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3章 東西都市国家大戦編
第24話 紫電絢爛
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オオサカCN 天玉寺エリア
オオサカ兵達が東側に向けて横一列で待機。
舞䢮を両手に構え、敵性の銃弾を交わす準備に敵を待ち構えて静止。
女兵は木造建築屋根から飛燕の狙撃態勢、または介護のためにと
交戦を受け入れる用意を整えていた。
「東モンはほぼ銃器、鉄砲でいわしにくる!
人の壁を以って場違いを物申したれ!」
「はっ!!」
現場はギンジが統括して陣頭指揮。
一列も乱れなく並んだ配置は全て鉄の塊に備えてのため。
やっている事はいつもの術。
向こうも斬新な発想で攻撃してこないならば金属弾は横へ流し、
接近へもち込ませるのは変わりない。
近江の防衛はこうして長年の時を凌いできた。
今いるのは第1~30部隊の面々、強豪の者ばかりが集う人柱に
ミツルギとシンヤもここで敵が来るのを待っていた。
サイリンクでこれから始まる舞踏に心境を語り合う。
「「しかし、残念だったな。得意先がここで奮えずに
近江の壁として出戻りする思いをしてしまうとは」」
「「いえ、構わないっす。俺の武技よりも陣形がなによりなんで。
奴らもここまで数集めてくるなんて思ってなかったすし」」
「「いや、俺も同感だ。生きている内にこうなるとは思っていなかったな。
話に聞いていた50年大戦に匹敵する程だと」」
さすがの2人もこんな数を相手に戦うのは初めてで、
単独の腕前だけで敵うわけもない状況に胆も揺らぎがちになる。
常人なら身体を貫く塊が目前に飛んでくる現場に畏怖するもの。
技術だけでなく精神も鍛え上げられた者のみがここに立てる。
今回はシンヤも舞䢮を用いる。
槍が得意といえど、今日ばかりは陣形の都合許されずに弾掃けを優先。
おそらくこれより膨大な金属塊が向けられてくるはずで、
関東のあらゆるCNが関西に来る規模が物語っているからだ。
ただ、侵攻ルートも不審点がある。
シガCN東部はアイチCNもあり、膨大な人型機械を所有して
東勢力を相当削れるはず。
にもかかわらずこの区域に数を集めているならば、
危険と判断したCNを回避してどこかで迂回した線も一考した。
ミツルギが全部隊配置完了の報告を受けて伝える。
少なくとも前方に見えた軍勢は500を上回る数、
かつてない演舞披露は刀より青白く輝いて開始した。
「構え・・・始めッ!」
ズダダダダダダダダダ ヒュンッ ヒュンッ
オオサカ兵達が刀を上半身からふらつかせて舞う。
飛び道具を放てば勝てるなんていう安直さを許すわけにはいかず、
確固たる近江の枠を思い知らせてこの地に踏み入ったのを後悔させる。
正面より目前に塊が迫るが、怖くて閉じるのは許されず。
古来文化を分からせるために雷刀を披露。
「お約束やのお、俺らに豆鉄砲なんぞ効かんわ!」
「古くより練られた雷獄、ジックリと味わわせたる!」
肉眼で捉えきれない波動で金属塊の波を分ける。
事前情報通り、単純な規格をそのまま使用しているのが理解。
近江にとって脅威だったアイチがこちらに入ってきたおかげで、
あの超連射機銃から逃れる事はできた。
しかし、関東も関西の電磁技術を知りえていると推測してきたが、
相変わらず金属弾を放つ術は変わっていない。
「「敵、北東から6接近!」」
「「向き変更、陣形斜めに変えて板へ流せ!」」
後ろの建造物壁に防護柵を貼り付けて銃弾から守る。
だが、手段はいつまでも単調に進まず。
後陣は閉所から侵入する敵を対処しに移動開始。
次は右からもやって来る。
青白い雷が飛び散る関西の壁をなかなか越えられない間、
しびれを切らした関東軍が近接武器に持ち替えて近づく。
走りながら鈍器を上から武器を奮いかぶるも。
スウッ ドスッ
「んごぉぉ!?」
腰を据えて脇腹から刀を後ろに相手の背後へ回り、背中を突く。
当て身技で隙なく受け流して地に伏せた。
もう1人が片手で刃をブラつかせる、引っ掛けのつもりか
こちらに対して何の揺動にもなっていない。
右足を踏み込ませて手首をはたいて胴を刻んだ。
スパァン ズバッ
「ごるぉびゅうううおあぁ!?」
わずか3秒の出来事の後、ある方角に敵のいない場所が生じる。
ミツルギが隊員に流入できる場所を伝えた。
「「真東、わずかに隙あり」」
「「ワシがゆく」」
そこからギンジ隊長が複数いる箇所へ食い入る。
通常なら危険行為のはずが、策無しにそんな事をする人じゃない。
制圧、安全経路を築くのはいつもこの人が率先。
両手で鞘と柄をつかみ、接近したと同時に刀を引き抜いた。
ビリビリビリィィ
「あごごごぶるぶるぶるじゅあおほほりぃ!?」
摩擦放電で敵を感電させ、一気に5人倒した。
俗に言う居合切りというが、刃で斬ったのではなく引き抜きによる
放電を当てて感覚神経をまるごと抑えるように仕留めた。
ギンジ隊長の技はここでも発揮、ミツルギとシンヤも光景に驚く。
(いつもより色が濃い?)
(規格は俺達と同じ刀のはずだが・・・さらに練ったのか)
通常、刃部分には電磁波はまとうものの電流電圧を帯びていない。
舞䢮の鞘は蓄電する機能が備わる仕組みで抜いた瞬間のみ発生、
軍服は静電気除去の繊維で感電しないよう作られて、
引き抜き方は初歩として教えられている。
ただ、手練れにとっては基本から奥義へ変えられる程の技にできる者も
歴代において多くなくもいるにはいると推測。
(人と金属の鍛錬の一端がこうやって表れているのか、または)
ミツルギはオオサカの電磁技術を細かく教わってきても、
電気の色などまったく関連しない。個人的見解で口には出せないものの、
電位差を発生するあたり剣がそれなりの速さで変化したのかもしれず。
青い雷がさらに濃く見えた感じがしたが、理解できず。
追求者の1人である隊長も、かつてキンイチ司令と共に切磋琢磨した
経験が影から観えているような気がする。
業に雷が応えたのか、同じ部隊の目からしてもつい敵から離しそうになる。
「「4班、討伐完了」」
「「31班、任務完遂せり」」
数分後、付近の敵は近江の雷にまみれて全て静まる。
現在、ここ周囲の敵数は見なくなり味方も大きく損害を出さずに治めた。
相も変わらず塊を飛ばして不足すれば体当たりするのみで、
戦闘パターンも単調になりがちだ。攻撃というものは物理的な事象。
痛めつけて圧制する行為も一時対策されればあっけなく終わる。
強さとは存命のためといえど、知能なくして長くもたない様に
愚かさも垣間見える気もする。
もう地上にはいない、油断せずに舞䢮を手前に構えていた時。
ヒュンッ グサッ
「あおぉぉ!?」
「敵襲ゥ!!」
突然、細長い物体が飛んできてメンバーの腕に刺さる。
小さな弾丸と違う物がこちらに飛来してきた。
「ガラス質の矢を飛ばしている模様!」
「なんやと!?」
つい、サイリンクでなく声を上げて伝えだす。
黒く細長い物が弾のようだ。
親指と人差し指でつまみ、スベスベとした感触で金属と異なる
性質だとすぐに判断した。
関東軍はこちらの特徴を調べて戦法を変えてくる。
やはり、きちんと対策を講じていたようで電磁波でも曲げられずに
舞䢮の弾掃けは通用しそうにないだろう。
「「各隊に告ぐ、すぐに付近の建物へ身を隠せい!」」
電磁波妨害が効かないと判断したオオサカ兵達はすぐさま列を解散。
散開陣形に変えて障害物籠城戦へ変更した。
木造住宅が多くある場所の中、ミツルギとシンヤは共に行動。
他の者と離れて潜めている。ギンジ隊長も1人にさせろと言って
同行しようとしなかった。サイリンクも100m以上まではとどかずに、
相当な距離を開けてどこかで行動しているようだ。
「「隊長はまた単独で?」」
「「敵影反応があったらしい区画まで進むと。
文字通りの無鉄砲さもここまでくれば心臓に悪いくらいだ。
いつも積極的に前線まで・・・お前は大丈夫か?」」
「「まだまだ十分やれて、こうなる事くらい予測済みっす。
やっぱ俺達はこうやって屋内にいるのがお似合いっすよ。
そうだ、次は槍に代えさせてもらうっす」」
「「良いぞ」」
たった1人で侵入を食い止めるようと無茶ぶりも痛すぎだ。
だが、隊長命令は絶対。
あえて自ら危険をさらして部下達をこうして背後に潜ませた。
シンヤはここでようやく得意とする持前の槍に変更。
今度は隠密戦となり、2階建てのここでしばらく凌ごうと決めた。
「奴らはここら辺にもいるはずだ、探せ!」
「了解!」
相手は3人、しらみつぶしで探索しに入ってきたのか市街戦らしく
かなり広範囲に散らせて探しているようだ。
接近戦において圧倒的に分があるのは素早い者。
射程の短い差であろうと、刃線として1~2mの世界では閃光の如く。
すぐに上まで上がってくるだろう、だからとはいえ階段で戦うには危険。
よって、2階の縁側から飛び降りて縦斬り。
移動と攻撃を同時に起こす動きの方が効率が良いからだ。
ドスッ ズバッ
まずは2人片付ける、音も出さずに降りて斬る。
同様に相手はボウガンを所持してそちらを先に対処しておく。
まだ銃器を扱う者がいるが、オオサカ者にとっては不安がる事もなし。
「この野――!!」
「遅い」
バシュッ ヒュンッ ズバッ
そして、残り1人は自身がやる。
電磁波を一瞬だけ放出して銃弾を逸らし斬り、シンヤは流れ弾が当たらない
背後へ回って伏せる。不意の遭遇戦はこうして行うのにこなれていた。
「「ミツルギさん、さらに1人」」
「「室内に戻るぞ」」
だが、まだ外には出られない。すでに敵は近隣を囲い始めて粗探しに
こちらの様に隠れる者を見つけて言い換えて家探ししようとするはず。
廊下から声がする、音で近江の者ではないとすぐに察知。
ドスッ
「「デウォォチ!?」」
角を曲がった瞬間を捉えて一突き、もう1人は自身の舞䢮で難なく対処。
直線的通路では槍の方が速く、まず避けられる者はいない。
奇襲程楽な相手などほぼいないくらいだ。
斬りと突きと打撃、これらの組み合わせは他を逸する武力であり、
閉所こそ身体を活かす最高の技術である。
「「再合流する、戻れや」」
「「はい!」」
ギンジ隊長から通信がくる、無事が確認できて安心さが湧く。
クリアリングが確保できたのか、また外に出る。
戦闘音もほとんど聴こえなくなり、気配に頼っても人がいないようで
白兵戦も終わりに近づいたと思う。これで関東勢力は諦めたのか?
抜けそうになる気を戻しつつ周囲を改めて見直す。
もう対処が完遂したのかと思った途端、離れた場所から再び砲撃音がした。
ドゴォン グシグシグシ
600m先の建物が破壊される。
障害物をものともせず荒らしまわる戦車が目前に現れた。
まだ隠し玉を用意していたのか、隊長も読めていなかったらしい。
これは舞䢮でも掃ききれず、避けられる保証もない。
「大型機体か・・・」
「下がれや、ワシがやる」
隊長が直に大砲を所有する機械を相手にするという。
今までこんな物を挑んだ事がない。
引き際に立たされるオオサカ兵の中、どうするのか安否をうかがう。
結果は続きの通り、近江の真髄が垣間見るものとなる。
ドゴォン スパッ
砲弾を真っ二つにする。
直撃もせず、中の火薬も破裂せずに地面へ飛び散った。
「「マジかいな・・・」」
「「次元が違うで・・・」」
観ていた同胞達も顔が引きつりかける。
人など一撃で吹き飛ぶ塊を鋭利な物で切断。
不可能と思われた大型にたった1人で分解する様に、常識を覆される。
次の発射までに数秒かかるものの、迅速の刃の前には無意味。
続けて、筆頭の剣技は鋼鉄の筒にまでとどく。
「シェアアッ!」
スパッッ
ギンジは砲台もろとも斬り伏せた。
単なる腕力や膂力でもない撫でる行為が極限状態に高められた成果、
1本の線を再現するための一閃を披露。
根本付近まで落とせたか、これで弾もろくに撃ち出せないだろう。
まだ終わりではなく、対処しろと指示した。
「「漸萬隊、前進せいッ!!」」
「はいやああアアアァ!!」
後は大型機処理班の仕事。
筐体は分厚く列断できずとも履帯を壊せば動けなくなる。
男兵による1つの戦況で勝敗、世の行く末が決まっていった。
女兵も戦況の鎮静に安心を見せ始める。
「「あの人、ヤバすぎ」」
屋根の上から一部始終を観ていたヤエと分隊が戦慄する。
女だったら惚れ・・・いや、女だけど中年好きにはなれないまでも、
味方で良かったなと大和気概を撫で下した。
そんな事を思ってるヒマなんてなく、常に3歩下がる者らしく
女年長者の指示通りに縁の下の介護要員を実行。
戦闘終了と判断すれば怪我人の手当てに移る。
性別とは無情なまでに役目を分けられる要素なのか。
そうでない女分隊は撤退するよう指示を受ける。
「「飛燕隊、規定通り現場から下がって下さい!」」
「したしたー!」
こんな状況でも明るく、妙な応答で返す。
戦場であろうと愛嬌が哀愁に負けてはしみったれるだけ。
同僚分隊も通信がきて聞くまでもない感想を耳にする。
「「ヤエー、生きてんの!?」」
「当たり前でしょ! そっちこそどうなのよ!?」
「「なんとか、あたしのスピードバンデージサポート(?)で
男を華麗に癒してあげた。
でも、いきなり黒いのがやってきて乱戦になっちゃって」」
「サイレンス、黒兵が?」
「「そう、唐傘かぶった動物の所から飛び出してきたとか。
周りはちゃんと哨戒してていなかったはずなのに」」
「どうせ、また途中で見守りサボったんでしょ。どこから――?」
ピピッ
「ちょっと待って、また連絡きた。こちら第10・・・どうしたの?」
「「七尾エリアにも敵兵侵入した模様!
およそ300、配置の数では不足だと」」
別地域ではまだ敵がいるようだ。
しかし、相手するには少し人数が足りないとの事。
山間から一斉に飛び出してきたらしく、付近の駐屯地も一部制圧されて
近江の端に穴を開けだしたという。
いつもの2人を呼ぼうにもここにはいない。
そこへ、1人の大型が名乗り出て移動すると言い出す。
「ワシが行ったるわ、不利こそ実力を発揮できる機会。
近江の金剛たる真髄を見せにいこうかの」
「リキ・・・頼む!」
他数十人も援護しに向かってゆく。
この場にいる者全てが他区域に行けない、まだ潜んでいる危険もあり
任されたからには終わりまで見張る必要があるのだ。
後は隠れた敵がいないか哨戒をして今日を修める。
何はともあれ敵影の数も次々と消失。
ギンジも山の向こう側奥を眺めて舞䢮を手前に立て仁王立ち。
手応えは歴戦において中々の戦況。
これで関東も懲りただろうと地元に足を踏み直していた時、
部下の1人からまた何かが起きたと連絡がとどいた。
「「隊長、報告が・・・」」
「何や?」
「「敵影反応、さらに増加・・・約2000もの数がここに」」
「「二千・・・」」
今、戦っていたのは前哨戦。
関東はまだ多大な分を残し、脚で戦場を満たせそうにない
小手先な前触れにすぎなかった。
オオサカ兵達が東側に向けて横一列で待機。
舞䢮を両手に構え、敵性の銃弾を交わす準備に敵を待ち構えて静止。
女兵は木造建築屋根から飛燕の狙撃態勢、または介護のためにと
交戦を受け入れる用意を整えていた。
「東モンはほぼ銃器、鉄砲でいわしにくる!
人の壁を以って場違いを物申したれ!」
「はっ!!」
現場はギンジが統括して陣頭指揮。
一列も乱れなく並んだ配置は全て鉄の塊に備えてのため。
やっている事はいつもの術。
向こうも斬新な発想で攻撃してこないならば金属弾は横へ流し、
接近へもち込ませるのは変わりない。
近江の防衛はこうして長年の時を凌いできた。
今いるのは第1~30部隊の面々、強豪の者ばかりが集う人柱に
ミツルギとシンヤもここで敵が来るのを待っていた。
サイリンクでこれから始まる舞踏に心境を語り合う。
「「しかし、残念だったな。得意先がここで奮えずに
近江の壁として出戻りする思いをしてしまうとは」」
「「いえ、構わないっす。俺の武技よりも陣形がなによりなんで。
奴らもここまで数集めてくるなんて思ってなかったすし」」
「「いや、俺も同感だ。生きている内にこうなるとは思っていなかったな。
話に聞いていた50年大戦に匹敵する程だと」」
さすがの2人もこんな数を相手に戦うのは初めてで、
単独の腕前だけで敵うわけもない状況に胆も揺らぎがちになる。
常人なら身体を貫く塊が目前に飛んでくる現場に畏怖するもの。
技術だけでなく精神も鍛え上げられた者のみがここに立てる。
今回はシンヤも舞䢮を用いる。
槍が得意といえど、今日ばかりは陣形の都合許されずに弾掃けを優先。
おそらくこれより膨大な金属塊が向けられてくるはずで、
関東のあらゆるCNが関西に来る規模が物語っているからだ。
ただ、侵攻ルートも不審点がある。
シガCN東部はアイチCNもあり、膨大な人型機械を所有して
東勢力を相当削れるはず。
にもかかわらずこの区域に数を集めているならば、
危険と判断したCNを回避してどこかで迂回した線も一考した。
ミツルギが全部隊配置完了の報告を受けて伝える。
少なくとも前方に見えた軍勢は500を上回る数、
かつてない演舞披露は刀より青白く輝いて開始した。
「構え・・・始めッ!」
ズダダダダダダダダダ ヒュンッ ヒュンッ
オオサカ兵達が刀を上半身からふらつかせて舞う。
飛び道具を放てば勝てるなんていう安直さを許すわけにはいかず、
確固たる近江の枠を思い知らせてこの地に踏み入ったのを後悔させる。
正面より目前に塊が迫るが、怖くて閉じるのは許されず。
古来文化を分からせるために雷刀を披露。
「お約束やのお、俺らに豆鉄砲なんぞ効かんわ!」
「古くより練られた雷獄、ジックリと味わわせたる!」
肉眼で捉えきれない波動で金属塊の波を分ける。
事前情報通り、単純な規格をそのまま使用しているのが理解。
近江にとって脅威だったアイチがこちらに入ってきたおかげで、
あの超連射機銃から逃れる事はできた。
しかし、関東も関西の電磁技術を知りえていると推測してきたが、
相変わらず金属弾を放つ術は変わっていない。
「「敵、北東から6接近!」」
「「向き変更、陣形斜めに変えて板へ流せ!」」
後ろの建造物壁に防護柵を貼り付けて銃弾から守る。
だが、手段はいつまでも単調に進まず。
後陣は閉所から侵入する敵を対処しに移動開始。
次は右からもやって来る。
青白い雷が飛び散る関西の壁をなかなか越えられない間、
しびれを切らした関東軍が近接武器に持ち替えて近づく。
走りながら鈍器を上から武器を奮いかぶるも。
スウッ ドスッ
「んごぉぉ!?」
腰を据えて脇腹から刀を後ろに相手の背後へ回り、背中を突く。
当て身技で隙なく受け流して地に伏せた。
もう1人が片手で刃をブラつかせる、引っ掛けのつもりか
こちらに対して何の揺動にもなっていない。
右足を踏み込ませて手首をはたいて胴を刻んだ。
スパァン ズバッ
「ごるぉびゅうううおあぁ!?」
わずか3秒の出来事の後、ある方角に敵のいない場所が生じる。
ミツルギが隊員に流入できる場所を伝えた。
「「真東、わずかに隙あり」」
「「ワシがゆく」」
そこからギンジ隊長が複数いる箇所へ食い入る。
通常なら危険行為のはずが、策無しにそんな事をする人じゃない。
制圧、安全経路を築くのはいつもこの人が率先。
両手で鞘と柄をつかみ、接近したと同時に刀を引き抜いた。
ビリビリビリィィ
「あごごごぶるぶるぶるじゅあおほほりぃ!?」
摩擦放電で敵を感電させ、一気に5人倒した。
俗に言う居合切りというが、刃で斬ったのではなく引き抜きによる
放電を当てて感覚神経をまるごと抑えるように仕留めた。
ギンジ隊長の技はここでも発揮、ミツルギとシンヤも光景に驚く。
(いつもより色が濃い?)
(規格は俺達と同じ刀のはずだが・・・さらに練ったのか)
通常、刃部分には電磁波はまとうものの電流電圧を帯びていない。
舞䢮の鞘は蓄電する機能が備わる仕組みで抜いた瞬間のみ発生、
軍服は静電気除去の繊維で感電しないよう作られて、
引き抜き方は初歩として教えられている。
ただ、手練れにとっては基本から奥義へ変えられる程の技にできる者も
歴代において多くなくもいるにはいると推測。
(人と金属の鍛錬の一端がこうやって表れているのか、または)
ミツルギはオオサカの電磁技術を細かく教わってきても、
電気の色などまったく関連しない。個人的見解で口には出せないものの、
電位差を発生するあたり剣がそれなりの速さで変化したのかもしれず。
青い雷がさらに濃く見えた感じがしたが、理解できず。
追求者の1人である隊長も、かつてキンイチ司令と共に切磋琢磨した
経験が影から観えているような気がする。
業に雷が応えたのか、同じ部隊の目からしてもつい敵から離しそうになる。
「「4班、討伐完了」」
「「31班、任務完遂せり」」
数分後、付近の敵は近江の雷にまみれて全て静まる。
現在、ここ周囲の敵数は見なくなり味方も大きく損害を出さずに治めた。
相も変わらず塊を飛ばして不足すれば体当たりするのみで、
戦闘パターンも単調になりがちだ。攻撃というものは物理的な事象。
痛めつけて圧制する行為も一時対策されればあっけなく終わる。
強さとは存命のためといえど、知能なくして長くもたない様に
愚かさも垣間見える気もする。
もう地上にはいない、油断せずに舞䢮を手前に構えていた時。
ヒュンッ グサッ
「あおぉぉ!?」
「敵襲ゥ!!」
突然、細長い物体が飛んできてメンバーの腕に刺さる。
小さな弾丸と違う物がこちらに飛来してきた。
「ガラス質の矢を飛ばしている模様!」
「なんやと!?」
つい、サイリンクでなく声を上げて伝えだす。
黒く細長い物が弾のようだ。
親指と人差し指でつまみ、スベスベとした感触で金属と異なる
性質だとすぐに判断した。
関東軍はこちらの特徴を調べて戦法を変えてくる。
やはり、きちんと対策を講じていたようで電磁波でも曲げられずに
舞䢮の弾掃けは通用しそうにないだろう。
「「各隊に告ぐ、すぐに付近の建物へ身を隠せい!」」
電磁波妨害が効かないと判断したオオサカ兵達はすぐさま列を解散。
散開陣形に変えて障害物籠城戦へ変更した。
木造住宅が多くある場所の中、ミツルギとシンヤは共に行動。
他の者と離れて潜めている。ギンジ隊長も1人にさせろと言って
同行しようとしなかった。サイリンクも100m以上まではとどかずに、
相当な距離を開けてどこかで行動しているようだ。
「「隊長はまた単独で?」」
「「敵影反応があったらしい区画まで進むと。
文字通りの無鉄砲さもここまでくれば心臓に悪いくらいだ。
いつも積極的に前線まで・・・お前は大丈夫か?」」
「「まだまだ十分やれて、こうなる事くらい予測済みっす。
やっぱ俺達はこうやって屋内にいるのがお似合いっすよ。
そうだ、次は槍に代えさせてもらうっす」」
「「良いぞ」」
たった1人で侵入を食い止めるようと無茶ぶりも痛すぎだ。
だが、隊長命令は絶対。
あえて自ら危険をさらして部下達をこうして背後に潜ませた。
シンヤはここでようやく得意とする持前の槍に変更。
今度は隠密戦となり、2階建てのここでしばらく凌ごうと決めた。
「奴らはここら辺にもいるはずだ、探せ!」
「了解!」
相手は3人、しらみつぶしで探索しに入ってきたのか市街戦らしく
かなり広範囲に散らせて探しているようだ。
接近戦において圧倒的に分があるのは素早い者。
射程の短い差であろうと、刃線として1~2mの世界では閃光の如く。
すぐに上まで上がってくるだろう、だからとはいえ階段で戦うには危険。
よって、2階の縁側から飛び降りて縦斬り。
移動と攻撃を同時に起こす動きの方が効率が良いからだ。
ドスッ ズバッ
まずは2人片付ける、音も出さずに降りて斬る。
同様に相手はボウガンを所持してそちらを先に対処しておく。
まだ銃器を扱う者がいるが、オオサカ者にとっては不安がる事もなし。
「この野――!!」
「遅い」
バシュッ ヒュンッ ズバッ
そして、残り1人は自身がやる。
電磁波を一瞬だけ放出して銃弾を逸らし斬り、シンヤは流れ弾が当たらない
背後へ回って伏せる。不意の遭遇戦はこうして行うのにこなれていた。
「「ミツルギさん、さらに1人」」
「「室内に戻るぞ」」
だが、まだ外には出られない。すでに敵は近隣を囲い始めて粗探しに
こちらの様に隠れる者を見つけて言い換えて家探ししようとするはず。
廊下から声がする、音で近江の者ではないとすぐに察知。
ドスッ
「「デウォォチ!?」」
角を曲がった瞬間を捉えて一突き、もう1人は自身の舞䢮で難なく対処。
直線的通路では槍の方が速く、まず避けられる者はいない。
奇襲程楽な相手などほぼいないくらいだ。
斬りと突きと打撃、これらの組み合わせは他を逸する武力であり、
閉所こそ身体を活かす最高の技術である。
「「再合流する、戻れや」」
「「はい!」」
ギンジ隊長から通信がくる、無事が確認できて安心さが湧く。
クリアリングが確保できたのか、また外に出る。
戦闘音もほとんど聴こえなくなり、気配に頼っても人がいないようで
白兵戦も終わりに近づいたと思う。これで関東勢力は諦めたのか?
抜けそうになる気を戻しつつ周囲を改めて見直す。
もう対処が完遂したのかと思った途端、離れた場所から再び砲撃音がした。
ドゴォン グシグシグシ
600m先の建物が破壊される。
障害物をものともせず荒らしまわる戦車が目前に現れた。
まだ隠し玉を用意していたのか、隊長も読めていなかったらしい。
これは舞䢮でも掃ききれず、避けられる保証もない。
「大型機体か・・・」
「下がれや、ワシがやる」
隊長が直に大砲を所有する機械を相手にするという。
今までこんな物を挑んだ事がない。
引き際に立たされるオオサカ兵の中、どうするのか安否をうかがう。
結果は続きの通り、近江の真髄が垣間見るものとなる。
ドゴォン スパッ
砲弾を真っ二つにする。
直撃もせず、中の火薬も破裂せずに地面へ飛び散った。
「「マジかいな・・・」」
「「次元が違うで・・・」」
観ていた同胞達も顔が引きつりかける。
人など一撃で吹き飛ぶ塊を鋭利な物で切断。
不可能と思われた大型にたった1人で分解する様に、常識を覆される。
次の発射までに数秒かかるものの、迅速の刃の前には無意味。
続けて、筆頭の剣技は鋼鉄の筒にまでとどく。
「シェアアッ!」
スパッッ
ギンジは砲台もろとも斬り伏せた。
単なる腕力や膂力でもない撫でる行為が極限状態に高められた成果、
1本の線を再現するための一閃を披露。
根本付近まで落とせたか、これで弾もろくに撃ち出せないだろう。
まだ終わりではなく、対処しろと指示した。
「「漸萬隊、前進せいッ!!」」
「はいやああアアアァ!!」
後は大型機処理班の仕事。
筐体は分厚く列断できずとも履帯を壊せば動けなくなる。
男兵による1つの戦況で勝敗、世の行く末が決まっていった。
女兵も戦況の鎮静に安心を見せ始める。
「「あの人、ヤバすぎ」」
屋根の上から一部始終を観ていたヤエと分隊が戦慄する。
女だったら惚れ・・・いや、女だけど中年好きにはなれないまでも、
味方で良かったなと大和気概を撫で下した。
そんな事を思ってるヒマなんてなく、常に3歩下がる者らしく
女年長者の指示通りに縁の下の介護要員を実行。
戦闘終了と判断すれば怪我人の手当てに移る。
性別とは無情なまでに役目を分けられる要素なのか。
そうでない女分隊は撤退するよう指示を受ける。
「「飛燕隊、規定通り現場から下がって下さい!」」
「したしたー!」
こんな状況でも明るく、妙な応答で返す。
戦場であろうと愛嬌が哀愁に負けてはしみったれるだけ。
同僚分隊も通信がきて聞くまでもない感想を耳にする。
「「ヤエー、生きてんの!?」」
「当たり前でしょ! そっちこそどうなのよ!?」
「「なんとか、あたしのスピードバンデージサポート(?)で
男を華麗に癒してあげた。
でも、いきなり黒いのがやってきて乱戦になっちゃって」」
「サイレンス、黒兵が?」
「「そう、唐傘かぶった動物の所から飛び出してきたとか。
周りはちゃんと哨戒してていなかったはずなのに」」
「どうせ、また途中で見守りサボったんでしょ。どこから――?」
ピピッ
「ちょっと待って、また連絡きた。こちら第10・・・どうしたの?」
「「七尾エリアにも敵兵侵入した模様!
およそ300、配置の数では不足だと」」
別地域ではまだ敵がいるようだ。
しかし、相手するには少し人数が足りないとの事。
山間から一斉に飛び出してきたらしく、付近の駐屯地も一部制圧されて
近江の端に穴を開けだしたという。
いつもの2人を呼ぼうにもここにはいない。
そこへ、1人の大型が名乗り出て移動すると言い出す。
「ワシが行ったるわ、不利こそ実力を発揮できる機会。
近江の金剛たる真髄を見せにいこうかの」
「リキ・・・頼む!」
他数十人も援護しに向かってゆく。
この場にいる者全てが他区域に行けない、まだ潜んでいる危険もあり
任されたからには終わりまで見張る必要があるのだ。
後は隠れた敵がいないか哨戒をして今日を修める。
何はともあれ敵影の数も次々と消失。
ギンジも山の向こう側奥を眺めて舞䢮を手前に立て仁王立ち。
手応えは歴戦において中々の戦況。
これで関東も懲りただろうと地元に足を踏み直していた時、
部下の1人からまた何かが起きたと連絡がとどいた。
「「隊長、報告が・・・」」
「何や?」
「「敵影反応、さらに増加・・・約2000もの数がここに」」
「「二千・・・」」
今、戦っていたのは前哨戦。
関東はまだ多大な分を残し、脚で戦場を満たせそうにない
小手先な前触れにすぎなかった。
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