Condense Nation

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4章 ブラインド編

第14話  金の糸

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 出動への機会を巻き戻そうと新たな備品の創造を再開。
ブラインドはまだ天主殻への到着を諦めずに別口への術を求めて、
無力化への対抗策を編み出す技術を生み出そうと動き出す。
そして、呼び出した実働部隊5人が集まる。
アリシアは今後の計画をメンバー達に告げた。

「皆聞いて、新たなプランを発表する。
 今回、あなた達に高機動型の装置を別CNにおいて製造する」
「ここじゃなくて別のCN、ですか?」
「詳しくはミゾレとサップが説明する」
「場所は群馬、今でいうグンマCNのある物を利用して
 セントラルトライアドから中距離展開した陣形へ変更。
 天主殻への潜入を試みます」
「中距離とは一体――?」
「えー、エリアは関東の1つ。山林地帯で覆われているそこにある
 植物を配合して寸法を行う。
 事情により、ここで生産不可なので現地の力を借りて製造します」

エイコウの疑問をよそに次々と内容を並べる。
中距離展開の意味は天主殻現場から少し離れた位置からの侵入を試みる。
10年前の作戦で一斉に接近した原因で空間の波動検知をかけられて
反撃を受けてしまった反省を振り返り、次回から小型である人身を
どうにか瞬時に移動させる方法を模索。
つまり、機体が直に近づけられないのなら人本体を接近。
有機体まで機能停止できる事までできないから直接入る方法を案じた。
銀髪の長身男、フリードリッヒが質問。

「単身での侵入は本当に可能なのですか?」
「ええ、ゲートはEMIRで封鎖されているから無理だけど
 外壁から個人で入る可能性があると推測したの」

数十年の検索で自衛隊の盗聴情報も含めた事実による話によれば、
人間の個体への影響が少ない。戦闘機はことごとく墜落させられたが、
人体そのものに傷がなく落下死がほとんど。
アポロンを始めとした実働部隊は普通の人とは異なる。
だから、単身による突入を停止判定外から挑む他にない。
功を期したのか、他者よりも空間認識効果が見られたが、
反射神経の強化だけで攻略できる程奴らは甘くない。
可能性として本当にありえるのか、エイコウが続けて質問。

「隊員を直に現地へ接近させるのですか?
 メリット・・・まあ、理解できますがデメリットの大きさが」
「場所が場所だけに不安に思うのも無理はないわね。
 当然、万が一落下してもパラシュートがあるから大丈夫だけど、
 機体の場合はそうはいかないの」
「現地人に横領される」
「ええ、絶対に換えが利かないのは3機。
 あれらを失ったら空への移動はもう絶望的と言うしかなくなる」

まるで人が小間使こまづかいみたいな言い分なものの、理屈としては正しい。
とはいえ、直に宙に浮いて飛行などできない現状で、
話した通りに警戒されない方法は単身突入のみ。
強靭なライオットギアにつ方法を編み出す戦術はそれだけでなかった。
モブ兵の2人も自信が見られない顔をする。
あまりにもアクロバットな手段に先行きの見えない節を感じた。

「さすがに僕もそこの特殊性など範囲に入れていませんでした。
 確かにグンマは見た感じでも森に閉ざされたイメージはありましたが」
「シンプルな言い方だけど、攻略の手助けは地上の世界に散漫している。
 そうした間も目を配って助けとなる物を求める事も必要なの。
 まだ私達には可能性がある、正しき叡知えいちこそ繁栄の啓示だと
 奴らに思い知らせてやりましょう!」
「ハッ!」

いつもの示しはこうして未来感を期待させる様に述べる。
組織のTOPに限界を表すような状態などあってはならない。
正直、内心無謀ではないかと思っている。
策略や方法というものは人に伝えて理解されるまでが大変だ。
数が少ないだけあってまとめるのはまだ簡単なのか、
強引に案を押し込んだのも否定できずに規格を通す気がする。
隊員達が部屋から出て解散、私はアポロンだけ引き留めて
グンマへの同行を指示した。

「アポロン、あなたもグンマに向かうから準備して」
「ん、俺も?」

今回の作戦は息子も必要となる。
そのためにグンマを目指す理由はあるものを生み出す事だ。
話は数日前に戻る。


数日前 サドガCN 指令室

 アール・ヴォイドの隠れ拠点、サドガ島で集う一同。
ミゾレの技術で、外側からなんの変哲もない島として駐留ちゅうりゅう
周囲のCNや天主殻の目を欺き続けていたのだ。
意外な抜け穴による方法で腰を据えていた間でこなそうとも、
姿を見せないブレイントラストの対応に四苦八苦しくはっくしていた。
以前、アリシアが言いかけた件について新規格案を生み出す話。
サップ、ミゾレ、パスカルと以下の事についてである。

「今、CNって全部でいくつ分かれてんだ?」
「確認しただけでも、ここを抜かして47。
 九州、四国、中部はもう同盟を起こして枠を固めてる印象。
 案外、地方ごと綺麗にキッチリと分かれてる傾向ね」
「近畿はオオモリの婆さんがまとまる寸前だって言ってたが、
 関東と東北は意味もなくバラバラなままだな。
 東側はマイペースばっかってか」
「東北は警戒意識緩和であえてそうしてるみたい。
 関東は・・・本当によく分からないわね。ともあれ、閉ざされた事で
 改めて分かったのは縄張り意識に乗じた帰巣本能は人にもあって
 地元意識と帰属意識は接点があるのが分かるわ」
「ん、どういう事だ? 俺らの島を荒らすなってのはあるが」

東列島は海外からの移住者が珍しくもなくハーフやクォーターも
当たり前のように増えて人種の区別すら判別しにくい時代だ。
ただ、近年になっても風習や文化のこじれはいつまでも続いていたが。
そこへパスカルが妙な言い方をする。

「興味深い点もある、各地域の資源を活用して独自の兵装をする
 CNも見かけた。ガラパゴス化という言葉が思い出されるな。
 閉ざされた世界での進化には見どころあるが」
「縁起でもないこと言わないでよ。
 どこも、すき好んで戦争なんかしないでしょ?」
「大きな戦闘はまだ見られねえが、ここもいつ見つかるか気が気じゃねえな。
 俺らの個人情報、周りに知られてないよな?」
「各CNの個人情報のどこにも登録されてないはず。
 天主殻システムの根本の一部は押さえてるから、
 登録してもすぐ消せるようにできる」

天主殻は市民の住所不定を除いた戸籍情報を掌握しょうあくしている。
かつてブレイントラストのデータにハッキングをしかけた功績により、
一部のシステムに介入できるようになった。
途中でせき止められてからは、強固にプロテクトされてしまい
各CN情報も閲覧できず5人の捕縛が叶わない以上、
現場まで直接破壊しなければならなかったのだ。
今日の集まりについてはその件の話だ。
しばらくしてから、アリシアが指令室に入ってくる。
待機するメンバー達に新たな策を伝えだした。

「例の物、移植に取り掛かるわ」
「あんたの旦那が作ってたモンか?」

彼女は肯定ながらも小さく否定する。
パスカルのある技術を会長に提示して実現性が見込める段階に達して、
サップの一声でようやく今回実行に移そうとし始めた。
しかし、用いる物がモノだけに常識ある者には顔が青ざめるだろう。
ダニエルの意志で生み出されたものを消えさせようとしなかった。

「金の砂はあの人の技術、簡単には終わらせない。
 そう、形はいくらでも変えられる。別の道を辿ろうとも、
 人より繋ぐ糸はどこからでも手繰り寄せるものだから」

言葉の意味はまだほとんど理解されないだろう。
天にも昇り、どんな存在でもつかむそれは空位を優先させる。
アール・ヴォイドの頭脳(サップは除く)を結集、
ある1つの製造物の研究をチームで開発していた。
ただ、どうしてもAUROで生成できない物を応用する必要もあり、
グンマの一角で展開しようと画策する。
現地人になりすまし、技術の一部を提供するまでしなければならない事。
漏えい防止するはずの彼女がそれを決断したのも無理はない。

(時間も刻々として流れている。
 もう悠長に計画ばかり検討していられるわけにもいかない)

アリシアは内心焦りを見せ始めていた。
ブレイントラストとの攻防から20年もかかってしまい、
ブラインドは準備に時間をかけすぎている。
金の砂はダニエル主導で行ってきた研究ゆえに、
アリシアでは成果がこなせずにいつまでも膠着こうちゃくが続いていた。
何であれ、これを利用活用しなければ打開などできはしない。
メンバーと幾度も会議、相談を行っていたのだ。

「現段階の性質のみで、何か作れないかと?」
「ええ、戦略的優位性がみられるものならば何でも良いの」

パスカルと共同計画していたものを画像で映し出された。
金の砂、自由電子を文字通りに操作する技術だ。
壁とも膜ともいえぬ、形無きにしも非ず言い様にない存在が
自由自在に変形できるのである。
寝そべりながらそれを見ているサップ。

「金の砂って、伸び縮みしてるな」
「見たまんまじゃない、また変な事思ってるでしょ?」
「いや、俺なりにマジメに考えたんだけどよ、
 コレ、どこまで遠く伸ばせんの?
 物に張り付いたりできねーの?」
「・・・・・・」

こんな一言がきっかけ、新たな技術の始まりだ。
兵士個人の移動能力をもっと増強しようという計画をつくる。
言わば立体戦闘、空間攻略も視野に入れていたのである。
天主殻内部はどういった構造なのかも分かっていない。
わずかでもこなすために身体的制御システムを必要とした。

「問題は新たな生産工場を設けたいのだけど、
 関東のどこかで良い場所がないか」
「これを生産管理ができる有効な場所ですか?
 ここの辺りでは難しそうです」
「それを考えてるのよ、どこか良い場所はない?
 金の砂はAUROスキャナーでも隠せないの。
 奴らに見つからない有効な隠し場所も整えなければ
 すぐに奪われてしまうわ」
「知り合いがいるグンマに良い場所があったよーな?」
「どうせ、またろくでもない知り合いでしょ?
 こないだもPを換えた金塊を便器の中に隠してたり、
 精子バンクで取引してた連中いたじゃない!」

得体の知れない知人を信じる者はいないとミゾレの定番すぎる
ツッコミも見飽きる中、サップは意外な質問をしてきた。

「ゴムって何の原料だっけ?」
「ラテックスか、過去には石油加工でもあったが、何故それを?」
「いや、葉っぱ隠すならじゃないが、
繊維せんいも隠すなら森の中が良いんじゃねえかと」
「!?」

彼の発言に3人はハッとさせられる。
自然界で伸縮性のある存在といえば、真っ先に植物が挙げられる。
植物栽培に紛れて内部で金の砂を柔和させて同化、表面の繊維質の
撹乱で天主殻の目を誤魔化そうというのだ。

「金の砂を植物に混ぜれば、スキャナーでも目をかいくぐれる・・・。
 そういう事か!?」
「逆を辿って真理を導く、正面から視えない何かを背後からなら。
 アンタはそのためにいるようなものだから」
「ああ、ここに来てからいくつかの案を出してきたが、
 俺自身もバックボーンの自覚があんのかすら分かんなくなってきたわ」
「いいえ、あなたは背後の守り人よ。もはやれっきとした逆説の追求者。
 その方針でいきましょう」

サップのアバウトな発想に賛同するメンバー達。
そんな、ありえなさそうな案から少しずつ何かへ結び付けるのが
プロであり、追究者たるものなのだろう。
人は元々自然であり、知識で人工を生み出してきた。
加工は大半が無機物だが、有機物へかえりみて再び自然へ戻す。
有と無の螺旋は絡みつき、初めて会う者にとっては異形に思えるまでに
クリエイトというものは狂気の沙汰さたである。
パスカルが適正ありそうなエリアを探る。
成分表を頼りに、特徴ある地域が1つあったようだ。

「この辺りが良さそうかと思われます」
「どこなんだ?」
「群馬が最も適切な促成地のようです。
 このエリアには、ある特徴的な性質をもつ木が生えている模様」


数日後 グンマCN拠点 入口

「成程、戦略的優位性のある見聞です。
 是非、我がCNに採用しましょう」
「光栄に有難く思います、私達も近日この地へ来た身でありながら
 グンマへの貢献を余すところなく提供していこうと思っています」

 途中経過を省き、アリシア、アポロン、ミゾレ、サップの4人は
スガワラと名乗る責任者らしき司令官に迎えられて、
技術提供をあっさりと受け入れてもらい、計画を移植させた。
あまりにも早く手間いらずに許可され、敷地内に入るアリシア一行。
グンマCNへの参入はあっさりと成功し、用件に応じるという。
スガワラ司令に案内されて後ろについていく中、
サップが小声でやりとりをする。

「「しかし、俺らの事よく怪しまれなかったよな?」」
「「事前にここの登録情報偽装したに決まってるでしょ!
  あたし達にとっては身近なCNなら紛れられるから。
  どうせ、用が済んだら抹消するし」」
「「何かあればパスカルが対処してくれるから安心しなさい」」
「・・・・・・」

所属詐称など私達にとって得意分野の他にない。
自分の行動心理がこの世界を正そうとする事なのはすでに熟知していた。
天主殻に対抗するために様々な軍事技術と実行するまでの段取り。
を創造してきた自分のやるべき目標はただ1つのみ。
道を辿って歩くのは結局のところ、列島の中で産業にあやかる方法など
今回の動向もその1つなのだろう。

ずっと側でついてきたアポロンも緑の群生に目を向ける。
こんな自然の中であの空にどうやって対抗するつもりか想像もつかない。

(あの天主殻はどうして支配なんてしてるんだ?
 そして、俺の家族もどうしてあそこと?)

これだけの大陸があるのに食い合う理由が分からない。
俺は生まれてからずっと軍事行動を送ってきて生きてきた間で、
ふとそう思うようになった。
でも、この列島が圧制を強いられて支配から解放させるために
天に挑まなければならないのは誰でもすぐ納得。
母もあの空に浮かぶ物が悪で、弟を助けるためだと言われて今を送る。
そうでもなければろくに生きていく事もできない。
今、最も付き合いのエイコウとフリードリッヒも色々な生き方で
ブラインドに来たから、誰でも選べる道なんてないのだろう。
アブダクトされた弟は相当頭が良いらしい、なんとかツインの影響で
物忘れも酷いと言われ続けたから有無も言わずについて回る様に歩いてゆく。


 そして、すぐ研究室に通される。
グンマ司令官が片目で確認しながら電子顕微鏡を操作する。
金の砂をリグナムバイタへ移植する手順を観て、分子構造に驚いた。

「通常、リグナムバイタの茎の中に含まれる炭酸酵素は
 遺伝子構造として存在しますが少量です。
 そこへ、あなた方の持参した物とどう合成すべきでしょうか?」
「繊維内には特殊な電子が配合されていて、
 加工時にはガラス質などで切断する事ができます」
強靭きょうじん度の高い理由がそうでしたか。
 この金の砂というものは繊維質と融合するかのような配合率の高い
 仕組みのようですね?
 と・・・少しカルシウムも含まれていますが、
 これ程の技術をどこで?」
「移植可能ですか?」
「成功したようです」
 (もう、うまくいったの?)
「本当にうまくいくとは・・・」

その場にいた一同はあっけなく済んだ結果に目を疑う。
金の砂を黒木の内部に適合できたようだ。
詳細の問いを逸らして成果物の現物を先に推し進めさせた。
決め手となったのはやはりカルシウム。
骨の硬組織に含まれるカルシウムストアが体を姿勢制御する。
カルシウムイオン依存性カルシウムシグナリングの情報伝達経路となり、
通常ではそれが細胞質に流入してタンパク質と結合して肉体を調整する
はずだが、ワイヤーに組み込んだものはあくまでも情報と直線性を
用いるために、ただ特殊な自然界で手に入れた方の物質であった。
金の砂、それは人の灰を混ぜたカルシウム金属を基にした
物質で構成されていた事で成しえたからだ。
アリシアは夫ダニエルの遺灰を混入していたのである。
こんな大切な人の体の一部である物質の利用までして
自分のつがいを自然界に放つ理由は復讐のためだけではない。
糸線しせんとは人を目的地へ辿らせるもの。
放った後に再び人へ回帰、戦略的優位性を含んだ同胞達への守護なのだ。

「空間内の物体に絶対性はなく、
 どんなに強靭な存在でも細く小さな集まりに浸れば平衡へいこう化する」

ただ、この事実は誰にも伝えていなかった。
自分の狂人ぶりを悟られて軽蔑けいべつなどされたくはない。
おそらく一生話す事はないだろう、要らぬ事象に息子の
道まで誤らせるわけにはいかないのだ。


こうして立体機動糸の栽培環境は整った。
後は成長過程で時折採取に来れば良い。
次回への侵入作戦も開始までそれほど長くはかからないはず、
セントラルトライアドの整備もすでに完了間近を迎えて出撃できる
準備は最初と異なりかなり早く行えるだろう。


グンマCN拠点 庭園

 ここでする事は終わり、すぐに帰ると怪しまれるので地元民の振る舞いを
真似してから帰ろうと一端、辺りの様子を見物する事にした。
アポロンの目線に代わり、母と一緒にここの産物などを見回る。
記憶の悪さで間違いかもしれないけど、こんな経験は初めてかもしれない。
帰り際に周りを見てみると、色々な物体が置いてある。
様々なオブジェが敷かれているのが分かった。

 (動物の形をしている?)

辺りを見ると、動物の模型がいくつか立っている。
本物じゃなく作り物の類だと気付くが、別に飼っている様にも見えない。
ドウブツエンなんていった見世物テーマパークも生まれた時にあって、
あらゆるエリアから捕獲して檻の中とかで見物していたそうだ。
ここグンマでもそういった設備があってもCNが立ってから管理する
場所が不謹慎らしくどこかへ放たれたか連れていかれたらしい。
実際どうなのか、理由を司令に聞いてみた。

「動物の人形ですか?」
「そうです、生物模型を展示しています。
 すでに絶滅した種類ばかりの物ですよ」
「哺乳類だけでなく爬虫類、魚類、両生類、鳥類まで。
 なんで、こんなに?」
「近年で実に多くの生物がいなくなりました。
 慰霊いれいのつもりで、こうして立てているのです」
「一時期は地方への都市化計画も立案されて緑を削るつもりだったとか。
 土地の開拓などで人間の幅ばかり利かせてるんだから、
 罪のない動物ばかりが端に追いやられてゆくのね」
「それでも、生物は自然がある限り根強く生きている能力を備えています。
 我々グンマCNは自然の加護を受けていると教えられてきました。
 そういえば、最近見慣れないサルがここグンマに出没しているそうで」
「新種でもいたんですか?」
「よくは分かりませんが、そうかもしれません」

どこかで逃げ出して近隣の森に棲みつくなどよくある話だ。
母国で飼っていたワニが地下水道で大きく育った事件もあったくらいで、
野生化の脅威は確かにいつか人へ向き直す時もある。
天主機もある意味、失った代替の復讐なのかもしれない。
用件とは無関係なものの、動物の境遇を知らされる場面をみせられた。

こうしてブラインドに新たな機動力の確保に成功した。
1つのCNと密接な関係をもってしまったが、やむをえない。
後はここにブレイントラストが来ないのを願うばかりだ。

「とりあえずは様子見でここに管理させておきます。
 チーフ、そういえばコードネームは?」
「今より、これをソリッドワイヤーと名付けるわ。
 罪と罰、天への対を結ぶ空理くうりの術」
「それは良い名前ですな。
 正式名称はそれにしましょう」

その1つをアポロンに手渡す。
手順は自分ですら簡単に、糸を打ち出して向こうまで動くだけ。
こうした小さな積み重ねはいつか大きく、遠い世界にすら及ぶ。
そして、アリシアは静かだが力強く息子にささやいた。

「これは天主殻への攻略、重要な要素になる。
 あなたはこの機動術を学びなさい」

腕から放つ金と黒色のワイヤーが長く大きく伸びていく。
アリシアの密策による物理的なダニエルの結合で新たな戦略が
ここに展開されようとした。

「了解!」

シュパン
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