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第32話
「最近、郷田と仲良くない?」
比較的交流のある同期の女子が、コーヒー片手に隣の席へ座る。
「アシスタントしてるからでしょ。」
社内では通常営業だし、社外では部活動しかしてない。
四葉は印刷した資料をホチキスで留めた。
「いや、しのじゃなくて郷田の方って感じ。」
怪訝そうな顔をした四葉を、同期が笑う。
「その顔じゃ、気づいてないんだ。」
「何が?」
コーヒーを含んでゆっくりと飲み干す、その
間が長く感じた。
「元々、二人は小競り合いが多いけどさ。社内で彼女ができると、しのが原因で喧嘩になるらしいよ。しのと仲良いのは気があるんじゃないのかーって。」
「何それ、私全く関係ないじゃん。」
同期がピシリと指を指す。
「まず周りからそう思われてるってこと。で、郷田が最近しのに甘い。」
「はあ?どこが?仕事を振る量は恐ろしいし、憎まれ口は叩くし、すぐ突っかかってくるし。」
「後半は、しのも同じだと思うけど。」
ブー垂れながらホチキス留めをする四葉に、同期が続ける。
「しのを見る郷田の視線が甘いこと甘いこと。周りの男性陣が近づくとピリピリするし。」
「ないない、絶対ない。仕事で話してるだけで誰とも何にもない。」
「いやあ、気をつけて見てみなって。めちゃくちゃ面白いから。」
留め終わった資料をひとまとめにし、次の資料に取り掛かる。
「そうやって、すぐ面白がる。」
「ははは!しのはいつも口喧嘩してるから分かんないだろうけど、郷田は普通にしてれば聞き上手だし気配り上手だし、あとエロい。」
「えっ、え?!」
四葉は発言に目を見開いた。
まさか、知らない間に…
「もしかして…」
「違う違う!」
同期は慌てて手を振って否定する。
「雰囲気の話ね、空気感ね。」
「ふうん。」
確かに、分からなくもない。
セックス中は無理強いしないし、気持ちいいところを的確に把握してるし、抱かれる時は優しい。
この前の浴衣青姦は、とても良かった。まだ噛み跡が残っているから立襟の服しか着られないけれど、今度は首じゃないところが良い。
四葉が思い出してニヤついていると、同期が頬を指で突き刺した。
「おわっ!」
「何、郷田のこと考えてニヤついてんの。」
「違う!」
ー違くはないか…
「だからさあ、しのと郷田がくっついたら面白いのになぁと思って!」
残りのコーヒーを煽って、同期が席を立つ。
「郷田のこと、ちょっと観察してみなよ。面白いからさ!」
じゃ、と手を上げて帰って行った。
「何しに来たんだあの子は…仕事しろ。」
ガション、と音をさせてホチキスを動かす。
ー私と郷田がセックスしてるって知ったら、どう思うかな。
どう思われてもいいが、間違いなく面白がられるだろうし、他の女子だったら付き合ってるとか不純な関係だとか、言われるだろう。
恋愛感情のないセックスは、嫉妬も邪推もなく、快感だけを追い求められた。
自分の体を否定しない郷田は、その相手にうってつけだと思ったから、この関係を続けている。
郷田がこんな自分を好きになることなんて、あるのだろうか。
ーただの痴女だぞ?
四葉はぼんやりしながらも、全ての作業を終わらせた。
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