見える景色はイルミネーションの灯りは宝石をちりばめたみたいに綺麗だ。














「ほんとうに綺麗ですね。」







夏祭りにクリスマス、朽崎さんが言っていた通りこの街には楽しいことがたくさんあった。












来年もまた見れるだろうか…………。













あの夢が私の生前の記憶が見せるイメージだというなら……。


















「わっ!」





唐突にほっぺに温かい物が触れた。









「何考えてる?」








零さんが温かい飲み物を買ってきてくれていた。










「メリーちゃんあの時からさらに考え事が増えた気がするんだ。」





「何があったのか話してよ。」











私と零さんは近くのベンチに座った。















「私もしかしたら長くないのかもしれないんです。」











唐突な発言に零さんは
「あの日の事が気になっているのなら、気にしなくても大丈夫だよ。」と言ってくれた。








「違うんです。あの時みた夢は妙にリアルで既視感があって…………。」












「そういえばどんな夢だったの?」







そう聞く零さんに私は夢のことを説明した。






所々曖昧な部分もあったが、零さんは真剣に聞いてくれた。


















話を全部聞いて零さんは質問をしてきた。
「もし、メリーちゃんが『やりたいこと』が分かったとしたらどうしたい?」















考えて無かった。









やりたいことを見つける事に必死だったからだ。















『やりたいこと』をして成仏するか、人として少しでも長く皆と過ごすか。
















「わ、私は『やりたいこと』が分かったら………….。」












零さんは困惑している私をみて





「ごめんごめんメリーちゃん、せっかくのクリスマスなのにちょっと湿っぽい話になっちゃったね。」と言ってくれた。








「い、いえ、真剣に私の事を考えてくださりありがとうございます。」








私は照れくさくなり、また街が良く見える所まで歩いて行った。


















「メリーちゃん。」






後ろから零さんに呼ばれ私は振り返る。












そこには、プレゼントボックスを持った零さんがいた。








「メリーちゃん、俺からのクリスマスプレゼント。」













零さんの優しい笑顔とプレゼントを贈る姿は、まるでーーーーー。
















「…………………お兄ちゃん。」














「え?」











次の瞬間私はその場に倒れそうになる。










少しの間だったがうつろつ意識の中、零さんが駆けつけてくれるのが分かった。







「メリーちゃん!大丈夫?」









私は答える、



「大丈夫です……………。」













あぁ、そうか………………。














全部思い出した。






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