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綾菜と瑞樹編

1・にゃんにゃんのはじまり

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みーちゃんと私は、幼馴染。
家も近いし、保育園の頃からずっと一緒。
漫画やドラマであるような、ベタな幼馴染と言ってもいい。
そう、王道なのだ。
私は王道を外れず、期待通りにみーちゃんが大好きだ。

中学生のある時、みーちゃんが神妙な顔をして相談があるって言うから、小さい頃からしているように部屋へ入った。
この頃のみーちゃんは、まだ背が伸びる前で、細くてちっちゃくて、私の方が大きかった。
大好きだったけど、まだ可愛い男の子だと思ってた。

「あーにゃ」
「はいはい。」
「俺は、自分の将来が心配なんだ。」
「え、なんで?なにが?」
出された麦茶を飲んで、みーちゃんの顔を見る。やはり、いつになく神妙だ。
そして美形だ。
みーちゃんの中身も好きだけど、外見がまた好みで。というか、小さい頃からみーちゃんばっかり見て来たから、美的感覚の基準がみーちゃんなのだ。
少し面長で、色が白くて目の周りに血色が出やすい。人よりふた回りくらい大きい目はちょっとつり目で三白眼気味。クールな感じ。
鼻が高くて、笑うと大きな口は、唇が薄くて桜色をしている。歯並びも良い。
なにより、笑った顔が本当に可愛い。

面白いことが大好きで、いつも何かに夢中になっている。
そんなみーちゃんが好きなのだ。

「俺は、いや俺たちは、このままじゃ大人になることが出来ないと思う。」
「そうですか。」
たまに自分理論で話すから、言ってる意味が分からない時がある。多分、今がそれ。
「だから頼む、あーにゃ。」
みーちゃんは、私を前にして土下座をした。
「おっぱいを触らせてください。」
「はぁ?!」
好きだけどね、みーちゃんのこと好きなんだけどね。
「言ってる意味が分かりません!」
「そのままだよ!」
「そういうこと言ってるんじゃないんだわ!」
みーちゃんは起き上がって、にじり寄ってくる。
怖い、目が怖い。眼光鋭いから!
「あーにゃ、俺のリビドーが猛り狂ってるんだ。」
「リビドー…?」
「そうだ。そして、あーにゃにもあるはずだ。なぜなら、俺は見た。」
やたら真剣な顔で言うから、ついつい話を聞いてしまう。
「あーにゃの部屋にあったエロい少女漫画を!」
それ、本棚の奥に隠しておいたやつなんですけど!
一体、いつの間に家探ししたんだ、こいつ。
「男が女の子の体を触って気持ち良くして、最終的にちんこを入れてた。」
読んだんかーい!
「やはり、俺たちもリビドーを解放する必要がある。」
あー…えっちなことをしたいってことね。
大人なクラスの女子が言ってたけど、大抵の男はみんな頭の中がえっちなことでいっぱいって言ってたの、本当だったんだ。
「難しい言葉を使わないで、正直に言ったら?」

「最後までしなくていいから、おっぱい触らせてください。」

再び土下座。
やべえわ、本気でみーちゃんの頭の中はえっちなことでいっぱいだわ。そうか、今夢中なのは、えっちなことってわけね。
「うーん…見せてあげないこともないけど。」
「やったー!」
「条件がありま」
「のもう。」
「す…。」
食い気味だし、決断早すぎる。
「いくら興味があっても、私以外としないで。」
みーちゃんは、キョトンとした顔をしている。
「え、うん。あーにゃにしか頼まないよ、こんなこと。」
「なんで?」
「他の女に興味ないもん。」
えー!なにそれー!許す!
途端、口元が緩む。
「んじゃ、早速。」
服をめくろうとするから、手を叩いた。
「余韻に浸らせなさいよ!」
「えー、目の前におっぱいがあるのに。」
「どんなけ夢中なんだよ。」
っていうか、いくら好きなみーちゃんと言えど、胸を晒すなんてすぐに出来るわけがない。
「恥ずかしいから、無理。」
「条件のんだのに!」
「デリカシーがない。」

そう言われて、眉間にしわを寄せて考え込む。
真面目な顔をしていると、彫刻みたいに綺麗だ。
みーちゃんの顔は、いつまでも見ていられる。
でも、真剣に考えているのは、私のおっぱいをいかにして見るかってこと。
「よし、分かった。あーにゃ、隣に座って。」
「はいはい。」
普段の感じで少し間を空けて座ると、違う!という顔をされて、腰を掴まれて引き寄せられた。
思ったより力が強い。
そして近い、近過ぎる。みーちゃんの熱い体温を感じる。
こんな風にぴったりと体を寄せ合うなんて、小学校低学年の時以来だ。
心臓がドッドッドッと大きな音を立てて動いている。

それにしても、みーちゃん細いなぁ。中学に入ったら、私の方がどんどん大きくなっちゃって、隣に並ぶと差がすごくて悲しくなってくる。
太ももとか、みーちゃんの2倍くらいはある…死にたい。
いや、みーちゃんが細すぎるんだよ。私は普通だ、いや普通よりちょっとふくよかかもしれないけど、あれ、マシュマロボディよ!

というネガティブフォローを心の中でしていると、みーちゃんにデコピンをされた。
「痛い!」
「全然関係ないこと考えてるでしょ。」
「みーちゃんが細すぎるのが悪い。」
儚い美少年過ぎるのが悪い。
みーちゃんは、は?という顔をしてから、私の手に触れて来た。
「食べても太らないんだよ。炭水化物の摂取量、増やしてんだけど。いや、今はそんなことどうだっていい。」
指を絡めると口元に持っていき、手の甲にみーちゃんの薄い唇が触れた。柔らかくて温かくて、触れられたところからボッと熱を持った。
自分の耳が真っ赤になるのが分かる。
大きくてキラキラした目が、強い視線で見つめてくるから、益々ドキドキが強くなって、心臓が痛い。
「あーにゃ」
まだ声変わりのしていない、透き通るようなボーイソプラノが、私の名前を呼ぶ。
「あーにゃの全部が知りたいんだ。」

こんな、みーちゃん、知らない。
可愛かったみーちゃんが、男の人になりかけているんだ。

ちゅっとリップ音をさせて、今度は指先にキスをされる。
感覚が敏感だから、みーちゃんの皮膚の感触が分かった。
背筋がぞわぞわと粟立つ。
「あーにゃ」
どうしよう、拒めない。
恥ずかしいけど、死ぬほど恥ずかしいけど、みーちゃんに見られても良いと思い始めている。
「みーちゃん…」
繋いでいた手をぐいっと引かれて、みーちゃんの胸の中に収まった。
私、今抱きしめられてる。
「あーにゃ、可愛い。」
そんなこと、言われたことない。
耳元で囁くのは、ずるい。
身長の割に大きい手が、背中を這ってスウェットの中に入ってきた。
「ひゃっ」
「あーにゃ…」
耳の上部分に、かぷりと歯を立てられて、息を吹き込まれる。
声も出ないほど、ぞくぞくした。
知らない間に、ブラジャーのホックを外されてしまい、胸が解放されていた。
「はっ…やだ、みーちゃん!」
「大丈夫だよ。」
何が!
「俺しか見ないんだから。」
それが恥ずかしいんだってば。
動揺している間に、スウェットを下からめくられて、ブラジャーが乳頭にかぶさるだけの格好にされた。
「うわ…えろ…」
やめてー!!
気持ちと裏腹に、体が固まって動かない。
恥ずかしい、でもこのまま見られてもいい、やっぱり恥ずかしい、が頭をぐるぐるしている。
せめて、もっと可愛いブラをしてくるんだった。

みーちゃんがごくりと喉を鳴らす音がした。
そっとブラをずらされて、胸が外気にさらされる。
「……」
みーちゃんが黙ったままで、怖くなる。
私の胸、どこか変じゃないだろうか。大丈夫だろうか。
そういえば、友達とお風呂に入った時、乳輪が大きいと言われたことがある。どうしよう、それだったら。
恥ずかしくて、怖くて、どうしたらいいか分からなくて、涙が出そうになった瞬間。
「すごく、きれいだ…」
私の胸に視線が釘付けのみーちゃんが、うっとりした声でつぶやいた。

長い指が、胸の横からツンツンと触れた。
「やっ、みーちゃん!」
「なに?」
手を止めることなく、聞き返す。
「見るだけって言った!」
「は?俺は初めから、触らせてって言ってるけど。」
…確かに、触らせてくださいって言われた。
完全に私の勘違いだ。
「じゃ、約束通りなので。」
みーちゃんの五本の指が、下からすくうように胸を揉み始める。
「ふあっ、ちょっと、触り方がえっちだよ!」
「当たり前じゃん!こっちはリビドーを解放してんだよ。」
たぷたぷと音が聞こえそうなほど、上下に揺すられる。
「すご…柔らかい、なんだこれ。すごい…」
胸に指が埋まりそうなほど掴まれて、少し痛い。
「みーちゃん、ちょっと痛い。」
「あっごめん。」
今度は手のひらを乳頭に当てて、正面から揉んでくる。
なんだか気持ちよくなってきて、息が荒くなる。

「あーにゃ…何カップあんの?」
「…Dカップだけど」
クラスの中でも大きい方だから、実は結構気にしている。
もうスポブラじゃ収まらなくて、大人みたいなブラをしないといけない。
「これ、俺が揉み続けたら、大きくなんのかな。」
「知らなっあっ」
変な声が出てしまって、慌てて口を押さえるけれど、嬉しそうなみーちゃんと目が合った。
「あーにゃ、気持ちいいの?これ?」
手のひらの中で勃ち上がった乳首を、指の間で固定して擦られる。
じんじんするような気持ち良さで、声を出さないように我慢する。
「声出して大丈夫だよ。今日、家に誰もいないし。」
「やだ、恥ずかしいもん。」
声は我慢するけど、熱い吐息が漏れてしまう。
みーちゃんの指先が、敏感な部分を優しく摩って、たまにきゅっと摘んでくる。
「やっ…あっ」
堪えきれず、声が出てしまった。
「あーにゃ…可愛い。もっと声出して。」
片方の手は乳首を擦り続けて、もう片方の乳首は、みーちゃんの大きくて可愛いお口がパクリと食べてしまった。
可愛い顔が胸に吸い付く姿は、赤ちゃんの様でいて、でもとても男の人だった。
「あっ…やだ…食べちゃだめ。」
口の中で乳首を転がされ、なぶられ、強く吸われる。
なぜか、お腹の奥がキュンとして気持ちよくなった。
「ひゃっ…ああっ…やだ…んん」
声が止められない。気持ち良くて、どうにかなってしまいそう。
「ぷはっ…」
もうちょっとでおかしくなりそうなところで、みーちゃんが口と手を離した。
良かった、変になりそうで怖かった。

「あーにゃ、すごい。神秘だ。」
目をキラキラさせて、褒められた。
「そうですか。」
私は疲れた。
「よし、これから毎日やって、あーにゃの胸を大きくしよう。目指せ、あーにゃのにゃんにゃん計画。」
「はー?毎日?!にゃんにゃん計画って何?!」
何を言ってるんだ、こいつは。頭がおかしい。
「ん?あぁ、毎日は無理か。家に誰かいると声が聞けないし。」
そこは、見つかるからダメじゃないんだ。
部屋のカレンダーを眺めて、みーちゃんが頷いた。
「月水金と土日のどっちかかな。」
「週4?!」
ちょうど、みーちゃんのお母さんがパートでいない日だった。
「土日は連絡するね!予定もあるだろうし。」
平日は呼ばなくても来いよってことですね。
「みーちゃん、自分勝手すぎない?」
「あーにゃ、俺と一緒にいたくないの?」
可愛い顔で小首を傾げるから、うっかり肯定してしまう。
「いたいです。」
「じゃあ、なんの問題もないね。」
みーちゃんは、知っているのだ。
私の気持ちを。
「大丈夫だって、優しくするよ。」
みーちゃんは嘘をつかない。
優しくすると決めたら、絶対に優しくしてくるのだ。
ドキドキして、気持ち良くて、少し怖くて、本当にちょっとだけ期待してしまう。

「私、部活ある日もあるから、遅くなるよ。」
「うん、分かってる。その日は迎えに行くよ。」
送り迎えとな…。
やばすぎる。
「じゃ、にゃんにゃん計画の続きしようか。」
「えっ?!終わりじゃないの?」
「言ってないよ。」
そうだね、言ってないね。
っていうか、にゃんにゃん計画って何。

その後も、みーちゃんが満足するまで、ずっと胸をいじめられた。

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