【R18】ありふれた二人の、ありふれない性活

はこスミレ

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第27話





早速屋台を見つけた四葉は、お目当てのたこ焼きと、牛串、イカ焼き、唐揚げ、焼きとうもろこし、じゃがバターと、どんどん買い込んで行く。
「そんなに食べられないだろ。」
「えっ、郷田がいるじゃん。」
「いくら俺でもそんなに食えねえ。」
「ええー!そんなことないって、いけるって!」
「食べきれなかったら持って帰れ。」
ブーブー言う四葉を止め、両手に持たされていた食料を見せる。
「冷める前に食おう。」
「いい場所がありますぜ、旦那。」
手下のように手を揉んで悪い顔をするから、志信はうっかり笑ってしまった。
「君、君、こんなに愛らしい妙齢の女子を笑うとはどういうことだね。」
絶対に笑わせようとしていたのに、わざと怒った顔をする。
「そうっすね、サーセンっした。」
「軽いなあ。」
食材を片手にまとめて持ち、四葉の手を取った。びっくりした反応は無視する。
「で、いい場所ってどこ?」
「…ちょっと遠い。」
嫌がって離されることもなく、腕が触れ合う近さで歩く。
辺りは暗くなってきたけれど、四葉の耳が赤いのは分かった。
ー可愛いやつ。
志信の口元が緩んだ。


しばらく歩いて、人気の少なくなった路地を抜ける。
「ちょっとじゃなく遠くないか。」
「そう?子どもの頃はよく来てたんだけど。」
「…地元?」
「まあねえ。」
カラカラと下駄の音を響かせ、石段を登り切ると、ひらけた場所に出た。大きな木々とベンチがいくつか設置されている。
「わー、遊具がなくなってる。」
「公園?」
「そうそう、ここから花火がよく見えるのよね。みんなはお祭り会場へ行くから、わざわざここには来ないの。」
巾着からスプレーを取り出し、志信に吹きかける。
「おわっ、何?!」
「虫除けアロマ、痒くならないやつ。」
「ありがとう。」
四葉は自分にも吹きかけ、特に念入りに足先につけた。
「指を刺されるのが一番不快!」
「分かる。」
志信の足先にもかけると、意気揚々とベンチに座った。
「お腹空いた!たこ焼きー!」
四葉の隣に座り、袋からパックを取り出して渡すと、嬉々として食べ始めた。
「んんひい!」
「良かったな。」
志信も唐揚げを口に放り込むと、自分で買ったペットボトルのお茶を飲んだ。
「汗がやばい。」
「夜でも暑いからねえ。はい、郷田。」
串に刺したたこ焼きを差し出され、自然に食べさせられる。
ソースとマヨネーズがたっぷりかかっていて、生地やタコの味はよく分からなかったが。
「うまい。」
「屋台のたこ焼きって、何で美味しいんだろう。お祭りだからかな。」
志信の手に持ったお茶を勝手に飲むと、牛串を取り出して齧り付く。
「んふふ、お肉ー!」
「自分のお茶飲めよ。」
「買うの忘れたの!」
「バカだ。」
「いいもん、後で買うし。」
ぱくぱくと牛串を食べていく四葉は、会社では絶対に見せないほど無防備だ。
こんなとこ、他の同僚達には見せたくない。
「そういえば、社内納涼祭は参加すんの?」
「んー、タダ飯食べに行くよ。郷田も行くんでしょ。」
「今年はビアガーデンBBQだってよ。」
「よし、肉食べよー!」
「肉もいいけど、気をつけろよ。」
「ビールは間違えないわよ。」
失礼しちゃう、と言って牛串を食べ切った。


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