【R18】オムニバス:童貞ばっかり集めました！【企画:童貞祭り】

隣の家の可愛い、年下の男の子

第１話

隣の家に住む、可愛い可愛い男の子。
 いや、ごめん。外見はそこまで可愛くはないかもしれない。中の中～下かな。愛嬌がある感じ。
 でも、中身は可愛い。何をやる時も全力で、喜怒哀楽が激しくて、まだ自分の機嫌を自分で取ることができないから、怒ったり笑ったりすぐ表情に出る。分かりやすい。
 私は、そんな彼をからかうのが大好きなのだ。

 「美涼、今夜は季央（ときお）くんの面倒よろしくね。」
 母が荷物を持って玄関に向かう。眠い目を擦って、見送りに後を追う。
「んー、分かってる。家に来るんでしょ？」
「そうよ。お母さん達は遅くなると思うから、泊まらせちゃって。」
「うぃー。」
 仲良し夫婦達は、４人で野球のナイターを見に行くらしい。試合が盛り上がれば、帰りはどんどん遅くなる。もしかしたら、そのまま飲みに行って終電帰りかもしれない。
 季央は手がかからないし、遅くなったところで問題ない。
「そういえば、季央くんのテストの点数が悪かったから、教えて欲しいって夏子さんが言ってたのよね。それもよろしく。」
「え、まじ？出来る気がしないんだけど。」
「現役大学生が何言ってんの。頼んだわよ。」
「へいへい、いってら。」
 現地集合らしく、父は職場から直行するようだ。母は１人で出かけて行った。
 さて、今日はバイトがない。
 季央が来るまでのんびり昼寝か、積んでたゲームでもやろうか。
 部屋着のままダラリとリビングのソファーに転がっていると、チャイムが鳴った。
 インターフォンのカメラには季央が映っている。
「来るの早すぎでは？」
 玄関を開けると、少し不貞腐れ気味の季央が我が物顔で入ってきた。
 学校で何かあったのだろうか。
 眉間にシワを寄せて私の横を通り過ぎて行く。年齢の割には背が低く、女子の割に背が高めな私の胸の辺りに頭がある。
 季央は勝手知ったる我が家のように、リビングのソファーにバッグを置き、冷蔵庫から牛乳を出して飲み始めた。
 ここまで、無言。
「季央、勉強いつ見んの？」
「すずに分かんの？」
「あったりめえよ。こちとら四大生ですぞ。」
「Ｆランの？」
「お？やるか？」
「やんねえよ。俺の方がすずより偏差値高いんだよ。」
「まあ、そうな。何で夏子ちゃん、私に勉強見ろって言ったん？」
「…知らね。」
 プイッと顔を背けて、牛乳を飲んだコップを洗い、立てかけた。こういう律儀なところは、とても偉いと思う。良いところにお婿に行けるよ。
「じゃあ、勝手に勉強するなり寝るなりしてくれい。夕飯は７時です。それまで解散！」
「家の中で…解散…」
 面倒見る気ねえじゃん、とブツブツ言いながら、季央は階段を上がって行った。多分、私の部屋で流行りの少年漫画でも読むのだろう。
 季央が幼児だった頃から、ずっと面倒を見ている。小学校もギリギリ一緒だったから、集団登校もしていたし、指定カバンやジャージは私のお下がりだ。思春期なのに嫌がらないのは偉い。
 漫画や本、ゲームも新作が出れば大概は私と一緒にやっている。私が家にいなくても、母が勝手に部屋に上げてしまうから、エッチな漫画を常に隠さなきゃいけないのが面倒だ。
「さて…ゲームするか。」
 対戦ではなく、手付かずだったRPGを始めた。