Condense Nation

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1章 トウキョウ編

第4話  トウキョウを守護する巨人

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「私はアメリア、このプロジェクトを指揮する者よ。
 安全理事局管轄なのは理解しているはず」
 (綺麗な人だな・・・)

 アメリア・フェルナンデス。
彼女はトウキョウCNの副司令官で、No3の称号をもつ
幹部の1人でもある人物だ。
こうして直に会うのは初めてで、対面する機会はほとんどない。
普段上層階に行けるのは一部の者だけだから。
早々に彼女は聞いてきた。

「AURO海水融解の発案者があんた?」
「え、ま、まあそうみたいです」

しどろもどろな答え方をしてしまう。
そりゃ、適当に案じましたなんて言えるはずがない。
最上級役員の1人だけあって、女性ながらも迫力がある。
普通ならば、上司の話を終えてから質問するのが常識だけど、
割り込みのプロとよばれるボクはつい今聞いた彼女の言葉に質問した。

「今、プロジェクトとおっしゃいましたよね?
 何をしようとするんですか?」
「・・・その前に1つ言っておくわ。
 私の計画は誰にも言ってはいけない、いい?」
「は、はい」

アメリアが顔を近づける。
美人だが、艶やかな肌から威光を感じる。
相手が相手に無駄口を言わず、大人しく従う事にした。

「よし、まずはこれを見なさい」
「!?」

モニター画面に3機の機体が表示された。
普通のタイプとは違って大きさが桁違いだ。

「大きい・・・」
「体長50mのライオットギアよ。
 今は地下施設で製造中なの。コードネームはそれぞれ
 アルビオン、ゴライアス、リトーと名付けている」
(地下施設・・・)

ここで秘匿ひとくされていたトウキョウの地下が明かされる。
No3は超大型の機体を設計していたのだ。
こんな物を造っていたとは予想にも入れない。
しかし、引っ掛かる節もある。
安全理事局が機械の構想に取り掛かるなんて珍しい。
口に出せないけど、女性らしい機械構築にも思えなかった。
それに、狭い23区の中でこんな大きい機械を動かせるだろうか。

「この狭いエリアで、50m級の人型ロボットを・・・。
 こんな巨大なライオットギアを本当に操縦できるんですか?」
「防御に特化したタイプだから、機敏には動けない。
 まさにトウキョウの盾となる者達よ」

副司令の話では都心エリア3方にそれぞれこれらのライオットギアを
配置して防衛する計画を立てていた。
が、内容の核心に近づいていない。
それでも持て余すあまりの大きさに疑問を投げかける。

「これだけ大きければ、エネルギーコストも多く
 移動も色々と問題がありそうですが、どうやって稼働するんですか?」
「こっちの部屋までついてきてくれる?」
「はい」


上層階安全理事局 特別医療室

 招かれるまま次は側にある別室に連れて行かれる。
これまた高級そうな装置、器具が置かれていた。
そういえば、病院は衛生兵もとい、安全理事局が管理していた。
それがどうして巨大ライオットギアと結びつくのかサッパリ。
見た感じは病室でそっと覗いてみると、中に誰かがいるようだ。

「あの子達は・・・?」

中にはベッドが3つあり、それぞれ3人の少女達が寝ている。
着ているシャツの隙間と顔を見たボクは啞然あぜんとした。

「し・・・白い」
「アルビノよ、彼女達は肌の色素が薄い病にかかってるの」

3人ともアルビノにかかっていた子達だった。
虹彩は赤く、肌が透き通る様な白さでまるで同じ人間には見えないくらいだ。
副司令は彼女らが今回の作戦のかなめだと言う。
この子達と大型機にどんな接点があるのか。

「もしかして、あの子らがパイロットで?」
「そうよ、トウキョウ各エリアから輩出したの。
 アルビノはメラニン色素が少なく紫外線には弱い性質があるけど、
 その抵抗力の低さが功をなして全身の器質的反応が高く、
 AUROの伝達力に優れているのが分かったのよ」
「では、海水の塩分は関係なく皮膚の塩分だったんですか?」
「正確には皮膚の内部に含むスフィンゴイド塩基が
 AUROとの相性が高い効果が判明したの。
 塩基の影響下にある脂質が薄いアルビノこそ、
 柔軟に巨人を動かすカギになるの」
「3体は全部無線操作だから通電力の高い皮膚の薄い人を。
 海水融解の原理と同じ様にアルビノの原理で
 スムーズに巨人を動かそうと画策したんですね」
「そういうこと、やはりあんたは見聞きある子ね」

遠隔操作ならではの時差ラグ減らしに扱うようだ。
皮膚伝導による無線操作をスムーズに起こすために
アルビノの性質で動かさせる仕組みだと言う。
巨大ライオットギアは彼女達の力を使って防衛プランを立てたのだ。
医療班を介した機体製造の元は彼女達の都合。
貴婦人による理不尽な仕打ちはとりあえず逃れたようで、
ボクを彼女達に挨拶させようと、部屋に入れさせてもらう。
副司令は彼女達に呼びかけた。

「今度からあなた達の世話をしてくれる人を紹介するわ。
 ヒデキっていうの」
 (世話役なんて聞いてなかったんだけど・・・)
「こんにちは・・・」

見た感じ、13~15歳くらいの子だ。
あまりトウキョウ兵にも思えない、市民街から連れて来たのか。
それぞれ名前を聞いてみた。

「コトミ・・・」
「ノエルです」
「ロールっていうの」
「ボクはヒデキ・ボーヴォワール。軍備計画局の若きホープさ!」
「・・・・・・」

返事がない、ただのギャグ滑りのようだ。
アルファベット交じりが良くなかったのか、こっちの反応も止まりかけ。
まさか、相当なかっぺヒストペディア調方面から連れてきたのか。
アメリアが絶妙なタイミングで3人に返した。

「ちょっと変わった子だけど、とても素晴らしい発想をもつ子なの。
 みんなのために素晴らしい貢献をしてくれるわよ、仲良くしてね」
「分かりました」

冗談というコミュニケーションは通じず、ろくな会話もできない。
掛け合いのサポートもNoの実力の内かもしれないが、
今回は彼女に助けられた。
自己紹介も浅めに終えて2人は部屋を後にする。


ウィーン

「話を戻すけど、起動まで少し時間がかかるわ。
 ボディを動かすにはAUROエンジンV型と
 神経路の調整も完成させなければならない。
 AIもPDと比べてリスクが大きいから試験運用ができないわ」
「暴走したら、一気にトウキョウが壊滅するからですね」
「そう、これは人入りで起動させた方が安定するのよ。
 有人で動かす無線型、私は新しい構想に着手したい」

 人と情報を融合化するトウキョウならではの仕様だ。
確かに、肉体の強くない者でも機械の身体を増やせば難を逃れやすくなる。
狭い区画ならより安全性が高い。
プロジェクトの内容はよく理解できた。
侵攻ではなく、防衛のためなら低リスクで下層兵に守られつつ
彼女達に大きな負担をかけさせないだろう。
万が一が起ころうと、ボクらが出れば無事に済むはず。
みすみすとトウキョウの中心地に入ってこれるCNなんてあるはずがない。

「だから、アンタをこの件のプロジェクトチームに入れようとするわけ。
 今日は説明はこれまでだけど、概要は良い?」
「内容は分かりました、彼女達のサポート役として貢献する努力をします」
「最初に言った通り、この件は他言無用。
 今いる部署の者にすら話さないでちょうだい」
「ええっ、それじゃあ今いる部署はどうするんですか?」
「今はまだそっちにいても良いけど、1ヶ月後には人事異動届けを出すから、
 その後はこっちの部署に来てもらう、いいわね?」

また彼女に顔を近づけられた。
超絶武闘派(予測)の彼女の要請を断ることができなかった。
ボクは承諾しょうだくの言葉を口にしてしまう。

「しょ、承知しました・・・」

人事異動、それは自身が部屋から部屋に移る事。
つまり、トーマスチームから脱退しなければならない事を意味する。
18歳で上層部の一員に加われるのは異例の出世だが、
もうあの人の所属には戻れなくなるのか。
胸の中には期待とむなしさが同時に巡りだしていた。
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